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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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オアシス

 最果ての地は恐ろしい場所だ。少しづつ地形が変わる。最果ての地は少しづつ広がっているらしい。

 だが、まだ最果ての地に踏み入ってまもないころならその影響も少ない。

 ジェイド達は予定通りオアシスのある場所をみつけてキャンプを開始する。

 これで水も確保できた。


「ぼっちゃん!無事にオアシスが見つかってよかったですね」


 ガプスがそういって笑う。

 アルメリアからオアシスのある個所を聞いてはいたが何しろここは危険な最果ての地だ。何が起こるかわからない。皆、無事にオアシスを見つけれたことを喜んでいた。


「娘の様子はどうか?」


「娘と従者は問題ありません。問題なのは奴隷商の男の方でさ」


 きけばロレンスは日に日に痩せこけているという。

 奴隷商の中には奴隷の扱いが劣悪なものもいる。そういうものなら次は我が身とそうなることもわかるがロレンスはそういった悪い話は聞かない。

 娘を手にかけようとしたり大げさなことだ。


「どこへいくつもりなの?」


 アルメリアが釘をさす。


「商品のケアは大切だろう?」


「娘をもらうのは私なのよ。その心配はないわ」


「娘の方じゃない。父親の方だ」


 本気なの?

 アルメリアがものすごく嫌そうな顔をする。


「そんなんじゃ商品に情が移るんじゃないの」


「かもな」


 ジェイドは気にしたふうもない。


「お前の方こそ、連れてきた狼は何のつもりだ?」


「あなたに迷惑はかけてないわ」


 数日前、ぼろぼろになってアルメリアが帰還した。

 もともと神出鬼没な女だったが今回は特に疲弊していたようで狼を牢に入れ、餌も何もやるなと命令すると早々に寝入ってしまった。それから3日間眠り続けた。今も顔色は良くない。


「食いものも水もあたえていないそうじゃないか」


「それこそ余計なお世話よ。食費がかからなくてよいことじゃないの」


「趣味が悪い」


 ジェイドは諭すように言う。


「殺すなら一思いにやれ。飢えさせて苦しませて殺すつもりか」


「ええ、ええ、お優しいことね。あなたは盗賊の頭目なのでしょう?」


「だからこそだ。俺は仲間を守らなければならない。」


 仲間の間では人間だ。獲物の前では悪魔になる。大嫌いなガプスと、そして父親と同じことをしている。

 結局それが最初から答えだった。

 悪魔の自分を普段の生活にまで持ち込めば、いずれは破滅しかないだろう。


「殺すつもりがないのなら、水くらい与えておけ。」


 ここには水はたくさんある。ジェイドはそういって去っていった。


 本気で奴隷商に会うつもりなのだろうか?

 会って何をするつもりなの?

 アルメリアにはわけがわからない。

 いや、わかっている。かつてのアルメリアが大切だと思っていたことをやろうとしているのだ。そしてそれは今のアルメリアにとっても好ましいもののはずだった。不器用な彼の偽善はすさんだ彼女には心地いい。


 でも、カルラと会った。

 カルラは全く変わっていなかった。

 そして、プレセぺともであった。


 この感情もみんな、あの娘のせいで呼び起されているんじゃないかと思うと不快で不快でたまらない。

 悪魔になって悪魔の役割をはたして、それでも大切だと思っていたこの思いは何なのだろう。わからなくなる。

 だからあの娘は危険なのだ。


 サトミに封じられた魔力は全く戻っていない。3日間寝ても何も変わらない。自然治癒は不可能のようだ。

 今コントンに回復されたら万が一が起こる可能性がある。

 だからコントンには水も餌もあたえていない。


 信頼できる仲間はいない。仲間はみんなかわってしまった。

 みんなみんな純粋だった。純粋すぎたのかもしれない。悪魔の役割は、みんなの心も悪魔にした。

 自分は最初から汚れていた。だから中途半端なままなのかもしれない。


 コントンを拘束する行為。それは自分を追いつめる行為でもある。今ならコントンの造反を理由にサトミから現状への譲歩を引き出せる自信があるが、あまり時間がたつてしまえば借りを作る・・・どころか交渉が決裂する危険性もある。

 もう時間がない。無理にでも魔力の封印を解く必要がある。そのために必要なのは・・・


「・・・魂」


 アルメリアはジェイドの後を追う。

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