表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
68/266

目覚めて

 遅い、いくらなんでも遅すぎる。


 俺がハチの腹の中に入ってほとんど時間はたっていない。でも、前回は行ったときよりは確実に時間はたっている。

 前回腹の外に出たときハチは半日走っていたといっていた。

 だったら今、外ははどれくらい時間がたっている?2日か、3日か。もしかすると1週間か・・・

 まさか、アルメリアにはめられたのか?


 難しい顔をして考え込む俺に、ハルが心配そうに見上げている。

 ハルはハチの腹の中に入ってからずっと俺にくっついている。

 もともと人見知りみたいだから知らないプレセぺとタナカのそばにはあまりいたくないのだろう。

 当のプレセぺは眠ったまま。タナカは相変わらずおびえてしまっている。


 タナカは記憶を失っているといっていたが、それはハルのようにすべてを忘れているというより、俺のようになんとなく覚えているが思い出せない程度のようだ。

 天使を天使と認識しているし、俺とハルを見る目も気になる。

 何か汚いものを見るような目で見ていると感じるときがある。

 ハルが俺のそばから離れないのはそのせいもあるのかもしれない。

 おれだけなら兎も角、ハルにもそういう目を向けるとなるとこれから先俺の眷属として一緒にやっていくのは難しいを言わざるをえない。


「ふ・・・あ」


 プレセぺが目覚めた。


「天使様お目覚めになられたのですね?」


 俺たちに向ける視線とは明らかに違う心酔した表情。

 救いの主が目覚めたとばかり感極まった様子である。

 プレセぺはそんなタナカをきょとんと見つめる。


「えっと・・・失礼ですけど、どなたでしょう。おあいしたことはありましたか?」


 そりゃそうだろうよ。


「も、もうしわけありません。わたくしメーティアと申します。このたびは天使様と言葉を交わす栄誉に預かり恐悦至極にござりましてそうろう」


 こいつ・・・どんな言葉遣いだ?ていうか名前覚えてるぞ?どういうことだ?


 プレセぺは恐縮しきりで話すタナカに戸惑い、俺を見つけて助けを求める。

 でもそんなめされても困る。助けられないよ。なんか嫌われてるっポイし。

 プレセぺが俺のそばにいるハルに気が付いた。


 まぁ!


 とたんに目がキラキラと輝きだす。


「私はプレセぺと言います。よろしくミーティアさん」


 もったいないお言葉ですと恐悦至極のタナカ。さりげなく名前を間違われていることにも気づいてない。

 プレセぺよそいつはタナカなんだ。ミーティアと呼ぶんじゃない。

 俺のそんなつっこみを知る由もなくハルに近づく。


「あなたのお名前はなんていうの?」


 ハルは知らない人が近づいてきて怖いのか俺の後ろに隠れる。

 プレセぺは視線をハルに合わせてしゃがみ、警戒心をとく笑顔で春に笑いかける。

 戸惑い俺の方を見上げるハル。

 俺はうなずく。

 たぶんそいつは悪い奴じゃない。タナカと違って。


「名前はハルっていいま・・・」


 ハルが名乗ろうとしたとき。


「いけません!」


 突如タナカがわってはいる。

 どういうつもりだタナカ。まさか悪魔と口を利くなけがらわしいとか、わかりやすい悪役みたいな真似する気じゃないだろうな?


「そのものは悪魔です!気を許してはなりません。」


 タナカは分かりやすい悪役だった。

 なに言い出すんだこいつ。

 よりにもよって本人の前で、ハルがとても傷ついた顔をする。

 こいつとは仲良くできないと確信する。


 殴るか?

 殴ってどうする。それで何か解決するのか?

 謝れと迫るか?

 そんなんで誤らせたってハルが傷つくだけじゃないのか?


 とっさにいい解決案が出なくて悩む。

 ちょっと本気で生き返らせたっこと後悔してるんだけど・・・


 プレセぺは一瞬とてもさみしそうな顔をする。

 でもすぐにそれは消える。


「悪魔ってなんですか?」


 小首を傾げるプレセぺ。本当に悪魔が何かわかっていない・・・わけないわな。でも自然な動作だ。案外演技派なのかもしれない。


「何を言ってるのですか?悪魔とは邪悪な存在です。」


 力説するタナカに、そうなんですか?と相槌をうつプレセぺ。


「ハルちゃんは悪い子なんですか?」


 ハルは泣きそうな顔でうつむいてしまった。

 駄目だよプレセぺ、うちのハルはガラスのハートだからそういうのには答えられないんだよ。


「そんなわけないだろ」


 すかさず俺がフォローする。


「だったら悪魔じゃないじゃないですか?」


「そういう話ではなく、生まれついての邪悪なのです!」


 必死に食い下がるタナカにも、プレセぺは「でも悪い子じゃないっていってますよ?」とかなんとかいって適当に受け流してる。


 ハルはそんな2人の様子をあっけにとられてみている。


 うーむ・・・いかんなこれはいかん。

 そんなプレセぺを見て俺は思う。

 プレセぺは良いことを良いと主張してそれが受け入れられる娘なのだ。


 プレセぺに初めに会ったとき平静ではいられなかった。

 顔だけならタナカだって悪くないけどそんな気持ちにはならなかった。

 かぶんプレセぺのもっているそういう性質が、空気がなんとなくわかったからまいあがっていまったんだろう。


 こいつは俺が好きになる可能性のある女だ。

 やばい。こぶつきなのにそれはやばい。

 俺はプレセぺとはだいぶ距離をおこうと決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ