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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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胃が痛い事実に気が付く

 最悪の場合、アルメリアとの戦闘になると思い、できるだけ強力な武装をしてきた。

 アルメリアはいなかったが、どうやら盗賊のアジトらしい。

 見つからないように出口を目指そうと、ハチを逃がすべく意気込む俺。


 だが、しかし・・・


 ハチが閉じ込められていた檻は馬車の中にあった。

 数台の馬車がオアシスで休憩をとっているところだった。

 ここって、別に盗賊のアジトてわけじゃない?のか?


 盗賊たちは水を補給したり、体を洗ったり、くつろいだりしている。

 全く警戒していないように見える。

 アルメリアがいないなら、ハチの足なら逃げ出すのは余裕なのでは?

 俺がいたほうが足手まといになるのでは?


 馬車から出していた顔を引っ込める俺。

 利き手で持つゴットナイフを見つめ、考える。


 ていうか俺はこのナイフでどうやって戦うつもりなのか?

 そりゃ、一刺しで息の根を止めるしかあるまい。

 しぬよね?相手しんじゃうよね?

 ナイフで盗賊たちを刺して回る俺を見て、ハチは生命の大切さに気付いてくれるだろうか?答えはノーだ。そんなわけないわ。


 勢いでここまできてしまったが、冷静に考えるとやっぱり俺もハチの腹の中に入ってハチにひたすら逃げてもらった方がいいような気がしてくる。


 でも、まて、それでハチは捕まったのだ。

 そんなことすれば同じ間違いを繰り返すことになる。

 ハチだけではアルメリアからは逃げれない。だからやっぱり俺がついていることが必要じゃないか。

 盗賊ならハチがなんとかできるから、アルメリアを足止めするために俺は必要なのだ。

 あくまでアルメリア対策として。

 バジリスクやハチを片手でふん捕まえられれて、近代兵器を片手ではじき、俺の手持ちのアイテムに傷一つ付かないアルメリア対策として俺が必要なのだ。


 ・・・

 ・・・

 ・・・あ、胃が痛い。


 さっきは口先三寸でなんとか丸め込めた、ような気がしていたが、ハチのこの扱いを見ると丸め込めてはいなかったようだ。

 倒すのは無理だからもう逃げるしかない。

 でもアルメリアは瞬間移動魔法が使えるらしい。

 無条件で制約もなく使えるわけはないと思いたいが、希望的観測はできない。

 一時的に逃げ出すことは可能だが、すぐ捕まる可能性が高い。

 倒せない。逃げれない。話し合えない。


 となると・・・


「おい、起きろ」


 盗賊を叩き起こす。

 まずは情報収集だ。何か弱みになることを聞き出せればいいのだが・・・


 ナイフをちらつかせても盗賊Aは口を割らなかった。

 仕方ないのでハチにハルとプレセぺを吐き出させ、盗賊Bをハチの腹の中に入れて脅してみることにした。

 のびてるとはいえ盗賊をハルやプレセぺと同じ場所に閉じ込めることはできない。


 食われることに恐れをなしたか、あっさりと盗賊Aはいろいろゲロってくれた。

 一緒に腹の中に入れたチウネの迫真の演技が聞いたのかもしれない。


「ええ!?なんで私だけまた食べられないといけないんですか?!」


 だってお前さっき俺を出し抜こうと勝手に行動したじゃん。敵の真っただ中にお前みたいなの野放しにできないよ。


「お目だけじゃない。盗賊Bも一緒だぞ。」


「なお悪いですよ!襲われたらどうするんですか!?」


 涙目のチウネ。プレセぺも反対のようだ。「いくらなんでもひどいのでは?」と抗議してチウネが「天子様・・・」と縋りつく。

 ああもう、仕方がない。君にはこれを与えよう。俺はそっとゴットナイフをチウネに握らせた。


「危なくなったらそれで」


「ど、どうしろって言うんで・・・」


 最後まで聞かずハチに飲み込ませた。

 盗賊Bはまだのびてるからたぶん大丈夫。

 万が一刺してしまっても問題ない。俺が生き返らせよう。

 そんときゃ、今度こそ天界の使いが来てくれたらいい。

 なにせ盗賊だし。おとりに使っても比較的良心も痛まなくてすむ。


 でもそういえばチウネを生き返らせたとき天界の使いはこなかったんだよな・・・なんでだろう。

 ハルの条件が悪すぎたための特例だったのか、天界の使いは一人しかいなくてアンリウムが倒してしまったのか、復活するのに時間がかかるのか、他に理由があるのか?


 考えてもわからないから仕方がない。とりあえず来ないものとして着たらラッキーぐらいで対策を考えていかなくてはならない。

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