表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
82/266

生き返らせる力

 ニュースが流れた。

「飛行機が墜落しました。犠牲者は142人。なお、日本人の被害者はいませんでした」

 日本人は被害者がいなかったのか。よかったな。と両親が言った。

「事故で日本人の犠牲者が出なくてよかったみたいな感じはいかがなものか。他に人が死んでるのに」

 と俺は反論した。

「世界中では1分間に2、3人事故死してるんだ。どこかで線を引かないといけないんだよ」

 と両親は答えた。腑に落ちたような落ちないようなもやもやした感じが残った。

「飛行機事故がありました。被害者は82人。内3人は日本人の可能性があり・・・」

 幼馴染と一緒にいるときにそのニュースが流れた。

 俺は両親との会話を思い出し幼馴染に話そうとしたが・・・幼馴染が悲しそうな顔をしているのを見て言うのはやめておいた。

 だって、たぶん、それが正解なんだろうから。


 ・・・


 まさか、チウネに教えられることになるとは思わなかったよ。

 叩かれた右手を眺めて思う。

 アルメリアに魂を奪われ殺された男、あの男を助ける気は最初からなかった。

 アルメリア対策で頭がいっぱいだったこともある。だが、それを差し引いても生き返らせるということは考えなかっただろう。

 生き返らせると天界の使いがやってくるというリスクがあるし、俺はあの男のことは何も知らない。見ず知らずの人間も際限なく生き返らせていたら、俺は世界中の死人を生き返らせて回らないといけなくなるではないか。

 ハルも見ず知らずの相手だったが幽霊を見て同情した。チウネは打算的に条件があっただけ。

 理由なく生き返らせたわけではない。

 でも。


 泣き崩れる娘の姿を思い出す。

 この人は人に愛されて生きていた。悲しむ人がいる。だったら、生き返らせれるなら生き返らせた方がいいのだろう。

 俺はアルメリアのもとに向かった。


「なーに。私をくどきにきたとか?」


 アルメリアはつまらなそうに一人で酒を飲んでいた。ジェイドが構ってくれないらしい。

 そういえば盗賊の話じゃアルメリアはジェイドに惚れてるんだっけ。惚れてるかはどうかはおいといて気に入ってるのは確からしい。まぁ、ジェイドはイケメンだしな。

 さっき捕まった娘といい感じになってたし、俺的には悪魔に気に入られるよりそっちのほうがいいんじゃないかという気がするけど。

 娘との愛に目覚めたジェイドさん。2人の間には子供が・・・この子のためにも盗賊なんてやってはいられない。盗賊から足を洗い3人は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし、みたいな?

 そうなりゃ俺も気兼ねなくジェイドと友達になれるよ。


「なんか今私を不機嫌にさせるようなことを考えていた気がするわ」


「気のせいだよ気のせい」


 俺は適当に誤魔化し本題に入ることにする。


「アルメリアと天界の使いってどっちが強い?」


 はぁ?いきなり何よとアルメリア。気になったんだよ答えてよと俺。


「そんなの私に決まってるでしょ?」


「じゃあ、俺が魂のないところから生き返らせれることを証明するから、アルメリアは天界の使いが来たら倒してくれな・・・」


「無理無理無理無理無理」


 アルメリアが勢いよく首を振る。ておい、倒せるんじゃなかったのか?


「そんなのウソに決まっているでしょう」


 あっさり答えた。


「あんた天界の使いがどれだけやばい奴か知らないんでしょ?少なくとも魔法使いじゃ無理よ。力でごり押しできるような奴でないとね」


 アルメリアの話では魔法と言っても天界の魔法と下界の魔法は異なるのだという。

 地水雷火風光闇無の8つの属性で成り立つ地上の魔法。

 天界の魔法はそれとは異なる7つの属性で成り立っているという。

 天界の使いは地上の8つの魔法を全て無力化し天界の7つの属性にも耐性をもっている。

 魔法で奴を倒すなら耐性をもってもいても堪えきれないくらい高出力の天界魔法をくらわすしかないらしい。


「私も天界魔法は一つだけ使えるけどね。あくまでつかえるだけだから効果は期待できないわ」


 そんな高出力で天界の魔法が使えるものは下界にはそうはいないらしい。

 なるほどな、アンリウムのことを思い出す。

 最初アンリウムの炎は通じなかったが、異なる炎を使ったら苦しみだした。

 最初のが下界の魔法でその次が天界の魔法だったということか。

 それにしても、アルメリアですら勝てないと言ってる天界の使いに余裕で勝てたアンリウムって、本当にすごい奴だったんだな。

 契約しなかったのがくやまれ・・・いや、仲良くなった奴をあっさり殺すような奴とはやっぱり契約できないよ。たとえどんな理由があろうとも。


「でも実は天界の使いに効果のある魔法はほかにもあるのよ?」


 ふいにアルメリアは意味ありげに俺を見る。


「7つの要素で成り立つ魔法の上には6つの要素で成り立つ魔法が、その上には5つ、その上には4つってね。その力を使えば高出力の魔法を使わなくても勝てるかもしれない。」


 へぇ・・・と俺。


「どうして私がこんな話をするかと思う?」


「いや、わからないけど」


「あなたの使う人を生き返らせる魔法はたぶん天界の7つの要素の魔法じゃない。その上の魔法だからよ。もし、あなたが本当に魂を使わず生き返らせることができたなら、たぶんそれよりさらに上の魔法ということになるわ。」


 本当にできたらね、とアルメリアは言った。


「どうしてそこまで教えてくれる?」


「私が教えなくてもいずれ知ることになるわ。それに、サトミとは末永く友人でありたいもの」


 ウィンクするアルメリア。

 そこでウィンクなのか、なんか以外に年齢いってそう・・・じゃなくて

 まるで俺がいずれ抜けることがわかっているみたいで不気味だった。


 しかしこれで、俺が男を生き返らせるすべはなくなってしまった。

 人情で生き返らせるにはやはり天界の使いはリスクが高すぎる。

 俺の力をアルメリアに示すついでに天界の使いを倒してもらえるのならと妥協点を探ったのだが、どうやら無理なようだ。


「でも、頑張っても無理だったよじゃやらないのと同じだよなぁ」


 さて、どうしますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ