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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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交渉

 アルメリアの馬車に向かうために、盗賊たちに隠れて移動中。

 てっとりばやく盗賊たちを全員ハチの腹の中に監禁してしまえばいいのではないかとも思ったが、もともと盗賊自体は脅威ではないみたいだしやめておく。

 空気を読んだともいう。

 だって、ハチに盗賊を襲わせると提案したらプレセぺやハルはどう思うだろう、「こいつひどい奴だな」って思われるんっじゃないだろうか。

 ハチは「そういうことしていいんだな」って思うんじゃないだろうか。


 それでも、人質として盗賊たちが有効なら背に腹は代えられないが、悪党と悪魔と言ったら最後は悪魔に見限られ捨てられるものと相場が決まっているものだ。

 今はまだ背中で生命の大切さを語る主様でいよう。フェーズ1の俺だ。


「!?」


 急にハチが立ち止まる。どうした?


「アルメリアさんが力を取り戻したみたいです」


 答えるようにプレセぺが言った。顔色が青い。


「近くにいた人の反応がなくなりました」


 近くにいた人の反応が亡くなった・・・つまり、しんだ?

 ハルがぎゅっとプレセぺの手を握る。


 逃げた方がいいか?いや、今更だ。

 逃げれない。倒せない。話し合いにならない。

 弱みもこれといって見つけられなかった。

 だったら選択肢がなかろうともこの中で選ぶしかないのだ。一番ましなものを。だったら・・・


「アルメリア!」


 俺はアルメリアのいるという馬車に踏み込んだ。

 馬車の中にはアルメリアと見知らぬ若い男、そして中年の男がいた。

 中年の男は地べたにたおれこんでいる。外傷はないようだが、しんだというのはこの男か・・・


「あら、ひさしぶりね」


 アルメリアがニッコリと微笑む。

 こいつ・・・何か変だ。以前あったときはなんというかもっと愛嬌というか隙があった。

 今はそれがない。ように感じる。


「ハチを牢に入れていたことを怒っているのね?それについてはごめんなさい。でもその子が悪いのよ。急に逃げ出したりするから、お仕置きしていたの」


「こいつは俺の眷属だぜ。お仕置きなら俺がする」


「でも仕方なかったの。私はあなたとの戦いで消耗していたから、こうするしかなかったのよ。でも・・・それももう治ったわ。もう大丈夫。こんなことは2度としないと誓うわ」


「どうだかな・・・」


 いいつつ、考える。

 案外話が通じる?力で俺たちをどうこうする気がない?

 俺を仲間に迎え入れるというは嘘ではなかった?

 だが、安易に信用することはできない。なにせこいつは悪魔なのだ。

 信用することはできないが、だからといってここでごねて状況が悪化するのもまずい。

 機嫌を損ねられて力で来られたら対応できない。


 騙そうとしてるなら、騙せていると見せかけて時間を稼ぐ。

 本当に仲間に迎え入れたいと思っているなら、それを利用して時間を稼ぐ。

 時間を稼ぐしか正解がないのは悲しいが、実感を稼げばそのうち俺が強力な魔道具を作れる可能性もなくはない。


 そのために必要なのはこちらを軽く見られず、相手が怒りださないような丁度いい落としどころだが・・・


「サトミさん!」


 プレセぺが倒れている男の心臓の音を確かめている。


「た、大変です!息をしていません」


 う、うん、確かにそれは大変だけど今はその次元の話はしたくないのでおいといてほしいというかなんというか。

 はっきりいって知らないおじさんが亡くなってようがこっちの身の安全が第一だ。

 でも、プレセぺとハルはその反応の方が正しい。そのままでいてほしい。

 だからお兄さんはがんばるよ。


 ・・・


「アルメリアはその男の魂を奪ったのか?」


「ええ、そうよ」


 あっさり認めるアルメリア。


「その男は奴隷商だったの。たくさんの奴隷を不幸にしたの。悪い奴なの。だから私が魂を奪ってやったのよ。ねぇジェイド?」


 ジェイドと呼ばれた若い男は「そうだな」と短く答えた。

 アルメリアは「そういえば自己紹介がまだだったわね」とジェイドのことを紹介してくれた。


「今回のハチに対する仕打ちだが、そいつの魂を返すことで手打ちというのはどうだ?」


「それは無理ね」


 アルメリアがいうには魂はもう使ってしまったらしい。だからもう魂は消滅してしまった。だからもう生き返ることはできないのだそうだ。

 でも・・・俺には生き返らせれそうな感覚があるのだが?

 ハルのときもチウネのときも魂がない状態で生き返らせれる感覚があった。


「試しに生き返らせてみていいか?」


「駄目よ」


 しかしきっぱりと断られる。

 そんなことできないし、もし成功しようものなら天界の使いが来るわ。と彼女は付け加えた。


「天界の使いか。あのフルアーマーで片言で話す奴か?それなら大丈夫だ。俺は一度そいつを倒している」


 まさか、と驚くアルメリア。

 倒すことは倒したが俺の力ではない。でも今はそのことは内緒だ。とりあえずはったりをかましておくことにしよう。

 ハチが「ほんとうだよ!主様はてんかいのつかいをやっつけたよ!」とフォローしてくれる。


 アルメリアの驚き具合から天界の使いはアルメリアクラスであっても脅威な存在であると推測する。

 よかった、パワーインフレにのまれてなかった。奴は逃げるための切り札になりうるらしい。

 さらに奴を呼ぶための条件もわかった。

 魂のない状態での蘇生術だ。

 これで逃げるための切り札はできた。最悪この男に蘇生術を使ってとんずらすればいいわけだから、もうちょっと踏み込んだことを主張してもいいかもしれない。

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