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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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悟り見る心の女神

 俺としたことが一番最初に効かないといけないことを忘れていた。それは、リューネの意思だ。

 今の段階では片手間に元奴隷商を助けるのは無理だ。

 でもリューネが心からそう願い、頼むなら、生き返った父の神が俺になることを許容できるなら、俺はもう一段回がんばって元奴隷商を助けようと思うことができる。

 もう一段回無理して元奴隷商を生き返らせるために尽力しよう。


 ・・・


 リューネを探して歩き回るとチウネにあった。


「戻してください、私をエキドナ様の僕に戻してください」


 あー煩い煩い。さっきもそういってしつこく食い下がってくるから逃げたんだよね。


「理性的に考えてみよう。俺の眷属にならないと生き返らせることができないんだ。死んだままか俺の眷属になって生き返るかの2択なんだよ。死んだままの方が良かったのか?」


「私をエリザベート様の僕にした状態で生き返らせてください」


 しかしチウネは一切の妥協はしないつもりらしい。無理なものは無理なんだよ!

 仕方がないので話を変えることにした。


「そういえばさっきプレセぺがチウネを探していたような」


「て、天子様がですか?」


 エリザベートとかいう奴の僕になりたがってる割にはプレセぺに対する盲信もひどいものだ。そんな浮気者じゃエリザベートって奴も呆れるぞ?


「でも、天子様は今、リューネの罪を断罪している最中のはずです」


 リューネ?プレセぺはリューネと一緒にいるのか。


「ええ、どうやら私の忠告を受け入れる心が残っていたようなのでアドバイスをしようと思ったところ止められまして」


「忠告?アドバイス?どんな?」


「あなたのなすべきことは盗賊と刺し違えてしぬことだということです」


「・・・」


「よりにもよって父の敵の盗賊に心を奪われたという罪は消えることはありません。それは偽りだったと証明するにはその男を刺殺し、神に自分の心に偽りはないと証明しなくてはなりません。」


 いやいや、何言ってるかわかんないよ。

 異世界人の蛮族的思考は怖いね。全く。もしかしたらチウネ特有のものかもしれないけど、この世界じゃその考え方が一般的なのかもしれない。

 とりあえず現地人にあったらなるべく離さないようにしよう。

 沈黙は金なり。口は禍の元。

 ジェイドとは話しまくったから今更だけど、あいつは同じ異世界人らしい勇者様とあったことがあるからか寛容だった。


 なんとかチウネをのせて、プレセぺたちのもとに案内してもらう。


 リューネとチウネが穏やかに話し込んでる。隣でハチが寝てる。ハルもハチの隣でうつらうつらしてる。

 おっ、全員集合じゃないか。


 そう思った時だった。


 感覚があった。人を生き返らせるときの感覚が、でも、俺が使ってるわけじゃない。

 力を勝手に使われている?


「主様!」


 ハチが飛び起きる。ハルもびっくりして目を覚ます。


 生き返らせる力を勝手に使われている。いったい誰が?アルメリア?他に考えられそうな奴はいない。しかし・・・


「サトミ!」


 目の前にアルメリアが現れる。これが瞬間移動って奴か?


「誰かが魂のない状態で生き返らせようとしている。どうやら、あなたじゃないみたいね」


 そういう俺はアルメリアじゃなかったのかと思う。


「いったい誰が」


「俺じゃないが、俺の力を勝手に使われている感覚はある。」


 力を勝手に使われている?アルメリアがはたと気が付く。


「サトミ、あんたのフルネームは?」


「フルネーム?サトミ・ココっていうことになってるらしいけど」


「サトミ・ココ、「サト」り「ミ」る「ココ」ろの女神。そんな・・・まさか」


 驚愕し、そしてプレセぺを見る。


「まさか、これもあんたのせいなの?」


 プレセぺはきょとんとしている。


「ジェイドが危ない」


 アルメリアは切迫した声をあげた。


 ・・・


 タマシイガタリナイ、タマシイガタリナイ


「いったい何だって言うんだ?」


 ジェイドは戸惑っていた。自分の中にある感覚に従いロレンスを生き返らせようとした。

 けれどどうやら魂とやらが足りないらしい。

 ロレンスの奪われた魂はアルメリアが使ってしまったのだと言っていた。用意することはできない。


 そうするとどうなるか?


 魂を他から補てんしようと力が働く。

 ロレンスに一番近い場所にある魂を取り込もうとする。

 ロレンスに一番近いところにある魂は、生き返らせようとしているジェイド自信の魂だ。


「吸い込まれる・・・?」


 ジェイドは得体のしれない感覚に恐怖した。


 ・・・


「ジェイド!」


 サトミ達が現場についたころにはすべては終わった後だった。

 魂を失ったジェイドの肉体と、ジェイドの魂を取り込んだロレンスの肉体。

 ゆっくりとロレンスが目を覚ます。

 ロレンスはしばらく驚いたようにあたりを見渡していたが、その中にリューネがいるのに気が付いてボロボロと涙を流し始める。


「すまない、すまない、リューネ、私が悪かった」


 そういうとリューネを思い切り抱きしめた。

 戸惑ったリューネだったが、すぐにそれを受け入れた。


「お父さん」


 ジェイドが大変なことをやらかしたと聞いてやってきてみれば目の前で繰り広げられるハッピーエンド的な光景。めでたしめでたし・・・なのか?


 横でアルメリアがジェイドを見て青い顔をしている。

 そりゃジェイドは盗賊だし、人もおそらく殺してるし、もしかしたらこっちの方が丸く収まるのかもしれないけど。

 酒を酌み交わした仲としてはどう反応したものか。

 この場でチウネだけがうんうんと頷いている。おもむろにリューネたちの前に立つ。


「私は殺されたことを許しましょう。」


 なに言い出すんだこいつは?


「あなたの心は偽りではなかった。ふしだらではなかった。盗賊の中にある父の魂に無意識にひかれたのでしょう。」


 なんだかわからないがチウネの中ではそういうことになったらしい。ドヤ顔でそういった。

「よかったですねぇ」

 プレセぺはもらい泣きしていた。なんかよくわかってないみたいだ。

 ジェイドの魂は抜かれてるんですよ?

 ハチはあきたみたいで興味を失ったみたいだ。

 ハルはもともとよくわからずによばれてぽかんとしてる。


 これでいいのか?いやいや、いいわけないよな。

 それを証明するようにアルメリアが言った。


「私は死んだらジェイドの魂をもらう契約をしている。その契約はまだ有効よ。」


 そしてロレンスの体にあるジェイドの魂を引き抜き、ジェイドに戻そうとする。しかし戻すことはできない。


「な、なんで」


 焦るアルメリア、また父親の魂を抜かれて気が動転するリューネ。


「あんたジェイドに惚れてたんでしょ。四の五の言うんじゃないわよ」


 だからといって生き返った父親をあきらめるわけにもいかない


「お父さんに刺されて気が動転していただけです。」


 なんか、いつの間にかジェイドが過去の男みたいな扱いにっなってね?

 コントかよ。などと思っていた俺にもとばっちりがきた。

 アルメリアが鬼気迫る表情で迫る。


「サトミ、ジェイドを生き返らせて!」

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