表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
89/266

チウネの決心

 天界の使い。天界の使者とは名ばかりに、嫌がる親子をも引き裂き天界に連れて行ってしまう忌むべき存在。

 私の国、トートではそれを天界の使いではなく冥界の使いと呼んでいました。

 だいたい、天界の使いは天使様がおられるではないですか。同じ名前の者が2つとあるはずがありません。天界の使いはまがい物なのです。

 だいたいその姿からしておかしい。恐ろしいトカゲによってひかれた馬車を乗り回す全身鎧の騎士など、だれがどうみたって悪魔的存在です。


 けれど、その力は本物です。エリザベート様ですら手を出さないようにきつく言いつけるほどなのですから。

 もちろんエリザベート様が冥界の使いなどに後れを取るはずもありません。それが世界の理だから。手を出さずにいるにすぎません。

 その証拠に撃退したことも何度かあるという話です。


 そのとき助けられた子供たちはみなある程度の年齢がいった容姿も心も者美しい者だったといいます。正しい心をもった者をエリザベート様は愛します。

 物心つく前に親から引き離されるならまだしも、すでに両親達とも固い絆で結ばれている者達を引きはなすのは哀れだという、エリザベート様の深い愛もうかがい知れます。

 助けられた子供たちは皆、成人すると巫女になりエリザベート様にその身をささげたと言います。その後の彼らを目撃した者はいませんが、きっと末永く幸せに暮らしたに違いありません。


 ・・・


「これからアルメリアと買い物に行ってくるからハチはお留守番な。」


「おれもいく!」という狼に「みんなを守ってやってくれ」といって頭をなでるサトミ。


 サトミ、悪魔、神様、この者は一体なんなんでしょう。


 悪魔や盗賊と仲良くしていたかと思えば、盗賊を生き返らせて悪事から足をあらわせるという。

 盗賊は罪を償わなくてはならないので、甘いとは思いますが、方向性自体はいいことだと思います。神は厳しく正しく、天使は正しく優しい。私はそう思っています。

 ならサトミは天使なのでしょうか・・・私にした数々の悪行を考えるとそれは違うと言い切れます。


 天使、といえばプレセぺ様。

 どうやらサトミはプレセぺ様のことを好いているようです。


 本人は否定していますが、プレセぺ様の前だと明らかに視線を避けています。心なしかすこしそわそわしている。はたから見ればまるわかりです。

 ということは、サトミは天使様の影響で人を愛するという心を持ち始めているのかもしれません。


 狼や半悪魔という人外の仲間しか持たなかったサトミがプレセぺ様にあこがれたことにより、私という心が清くて正しい人間を眷属にしたというのが何よりの証拠です。

 最初はエリザベート様のしもべであることを奪われ悔しくて悲しくて恨まずにはいられませんでした。でもそういうことなら話は別です。


 サトミはプレセぺ様に振られるでしょう。

 これもはたから見て丸わかりですが、プレセぺ様には思い人がおられる様子なのです。

 所詮邪悪な悪魔が天使を射止めるなどあろうはずがありません。


 しかし、そうなったらサトミはどうなるでしょう。またその邪悪な本性をあらわにするかもしれません。

 せっかくプレセぺ様の力で人を愛する心を手に入れたのに、そうなってしまっては何の意味もありません。


 もしかしたら、それを止めるのが私に与えられた使命なのかもしれません。

 亡くなった母は言いました。私の名前「メーティス」は神を導き正しい知恵を授けるためのものなのだと。どうかエリザベート様を導いてほしいと。


 名前は力と宿命を与えます。

 でも、普通の人間にそんな強い名前をつけたら名前の強さに耐えられず、若くして命を落とします。

 それでもエリザベート様を心から愛する母は、一人で国を背負う重圧エリザベート様の負担を少しでも減らしたいと私にその名をつけました。

 私にエリザベート様を助けるなどという重役ははたせそうにありませんが、目の前の悪魔一匹なら可能かもしれません。


 私は生贄になるのです。サトミという悪魔が改心して天使になるための生贄に。

 本当は嫌ですが、その使命のためにサトミと添い遂げることも覚悟しないといけないのかもしれません。私がサトミを正しい道に導かなくてはいけないのです。


 なんと可哀そうで気高い私。神様も憐れんでいることでしょう。でも大丈夫です。ああ見えてサトミは標準より上の容姿をしていますし、性根まで腐ってはいないようです。もし同じ皇族であったならギリギリで問題もないレベルではあります。いえ、本当は嫌ですが。


「チウネ、お前にこれを貸す。ハチがいてくれるけど、何があるかはわからないからな。」


 サトミはそういって私に「時と空を渡る霊竹のやり」を渡しました。


「お前はプレセぺは守る気があるんだろ。危なくなったら連れて逃げろ。ただし、ハル達も一緒だ」


 なんと、このタイミングでこれを私にたくすのですか?

 今まであなたから逃げ出そうとしていた私にではなく、ついていかねばならないと決めたこのタイミングで。

 どこまでわかって言ってるのでしょう?


 サトミは悪魔と話をしているところです。

「アルメリア、瞬間移動は一人までしか運べないんだったよな。俺だけで頼む」


「え・・・と、ああ、そうね。そうだったわ。」

 少しあやふやな対応をする悪魔に何か気が付いたようでしたが「まぁ、いいや。つれてってくれれば。」とサトミはいいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ