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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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プレセぺ

 エキドナお姉さまは高名な天使とお母様の娘で、私と違い4枚も翼をもつ天使でした。

 お母様が「強い天使の力がほしい」という確固たる理由で作った望まれた子です。

 対して私は「いい男だったから」という理由でできた下級天使との子供です。比べるべくもない劣った子。それでもエキドナお姉さまは同じ天使の子供だからと、私をうけいれてくれました。


 私には戦う力はないけれど、別の力がありました。

 それは望むように運命が変わる力。

 最初は、意識していたわけではないけれど、次第にそうじゃないかとわかってきました。

 それを初めて自覚したのはガラスのコップを割ってしまったときのことです。

「怒られたくない」そう思ったら、コップを割ったのは私のせいではなくなっていました。

 でもそれはお母様にばれていました。


「その力を自分のために使えるなら、お前はもう私に保護される必要はないわね」


 私はお母様の宮殿から追い出されました。

 私利私欲のためにこの力を使ったからだと私は後悔しました。でも捨てられた今となっては遅すぎました。


 もう2度とこの力を自分のためには使わないと懺悔したとき、エキドナお姉さまが現れました。

 途方に暮れる私に手を差し伸べ、母と子の契りを結んでくれた。

 私はエキドナお姉さまが幸せになったらいいなと思いました。


 ・・・


 それはいつものようにス-ちゃんの髪をすいてお話をして、帰る途中のことでした。

 スーちゃんはお母様が作った4番目の子供で、お姉さま方達からとてもこわがれていましたが、お姉さまが言うような凶暴な子ではありませんでした。歳は何千年も何万年も私の方が下でしたがまるで妹のように思っていました。


「お前またあの化け物のこところにいっていたのか?」


 デルピオネお姉さまがあきれたと言いました。


「エキドナお母様が呼んでいる。遅れたらまたネメアにどやされる。早く来い。」


 デルピオネお姉さまもネメアお姉さまもエキドナお姉さまと母子の契りを結んだお姉さまです。

 エキドナお姉さまには私を含めて18人の娘がいました。


 よばれた通りエキドナお姉さまのところにいくと、お姉さまがある男性を紹介しているところでした。


「今から、この男に名前を授けます。」


 ヘラクレスと、お姉さまはいいました。


「これであなたはクロノスの呪いから解放される。あなたが父を殺すことはないし、殺したとしてもクロノスの呪いを受け継ぐことはない。」


 ありがとう、男の人はいいました。


「あなた、私からその名をえたいがために私と契約することにしたのでしょう?」


 試すように、お姉さまがいいます。


「そんなことはないよ。僕は君のことを心から愛してるんだ。」


 とても真剣に、馬鹿正直に男性は答えます。


「どうだか、その名前は恋多き名前なんだから」


「僕は君だけを愛すると誓うよ」


 そう言って笑いあう二人。とても幸せそうです。私たち姉妹は拍手で2人を祝福しました。

 こうしてエキドナ様は祝福されて母の国を離れることになりました。

 母の国の娘たちは子供をなすことはできなかったけれど、代わりに愛した男性は娘にとっての恋人になり、そして子供になり、永遠に守り続けるのです。

 不思議な力を持った母の国の娘たちは力を求める他国の男たちにとって渇望と羨望の的なのだと、お姉さまは教えてくれました。


「プレセぺ、ごめんなさい。」


 国を出るとき、最後にお姉さまは言いました。


「私はあなたのことが羨ましかったのよ、私は力を求めて作られた存在。でもあなたは愛し合ってできた子供だったから。」


 お姉さまがそんなことを思っていたとは知らず驚きました。

 謝ることなんて全然ないのに、救われたのは私なのに、お姉さまの素晴らしさを頑張って語る私に、お姉さまは安堵したように微笑みました。


「あなたらしいわ。プレセぺ。今度からはその力を自分のために使いなさい」


 ありがとう、さようなら、私が愛する人と出会えたのは全部あなたのおかげよ、お姉さまはそういって去っていきました。

 なんでそんなことを私に言うのか不思議だったけれど、お姉さまが幸せそうだったのでそれはよいことなのだろうと私は思いました。


 ・・・


 夢を、見ていたのでしょうか?

 なんだかとても懐かしい。知らずと目から涙がこぼれています。


 それにしても何やら騒がしい感じです。

 まるで何者かと何者かが戦っているような。


 戦っている?そういえばヒラキンはどうなったのでしょう。まだ戦っているのでしょうか?

 我にかえって急いで目を開けると私はなぜか砂の中に埋まっていて、ヒラキンのバジリスクが知らない人と戦っているところでした。

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