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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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悪魔

 悪魔、俺のことを悪魔であると女、アルメリアというらしい、は言った。

 だがそこまで意外な気はしてない。

 どこかの神様が、その神様を信仰する民族と敵対する民族にとって悪魔である、ということはよくあることだ。

 キリスト教の悪魔が他の国の神様だったりとかね。

 俺は神様らしいけど、この世界の人達が信仰する神様にとっては悪魔なのかもしれない。


 アルメリアは自分も同じ存在なのだと告げた。


「その女を素直に渡してもらえれば、争うつもりはないわ」


 アルメリアはプレセぺを指してそういった。

 どうやら、この女の目的はプレセぺにあるらしい。

 知り合いだろうか?

 態度と口調からして仲間のようには見えないが。


「乗り気じゃないって顔ね?でも、その娘の能力が何か知ってもそんなことが言えるかしら?」


 探るようにアルメリアは言った。

 やはりアルメリアはプレセぺの知り合いらしい。それも敵対しているように感じられる。


 プレセぺを疑うように俺を誘導したいようだ。

 なんとおめでたい。

 俺は内心鼻で笑う。

 バジリスクを素手でふんづかまえて半殺しにする女とプレセぺでは、どちらを信じるか火を見るより明らかではないか。


「その娘の能力はとても歪なものよ、思うように世界を変えてしまう。あなたがその娘に好意を抱き助けたいと思ったのも、その娘がそれを望んだからなのよ」


 アルメリアの話はこうだった。

 プレセペは自分が思うように、世界中で起こっている出来事を変えてしまう能力がある。好きな人に告白されたいと望めばされるし、どこかの国で戦争が起こってほしいと思えばおこる。

 それが本当ならとんでもないチート能力だ。


「私もその娘の能力を甘く見ていたわ。この娘の視界に入らなければ、意識の中に入らなければ、その力は発揮されないと思っていた。」

 だから遠ざけたのに、でもそうじゃなかった。とアルメリアは言う。


「あなたがここを通りかかったそのこと事態がこの娘の力によるものなのかもしれないわ」


 なんとも壮大なことを言う。

 でも俺はそんな話は信じれない。

 だって、そんなすごい力を持っているなら、こんなところにうろついてないで、どこかのお姫様にでもなってるんじゃないだろうか?


「その力事態はそう珍しいものでもないわ。運命を変える力なんて誰にでも備わっているもの。干渉しあい打ち消しあって大した意味はもたないわ」

 でもプレセペの場合、天使の力の大半をそのことに使っているためあがらうことが難しい。とアルメリアは続けた。


 いいだろう。ちょっとだけ、ちょっとだけアルメリアの話を信じたとしよう。

 プレセぺが運命を変えて俺たちと出会ったとして、それに何の意味がある?

 俺に何をさせたい?

 俺にどんな力がある?

 ヒラキンという相棒と別れてまで寄り道して俺とであった理由は何だ?

 俺に嫌がらせするためか?ハルとハチを石化させ嫌がらせするのが望みなのか?

 プレセぺを見る。

 出会って間もない謎の少女。石化した俺の仲間についてとても気に病んでいた。

 石化を解くアイテムなんて自分の荷物の中にはないのがわかっているのに、俺にあさらせてくれた。

 ちょっと頭が弱いような気もしなくはない。

 だけど、そんな風に人の不幸を望む娘には思えない。


「その娘は見た目通りの可愛い娘じゃない。分かったらせの娘を渡してちょうだい。もちろんただでとは言わないわ。」


 アルメリアは俺の足下の遺体に目をやる。


「そこにあるその死体。その魂をあげる。」


 ?


 それがなんで条件なんだ?こいつは俺が蘇生術を使えることまで見抜いているのか?


 俺は警戒を強める。

 アルメリアは一目で俺を神と見破った。そして蘇生術のことまで知っているのかもしれない。なら、俺の神様パワーのこともわかるのかもしれない。

 俺を利用しようとしているのかもしれない。


 それに・・・魂をあげるってことはまるで

 こいつが、この娘を殺した犯人みたいじゃないか。


 ・・・


「もちろん魂はもらう。でもそれだけじゃ駄目だ。」


 俺はアルメリアに言った。

 もちろんアルメリアを信用したわけじゃない。

 この場でどちらの味方をするかと聞かれたらプレセぺの見方をするだろう。

 でも、もしアルメリアに力づくで来られたら対抗する手段は何もない。

 それに


「そこにいる、俺の眷属を元に戻してくれないか?」


 こんなにいろいろ知ってるのならハルとハチの石化を解く方法も知っているかもしれない。


 もともと、ハルとハチを元に戻したいからプレセペと一緒にいただけだ。

 考えてみればプレセペ自体にこだわる理由はない。


 最悪二人を元に戻してもらったらプレセぺを黙って引き渡すというのもないではない。

 ・・・やっぱりちょっとひどいかな、どうしようかな。


「この眷属、もしかしてコントン?こっちは悪魔の血が混じってるのね。面白いわ」


 アルメリアは石化したハルとハチを吟味する。


「いいわ。それで交渉成立ね」


 なんと、治せるらしい。

 これでアルメリアにも恩ができた。損得勘定で考えるならプレセぺを渡してしまった方がいいだろう。ハルとハチが石化したそもそもの原因はバジリスクであり、プレセぺはその仲間なのだ。

 ただ、その原因になったのはカルラだと思うと簡単にも割り切れない。


「この魂は思ったより上等よ。弱いけど魔力も持っている。あなたまだ力をつけていないみたいだし、この魂で力をつけるといいわ。」


 まずは魂なるものを渡われた。


 魂はビー玉を一回り小さくしたようなものでとても小さい。

 内に炎を宿してゆらゆらとゆらめいている。

 ハルの時は雷のようだったが、種族によって形が違うのだろうか?


 アルメリアの話から察するに、どうも俺の蘇生術に察しがついているわけではないようだ。

 魂を使えば強くなれるらしい。

 そういえば、俺のレベルはなかなか上がらない。レベルを上げるには別の方法が必要なのかもしれない。

 例えば、そうこの魂をつかったりして。


「コントンはね、悪人しか懐かないのよ。あなたなかなか見所があるわ。どう、一緒に来ない?」


 一緒に来ないかと誘われたが、丁重に断った。


 アルメリアは残念ね、というと、ハルとハチの石化を解いた。


「じゃあこの娘はもらっていくわ。気が向いたらアルメリアの知り合いだと「銀の教団」を訪ねるといいわ」


 アルメリアはプレセペを回収しようと魔法の絨毯に近づく。


 これで終わりだ。

 ハルとハチは石化が解けてきょとんとしている。


 ・・・

 ・・・・・・いや、違うな。


「ハル!魔法の絨毯を呼び戻せ!」


 俺は石化の解けたハルと、そしてハチに命令する。


 石化をといたばかりで大変だが仕方がない。


 アルメリアは魂を力を強化するために使うといっていた。

 死体からは既に魂が抜き取られた後だった。

 これはもうこいつが殺しにかかわったことで確定だろう。

 なんで俺が人殺しに協力せねばならないのか?人殺しの話を真に受けなくてはならないのか?


「ハチ、その女を倒せ!!!」


 やりすぎるなよ、と思いつつハチをけしかけた。

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