かわいこちゃんとの接し方。
少女に抱き抱えられてからバジリスクの猛攻は止んでいる。
ただそれが平和的な状況なのかというとそうではなく、むしろバジリスクは怒り狂っている様子である。
少女が俺のそばにいるから手が出せないだけで前にも増して攻撃的な瞳を俺にむけている。
「すみません。あの子は私の仲間なんです」
少女はそういって俺に謝った。
弱っている感じの可愛い娘と言うのも見栄えがする。苛めっ子の心理もわからなくはない。
こうして救けてくれているのだし、きっと訳があるのだろう・・・などと
俺だけの問題ならそう思っていたかもしれない。けれど実際に被害にあい石化したままのハルとハチがいる。
主張するべくは主張してハルとハチの安全を確保しなくてはならない。
相手がかわいい女の子だからって下手に出てはならない。
俺は心を引き締めることにする。
むしろ逆なのだ。ただでさえ許してしまいそうなのだから、許してしまいそうだと思ったら許さない方向で考えていかなくてはならないだろう。
たとえば、さっきの台詞をカルラが吐いたとしたらどうだろう?
「すまねぇな、あのバジリスクは俺のペットだったんだ。へらへら」
ああ・・・いらっとする、いらっとしてきた。
俺はなぜ彼女のことを素直に許そうとしていたのだろう。
やはりかわいいからって甘く見ている自分がいるのだ。気を引き締めなおさなくてはなない。
仲間なんだったら止めろ、そうつっこみたいが救けもらってるのも事実だしぐっと凝らえる。機嫌損ねられでもしたら厄介だからな!・・・的な反応。
そうだ。
仲間なんだったら止めろ、そうつっこみたいが救けもらってるのも事実だしぐっと凝らえる。機嫌損ねられでもしたら厄介だからな!・・・的な反応こそが普段の俺の反応だ。
自分を見失ってはならない。
「さっきから止めようとしてるんですけど、私の言うことは聞いてくれないみたいで」
なんだそれは、本当に仲間なのか?それはあれではないのか?
ワニとか熊をペットにしたけど野生に目覚めて襲われる的な話ではないのか?
真の自分に目覚めた俺はますます少女への評価を下方修正する。
こんなに可愛いのに性格までいい娘なんてそうそういるわけないのだ。
元の世界の俺は女で痛い目にでもあったのかそんなことも考える。
まあ、それはともかくだ。
「治せるのか?」
本題を聞くことにする。
バジリスクの暴走が止まらないのは仕方ない。仕方なくないけどかかわらなけりゃ問題ない。
でもハルとハチは治してもらわないと困る。
「あそこにある石像、あれは俺の仲間が石化された姿なんだ」
「す、すいません」
あわわわわわ・・・てな感じでとりみだす少女。いや、そこまで青くなられても。
ほらほら、俺を抱える手が緩んでるよ。落ちちゃうよ。この高さで落ちたらただじゃ済まないよ。ちゃんともって君。
「別に謝らなくてもいいけど、なおせるのか?」
「た、たぶん・・・」
「たぶん、とは?」
いらっとくる俺。人の仲間を石化させといてたぶんはないんじゃないの?
「その、バジリスクの本当の契約者に頼めば」
「その人はどこにいるの」
「わかりません。はぐれてしまって・・・」
はぐれた?さらにいらっとくる俺。
「こんな危険なモンスターを野放しにして、しかもろくに言うことも聞かせられない君に預けてどこかにいってしまったのか?」
「そ、そんな、ヒラキンが悪いわけじゃないんです」
必死にフォローする少女。ヒラキン、男の名前だな。
なんか別の意味でいらっときちゃったよ?
「そのヒラキンってやつは・・・」
「突然大きなカラスに襲われて、それで」
巨大な・・・カラス?
「そのヒラキンさんって方は巨大なカラスのせいでどっかいってしまわれたのかい?」
「そうなんです。私に隠れているように言って」
涙ぐむ少女。
おっ、おお・・・
「その巨大なカラスって、何か特徴がなかった?」
「特徴ですか?」
しばらく考え
「とても強い力を持っていました。人を食べたらしくおなかの中に3つの反応がありました。そして口からは火を吐いて・・・」
いや、もういいです。ごめんなさい。本当にごめんなさい。
カルラの奴、一体何やっとんじゃ。
理由はわからないが、ここで彼女らと遭遇したカルラは戦闘になったらしい。
でも、いきなり戦闘になるなんて変だ。カルラにも何か理由があったのではないか?
俺と最初に会ったときだって・・・いきなりケンカ売られたな。
なんだろうなぁ、カップルみつけてイラッときてケンカ売ったのかなぁ・・・カルラだしなぁ、ないとはいえないなぁ。
俺は頭をかかえた。
少女、プレセぺの話ではこうだ。救助要請のサインをみてかけつけたところ、そのサインはだいぶ前に使われたもので救助を要請した人物はすでに骨と化していた。
弔うプレセぺ達の前に突如現れる巨大なカラスのモンスター。
激しい戦いの末、プレセぺは気を失い、ヒラキンとカラスは行方不明。
「そ、それは災難でしたね」
冷や汗をかきつつ、プレセぺを慰める俺。
いやぁ、本当に悪いカラスのモンスターですね。はっはっはっ・・・
相槌を打ちつつ、何食わぬ顔でカルラが戻ってきたときの心配をする。
かるら「よう、サトミこんなところにいたのか?」
ぷれせぺ「あのカラスは・・・!サトミさんこれはいったいどういうことなんですか?」
・・・うん
他人のふりして攻撃しよう。そうしよう。




