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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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対峙

 参ったわね、アルメリアは目の前でサトミ達を腹の中に収めたコントンを見て思う。

 アルメリアの目的はあくまでプレセぺの回収だ。これではプレセぺだけを連れ出すことは不可能になってしまった。

 空間転移に人数制限をつけたのもそのためだが、まさかこんな手を使ってくるとは思わなかった。


 本来ならこのコントンや悪魔の血を引く人魚も回収したいところだが、その主たるサトミという男、はかりしれない力を持っている。アルメリアも「大きな痛手」を負った。簡単には手を出せない。仲間にできるならそれにこしたことはない。


「主様はおれににげろといった。でもおれはできなかった」


 コントンは先ほどから敵意を秘めた視線でみつめてきている。


「そんな怖い目で見ないで?サトミと私は和解したのよ?大人しく私についていらっしゃい」


 けれどコントンは大人しく従う気はないようだ。


「おれがよわいからだ。主様だけならおまえにかてたのに」


「それは、聞き捨てならないわねぇ」


 内心の動揺を押し隠す。


「あなたのご主人様の攻撃は2度とも私にかすり傷ひとつつけられなかったのよ?」


「うそだ!いまのおまえはおれよりよわい!」


 ・・・やはりこのコントンは気づいている。

 今のアルメリアが通常の10分の1の力も出せないほど弱体化していることに。


 最初のサトミの攻撃をとっさに右手ではじいたとき、魔力の感知機能にわずかな支障が生じてしまった。

 だから2度目のサトミの攻撃の本当の意図がわからなかった。

 彼は2枚の銅貨と3枚の銀貨の魔道具を投げてきた。銅貨2枚はフェイクだ。たいした破壊力は持たない。銀貨のほうが本命。強力な破邪の力が込められていた。けれどそうとわかっていれば対策はとれる。破邪の銀貨ように結界を張った。

 だが、ひかりの矢によって魔力の感知機能に支障が生じていた彼女は気づかなかった。破邪の銀貨すらフェイクであり、3枚の銀貨の中で1枚だけ混じっていた封魔の銀貨こそが本命だったことに。

 結果、アルメリアの魔力は10分の1にまで封じられてしまった。

 サトミに仲間になるよう提案したのは蘇生術に驚いたのもあるが、これ以上戦うことが不利と判断したからでもある。

 今の彼女でも目の前にいる満身創痍の傷ついたコントンなら手こずることもないだろうが、万全の状態で出会っていたら少々やっかいなことになっていたかもしれない。

 コントンの主人であるサトミの実力もいまだ推し量れてはいない。

 力を封じられており、なおかつ不確定要素が多い現状のまま戦うことを避けたのだ。


 まさか、適当に投げた攻撃アイテムでそんなことがおこったなどとはアルメリアはもちろん投げたサトミですら知るよしもない。


「サトミはあなたに私についていくよういったんじゃないの?命令を逆らうの?」


 攻め方をを変えてみるアルメリア。しかし・・・


「主様はおれに・・・逃げろって言った!」


 コントンはいうや否やアルメリアに背を向けて全力で逃走を開始する。


「ちっ」


 無駄なことを、アルメリアはハチの後を追う。


 ・・・


 ハチの体は満身創痍。走るたびに体が痛い。でもサトミからもらった壊れた神の紋章が不思議と力を与えてくれているようだ。さっきよりは頑張れる。


 アルメリアはすぐにおいついてくるだろう。このままだと逃げた意味がない。


「かるらが、いれば・・・」


 カルラがここにいたような臭いはするのだ。だがその臭いは途中で途切れてどこにいったのかはわからない。


「かるら、かるら、どこ?」


 必死に探すが・・・アルメリアの放った魔力の弾丸がハチを貫いた。


「全く、余計な手間かけさせないで」


 アルメリアは気絶したハチを見下ろして嘆息した。


 ・・・


「ふぇくしょん!」


 盗賊の村、教会の地下室、投獄中のカルラがくしゃみをする。


「誰か女が俺の噂をしてやがるな」


 そして一緒に投獄されているヒラキンという少年を見る。無愛想な男だ。ほとんどしゃべろうとはしない。どうやら、一緒にいたというプレセぺという女を心配しているようだが・・・もしかすると


「お前の言うそのプレセぺって女、俺にほれちまったのかもしれないな」


 ヒラキンがカルラを見る。けどすぐに視線を外す。その目は如実に語っていた「何言ってんだこいつ?」と


 でもカルラは気づかない。


「もてる男はつらいぜ」


 やれやれとつぶやいた。

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