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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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むかしむかし

 むかしむかし遥かむかし、下界とも天界とも違う別の世界。次界。

「王」という存在がいた。


「王」は一個にして全て。一個にして無。全知全能。完璧なる存在。すべての可能性を抱え込んだまま次界にただ存在していた。

 ところがあるとき「王」は自分の9つの分身をつくった。すなわち「父」「母」「兄」「姉」「弟」「妹」「息子」「娘」そして「影」。


 その理由は諸説あるが「影」がそそのかしたというのが最も一般的だ。

「影」は「王」になり替わろうと考えた。けれど「影」だけでは「王」の力には遠く及ばない。「王」になりかわるべく8つの「王の血族」をつくらせた。


「王」は自分を超える存在として「王の血族」をつくったとされる。その順は定かではない。「父」からつくったのか「母」からつくったのか、はっきりしているのは最後に作ったのが双子の「息子」と「娘」ということだけだ。2人を作って、王の目的は果たされたとされる。

「王」は「息子」に天界を新たに作り、「娘」には下界をいずこからか探しだしてあたえた。

「王」はついに力を使い果たし、「影」は「王」を滅ぼした。


 けれど、「影」の「王」になりかわるというもくろみはすぐに「王の血族」に知られることとなる。

 怒り狂った「王の血族」は「影」を滅ぼそうとした。

「影」は下界に逃がれ、それを追った「王の血族」も下界へ降りた。

 天界に残ったのは、王の「息子」ただ一人。


「息子」は天界に新たな世界を作ろうとした。自らの眷属として「神」をつくった。ところがそれは「母」によって奪われてしまう。

 地上には「王の血族」とは別の力ある者達とその眷属たちがいた。のちに「現住の神」と呼ばれる者達だ。「影」はその中に紛れ、一向に見つけることができなかった。

 しびれをきらした「母」は自らの手先として「影」を探させるため、天界の住人になるはずだった「神」を、その種達を、下界にばらまいた。


 下界を与えられた「娘」もまた、自らの眷属として「人」をつくったばかりだった。

「神」と「人」その見た目は瓜二つでみわけることはできなかった。

 ただ、違うのは「神」には力があり「人」には力がなかったこと。


 下界で「神」と「人」は混ざってしまう。

「神」は「人」となり「人」は「神」となった。

 天界の「神」の力と下界の「人」の心をもつ「彼ら」が生まれた。

「彼ら」は、自らを「影」を探す道具として使う「王の血族」を次々と滅ぼしていった。

 そして「彼ら」は「王の血族」の呪いを受けた。


 自らの眷属を奪われた「息子」はただ手をこまねいているだけではなかった。

「神」と「人」の違いは力の有無。力ある者達を、天界に連れ戻すことにした。

 何回も何代にもそれは気を遠くなるような作業だったが「王の血族」には永遠を生きる命があった。

 目的は果たされ、今ではもう下界に力を持つ人間はほとんどいない。

 例外は「彼ら」


「彼ら」は「王の血族」の呪いとともにその絶大な力も手に入れた。

「彼ら」は「人」を愛し、憎み、庇護し、そして繁栄させた。

「彼ら」は「王の血族」そのものと畏怖されるようになった。


 それはむかしむかしの物語。

 まだ何が「神」なのか、「悪魔」なのか、「王の血族」なのか、明確な違いで分かれていたころの物語。

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