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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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力がほしいか?

「悪魔っていうのはね。本来この世界とは別の世界から来た人のことを言うのよ。」


 アルメリアが言った。彼女の話では、かつて現住の神が滅ぼされた時その一部はこことは違う別の世界に逃れたのだという。その存在はほかの世界でほかの世界の住人として生まれ変わった。

 ようは魂は神で体は人として生まれ変わったということらしい。

 そいつらがこの世界に呼び戻された時、その存在のことを悪魔と呼ぶらしい。というかよんでいたらしい。

 だが、時がたった今では、その悪魔に力をあたえられた存在や、悪魔との間にできた子供や、とにかく邪悪なものもなんでもひっくるめて悪魔と呼ぶようになったらしい。

 でも、よくよく考えるともともとの意味の悪魔ってのも現住の神を表してるわけだから別に悪魔じゃないよね?


「今はそこらへんは適当なのよ」


 アルメリアはそういって手をパタパタと振った。

 異世界から召喚された人全般を悪魔と呼んでいた時期もあったらしい。

 ちなみにアルメリアは悪魔から力を与えられたのだという・・・と、ちょっと待てよ。


「異世界から召喚されたのが悪魔なら、勇者も悪魔になっちゃうんじゃないのか?」


 アルメリアは少し驚いたような顔をして「面白いことを言うわね」と言った。

 そしてしばらくの間、物憂げな表情をしていた。


 ・・・一応、断っておかないといけないだろう。俺はアンリウムに悪魔と告げた。

 この世界における悪魔はアルメリアが言う悪魔なのかもしれないが、俺の中でいう悪魔は元の世界の悪魔だ。人を陥れたり、裏切ったり、だましたり、そそのかしたり・・・魂を奪ったり。


 この世界の悪魔がどういう存在であれ、俺の中の悪魔がどういう者かかわることはないだろう。


 ・・・


 アルメリアの瞬間移動魔法で俺たちは盗賊たちの村とやらへ連れて行かれることになった。

「人数制限があるから一人づつしかつれてけないのよね、でも歩くのもね」とぼやく彼女に「おれならはこべるよ」と主張したのはハチだ。

 傷ついて、立ってるだけがやっとだったけど頑として主張した。


 行きたくねぇ、盗賊の村なんか生きたくねぇ。

 異世界に来て初めて目指す村が盗賊の村ってどうなのよ、と激しく思う。

 全くハチは余計な提案をしてくれたものだ・・・とは

 口が裂けても言えない。


 ハチはとても自分をせめていたのだから。


「おれ、まけたのか?」


 しょんぼりとハチが言う。


「ごめん主様」


 ハルがハチを励まそうとするがなんといっていいかわからないみたいだ。


「気にすることはないよ。いつもモンスター退治してもらってるじゃないか」


「でも、たいせつなときにいつもまけてる」


 それはまぁ、そうだけど・・・

「かませ犬」というより「雑魚選」だから大丈夫、元気出せよ!などとは・・・冗談言ってる場合じゃないよな。

 バジリスクのときは兎も角。アルメリアにけしかけたのは間違いなく俺のミスだ。

 次は自分で戦うと思っていながら、あまりにレベルが違うと思いハチをけしかけたあげく、ハチまで危険な目にあわせてしまった。

 強くなったとはいえ、ハチはまだ子供なのに。


「おれに、もっと、ちからがあれば・・・」


 ハチは本当に落ち込んでいるようだ。

 でも、その台詞はいただけません。闇堕ちフラグじゃないですか?


「ハチ、これをお前にやるよ」


 俺はハチに壊れた神の紋章をわたす。


「これがあったから俺は石化しなかったんだ。今度こういうことがあったら助けてくれよ?」


「・・・いいの?」


「本当はハルにもあげたいけど一つしかないんだ。だからハルも助けてやれよ」


「もちろん!」


 ハチは喜んで壊れた神の紋章を受け取った。

 ハルもハチの落ち込みが治ってうれしそうだ。


「主様はつよいね!おれも主様みたいになりたい!」


「え?」


「おれがまけたとき、いつも主様がたすけてくれるよ。こんどはおれがたすけるからね!」


 バジリスク相手には逃げてただけだし、アルメリア相手には本当になんにもしてないんだけど。

 むしろアルメリアのときは自業自得というか自分で進んで危ない目にあわせてしまったんだけど。

 みっともなく恥も外聞もなくこびへつらったんだけど。


 でもハチはそう思ってなかったらしい。


 ハチと初めに戦ったときはアイテムの力もあり勝った。

 ユルルングルと天界の使いの時はアンリウムの力で勝った。

 バジリスクのときは石化してる間に俺が何とかしたと思っているらしい。

 アルメリアのときは俺が何かしようとしたのに自分の力が足りなくて俺の脚を引っ張ったと思ってるらしい。


 ハチ視点で見ると俺って・・・


 強くならないといけない、などとがらにもなく思う。

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