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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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教会

 かつてこの世界には8つの大国があった。言わずと知れた「王の血族の国」だ。

 下界に住まう者の力だけをもってすれば亜人のほうが強く、賢く、栄えぬ理由はなかったが、「王の血族」の加護の前では無意味だった。

 もっとも栄えるのは8つの大国。亜人たちは最果ての地へとおいやられていった。

 下界における力関係は「王の血族に庇護される人間」>「亜人」ではあったがそれはあくまでも王の血族に庇護される人間に限った話である。

 人であっても「王の血族に庇護されていない」、すなわち「王の血族の国に住めない」人間にとっては亜人と同じ境遇。いや、亜人より弱く力も持たない彼らにとってはさらに厳しい環境が待っていた。


 彼らは小さな集落を点々とつくり、ただ毎日を生き抜くために生きていた。


 例外はある。勇者との邂逅をえて、名前を授かった国々だ。

 純粋なる人の国として、8つの国以上の国をつくっていった。


 人は人だけの国を作り、栄え、同じ人同士の国で争うようになり、次第に8つの国のことも忘れていく。今では国力として8つの国と同等かそれを凌駕する国も存在する。


 ジェイドの村はそんな人の国、になりそこなった村だ。勇者の来訪により村は少しだけ豊かになったが、むしろその少しだけが最悪の種になった。

 今まではただ生きるために生きていた。少しだけ豊かになれば他の物がほしくなる。日々をより充実させるために楽がしたくなる。そんなとき村に現れたのが「銀の教団」だった。

「銀の教団」は村に教会をたてた。


 かつて、教会は天界に連れ去られた人と下界の人をつなぐ唯一の場所だった。

 天界で神として学んでも人を忘れられなかった者達が教会の神父として派遣された。彼らは決して教会の外から出てはならないが、協会の中から人を見守り続けることができた。

 今ではもう、大半の神候補を天界に連れ去ってしまったため、天界は下界への興味が薄い。

 教会もあまり残ってはいない。


「銀の教団」は村に教会をたてたが、それは神が見守る教会ではなかった。

 さらった、買い取った子供を集めて、悪魔に変える訓練をうけさせる秘密の場所だ。

 ときどき亡くなった子供が教会から運び出され、補充するかのように子供がつれてこられる。


 ・・・


「ここが盗賊たちの村なのですね?」


 村、というより町ですね。聖職者風の服を着た女が言う。

 彼女の名はテレサ。ソロモン、かつての妹の国出身の少女。


「ここにも銀の教団が教会をたてている。さらわれた子供たちはここにつれてこられているのだ」


 騎士の鎧に身を包んだ女が答える。

 彼女の名はジャンヌ。ジアント、かつての弟の国出身の少女。

 ソロモンは現在ジアントの庇護下にある。2つの国は密接な交流があり、2人は旧知の中でもある。


「偵察に行ったサクラの話だと、盗賊の頭目達主力部隊は1か月ほど前に最果ての地に遠征に言ったらしい。戻ってくるのはもう1か月先だとか。」


 サクラはオリンポス、かつての父の国出身の少女だ。


「今が叩くチャンスですね、勇者様」


 勇者と呼ばれた男は盗賊の町をながめつつ答える。


「ここって8つの国の一つじゃなかったよね。だったら俺がよる理由はないんだけど。」


 勇者の使命はあくまで魔王を倒すことだ。彼の言うことは正論だ。

 少女たちは不満を感じつつも納得するしかない。

 しかし、彼女たちは知っている自身の敬愛する勇者様は決して盗賊を、教会をほおってはおけない。


「銀の教団のやっていることは見過ごすわけにはいかない。」


 勇者は仕方がないというふうに立ち上がる。

 さすが勇者様と少女たちから賞賛をうける。

 彼は勇者、異世界に召喚された際にチートな能力を受け継ぎ、正義に燃える熱い心はないものの困った人はほおってはおけないお人好しでいてなぜか出会う仲間は美少女ばかりという、まごうことなき勇者だった。

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