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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
18/77

18 星の細工は誰の物 1

感想、評価、ブックマークありがとうございます。

 サキちゃんが錬金屋に現れたことによって起こった一件は、一応の決着が付いたので、私は、再び金策に挑戦することにした。

 前回は、便利なものを作成しようとして、魔法消費の割に成果物が利益が出せないせいで失敗したけど、要は利益率が高ければ多少魔法消費が多くて、時間が掛かっても問題ない。

 竜馬さんが以前言ってたのをヒントに、ありふれているけど利用されていない物を利用して儲けるを実践しましょう。


 さて、地球では高価な宝石はありふれた材料がメインの物だとお兄ちゃんが言って、材料を説明してくれたので、今回はそれを作ってみよう。

 こっちの世界ではどうなのだろう?向こうと同じように価値があるのかな?


 ダイヤモンドの合成は、錬金生成素材と炭で、これで、炭素を抽出して、あとは、高温高圧化において分子構造を正方形に生成する。

 地球では長時間この環境下に置かないと大きなものは作れないからお金がかかって宝石クラスのダイヤモンドを作る方法としては現実的でないらしいけど、錬金術だと高温高圧とか得意分野なので、問題ないでしょう。

 逆に、地球で主流のプラズマなんちゃら方式の方がこっちでは難しいよ、多分、私は、お兄ちゃんが丁寧に説明してくれたけど、まったくわからなかったしね。そっちは再現できないわ。

 まぁ、とりあえずやってみましょう。

 石が出来ても、カット技術がないから、カット済みの完成品をイメージして、いざ。


 魔力と時間は、ナプキン造る程度で済んだけど、小さいね。もっと魔力を使って、炭素も多くするか。

 でも、私のイメージでカットしただと、あまり大きくすると粗が目立つかも、これくらいならきれいにみえるけどね。

 うーん。ラウンドカットとかブリリアンカットとか言われても、どんなデザインか正確にわかんないし、テーブルカットならイメージ着くけど、あれはダイヤモンドに向かなかったような。


 やっぱり、こういう無駄知識をいっぱい持っていたお兄ちゃんが、転生していれば私より役立ったんじゃ、本人もきっとこんな状況でもノリノリで楽しんだろうしね。

 まぁ、そんな仮定は置いといて、とりあえず、錬成物がどんな出来で、使っても平気なものか聞いてみよう。


 「お政さん、こんな物作ったのだけどどうでしょうかね?」


 「なんだい?」


 私は、手に持っていたダイヤモンドをお政さんの手に乗せた。


 「はい。これです。」


 「やけに小さいけど、光って綺麗だね。トンボ玉か何かかい?」


 「トンボ玉…。ああ、ガラス細工でなくて、ダイヤモンド?金剛石?です。」


 「金剛石だって、これがそうかい。確か、宝石だったかね。錬金術で作ったのかい?」


 「ええ、これを売れないでしょうか?」

 

 「どうだろうね?この辺じゃ、宝石とかあまり見ないからねぇ。前見たく特殊な作り方で作っていないなら、錬金書庫に作り方を登録して、特に問題がなければ構わないんじゃないかい?」


 「今回は、誰でも作れる作り方ですよ。ふっふふ、私もついに錬金書庫に登録するだけの成果を出せたか。」


 錬金書庫って、素養調査する時適性を調べたり、錬金術の作成の為の情報を取り出したりするやつだよね。

 そこに成果物を登録すると、共有されるのですが、再現性がなかったり、物の価値を変えてしまいそうな物は、登録しても撥ねられるらしいのです。そうは言いましたが、物の価値を変えるというのに引っ掛かりそうなだな。はぁ。


 後、前回挑戦した紙や生理用品は、特殊な生成方法だったから、当然再現性で登録しても却下されただろう。


 「まぁ、錬金書庫を管理してる人が、人なのかねぇ?だめだと思えば登録されないから、それで判断すればいいんだよ。」


 「へぇ、人が管理してるんだ。」


 「いや、どう管理してるのわからないのさ。正確にはね。ただ、管理されているのはわかっているのさ。素養調査でも、ここ最近できた新しい仕事も出てくるからねぇ。」


 「えー。そんな怪しい物に頼ってていいんですかね。」


 「茜は、便利なものがあって、使い方が分かれば、仕組みが分からなくても使うだろ。」


 「それは、便利なら使うでしょうけど。」


 「それと同じ事だよ。しかし、金属とかは、茜の居た向こうの知識で作ると、何故か同じ結果にならずうまくいかないって聞いていたのに、宝石は出来るんだねぇ。」


 「そうなんですか?」


 「何でも、昔、漂着者が、向こうの知識で錆びない鉄を作ろうとしたら、青く透ける鉄が出来て、すぐヘタるわ、錆びるわで、使い物にならなかったそうだよ。その後も色々配合比を替えて試してみたそうけど、結局実用化できなかったらしいね。」


 ん?それって、ステンレスか何かだよね。

 それが作れなかった?でも、作ろうとしたってことは、ステンレスを作るための物質自体はあったってことよね?じゃぁ、どうしてできなかったんだろう?


 「なら、簡単に作っちゃった私は運がいいのかな。」


 勿論、錬金術がなかったら、こんな大変な工程、私一人の知識だけじゃ何年あってでもできないだろう。本当に錬金術のおかげだね。


 「だねぇ。向こうとこっち、一見同じようなものも、違うらしいし、知識があってもなかなか結果に結びつかない。そんな事から、漂着者は、召し抱えずに在野で勝手に生活させるという方針に御上も変わったらしいからね。」


 「でもそのおかげで、こうしてお政さんのとこで働けるんですよねぇ。よかったです。」


 「そりゃよかったね。さっさと、錬金書庫に登録してみな。」


 「はい。準備します。」


 私は、準備を進めながら、うーん、でもこれって、どの錬金術師も作れるようになったら、本物のダイヤモンドも値崩れしちゃうかもだから、却下されちゃうかな?などと色々考えていた。

 まぁ、成るようにしかならないさ。

 準備が整い、錬金書庫へ魔力を接続させ、登録を済ませた。


 「よし、お終いっと。」


 「何かしてたんですか?茜さん。」


 「あ、お妙ちゃん、今ね、新しい錬成品を錬金書庫に登録してたの。」


 「へぇ、何を作ったのですか?」


 「ああ、これです。じゃーん。」


 私は、お政さんにしたように、お妙ちゃんにもそう言って、手のひらに金剛石を乗せた。


 「綺麗ですけど、なんですか?これ?」


 「あ、金剛石と言う宝石です。」


 「これが宝石と言う物ですか。」


 「うーん、やっぱ知名度がないのか。」


 「はい、貴重品らしいですから、初めて見ました。でも、これだけ綺麗なら、売れますよきっと。」


 「そうだといいけど、このまま売る訳にもいかないから、誰かに何かに加工して貰わないとだよね。」


 「茜さんがいた世界だとどんな風に売っていたのですか?」


 「指輪とかペンダント、あ、首飾りとかの装飾品だね。偽物の宝石は携帯とか装飾したりとかもしてたけど。こっちだと装飾品はどんなのが流行ってるか知ってる?」


 「私は、あまり詳しくはないですけど、やっぱり髪飾りが多いですかね。探索者さんは指輪や首飾りも付けてますけど、私達のような普段着物着てる人だとその辺の物は目立たなくなっちゃいますからね。」


 「成程ね。宝石造りが問題なければ、そう言った物が作れる職人さんを探さないとですね。」


 「職人を探すとなると、サキちゃんが住んでいる職人区画ですかね。その辺は、お政さんや竜馬さんに聞いた方がいいかもですね。どこかに当てがあるかもしれないですし。」


 「だね、今度、二人に聞いてみましょう。」


 「では、材料も揃えたので、登録が却下されても、それまでは作れちゃうそうだから、いくつか作っておきましょう。」


 「いいんですか?そんなことしても?」


 「いいらしいよ。お政さんのお墨付きだよ。それに沢山量産できるわけでもないし、ダメって言われたら、売らないで身内だけで使えばいいかなと思っているので、それなら、市場にも全く影響ないでしょ。私の居た世界で勝手に大量に作って流通させたら、怖いことになるけど、こっちにはまだきっと、ダイヤモンド資本なんてないでしょ。平気平気。」


 「知らない言葉があって言ってる意味は、よく分かりませんが、茜さんの居た世界では、ダメってことですか?」


 「いえ、偽物を作るのはいいのですが、本物と見分けがつかない程そっくりに作って、本物として売ることがダメってことです。」


 「つまり、偽物を本物として売るのがいけないという事ですね。それは、こっちでもそうですよ。」


 「うん、そうなんだけど、いえ、何でもありません。変なこと言ってごめんなさい。」


 「まぁ、いいです。ところで錬金術で作るとこ見てもいいですよね。」


 そんな、くだらない話も交えつつ、私は、お妙ちゃんに見守られながら錬金術で金剛石をいくつか作ったのでした。  

次回のあらすじ


 茜は、錬金書庫の結果を待ちながら、お政さん達から飾り細工を作る職人の当てを付けることができ、飾り職人に会いに行くのでした。 次回 第19話 星の細工は誰の物 2、是非読んでください。

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