お腹の中
カルラの腹の中は世界地図だった。
世界地図といっても地球儀を平たく書き写したような御大層なものではない。
丸い円盤が置いてあってその端っこに「さいはてのち」そのうちの1つにマーキングがついてて「ようすいのもり」と書かれている。真ん中へんどには「ゆうしゃとあったばしょ」とか「おれさまのしゅっしんち」とか「ちちのくに」とか「ははのくに」とか「おとうとのくに」とか書かれている。
腹の中は本人のパーソナリティが反映されるのかもしれない。
ユルルングルの腹の中に入ったときはときは澄んだ泉の中だった。
あそこがユルルングルの腹の中といわれれば違和感がなかったし、ここがカルラの腹の中と言われればまぁそんなもんかなと納得してしまう自分がいる。
「主様!これどういういみ?」
ハチが「はじめてやったばしょ」というのを指差して聞く。
「なにをやったの?」
なにをやったんだろうね。お兄さんさっぱりわからないよ。
ちらりとハルを見たら一緒に考えてるところだった。
よかったよかった。女の子は耳年増というからお兄ちゃんちょっと心配しちゃったよ。
「主様!なんかでてきたよ?」
「なんだこれは?」
ハチに言われるまでもなく気づく。白いどろっとした液体が足元からあふれでてくる。
まさか消化液か?
カルラが俺たちをはめて食べてしまおうとしている、などと考えたわけではないが、「ついうっかり消化してしまった」ということならありえなくはない。だってカルラだし。
「ハル、ハチ、こっちへ!」
2人を集める。液に触ったからといって解けるということはなさそうだが、いい気持ちはしない。
俺たちを包み込む形むようにして固まる白い液体。
かなりカチコチに固まってしまった。
「ハチ、これ壊せるか?」
不用意に壊していいか迷ったが、俺達はこんなことが起こるなんて何も聞いてない。説明しなかったカルラが悪い。壊してしまえ。
「できるよ!」
ハチは思い切って白い塊をグーで殴った。
バリン!
塊が割れた外にあったのは懐かしのってわけでもないけど砂漠。
空には救援要請のサインがまだ映ってる。見え方はちょっと変わっている。前は色が白色だったけど今は赤く見える。
距離によって見え方が変わるとか言ってたな。近くなってるということか?でもなんで俺たちはカルラに取り残されている?
カルラはどこにもいない。
俺たちが出てきた白い物体があるだけだ。
これは・・・いや、たぶん間違いない。
「カルラどこいったんだろ?」
ハチとハルもカルラを探している。
「二人ともよく聞いてくれ、あそこに俺たちがでてきた白い物体があるだろ?あれはカルラのフンだ」
えっ?と驚く二人。俺も驚いたがそうとしか考えられない。
「カルラのやつ間違ってフンといっしょに俺らを落としていきやがったんだよ!」
おのれカルラ、今度会ったらとっちめてやる。
まさか天使と戦ってやられそうになり、俺たちだけでも生かすため、どっかの大魔王の真似して口から卵っぽい物体に俺たちを包んで遠くに逃がした・・・なんてことは、全く想像だにできない俺である。
ていうかそんなん絶対想像できねぇわ!
「カルラどこいったの?」
「も、もう会えないのですか?」
大チョンボをやらかした(と俺は思っている)カルラにも、ハルハチは起こらず純粋に心配している。
そうだな。あんなやつでも一応仲間だ。なんとか合流しないといけない。
「カルラも救助要請の場所を目指してるはずだし、腹から出そうとすれば嫌でも気づくはずだ。すぐにあえるんじゃないか?」
ほっとする2人。
なんだかんだいってカルラも俺たちにとってかかすことのできない仲間になっているらしい。俺的にはいつでもお別れできる準備はできているけれど。
「じゃあはやくいかなきゃ!主様!おれのなかにはいって!」
ハチはいつもより一回り大きな犬の姿になる。
ハチはカルラや、ユルルングルの真似をして、腹の中に俺とハルを入れて移動する気らしい。荷物も結構あるし、それはいい案なのかもしれないが・・・不安だ。
だってハチ、今までそんなことやったことないじゃん。本当にできるのかそれ!?間違って食べたりしないよな???
「行きましょう、主様」
ハルは入る気満々だ。ハル、もうちょっと疑おうよ。ハチは初めてなんだよ?
でも、ハチを信じてるハルを前にそんなこというのも・・・仕方ない。俺はハルの腹の中に入ることにした。
ハチの中に入ると俺がいた。正確には俺の木彫りの人形だ。
他にもハルやカルラ、5匹の狼、ユルルングル、グランガチなどの人形が置かれている。
胃袋の中には見えない。どうやら成功したようだ。
ほっと安心する俺の横でハルが俺とハルとカルラの人形を比べてみている。
一番大きいのが俺で、カルラとハルは元の大きさが大きいためカルラのほうが大きい。
なんか難しい顔をしている。
腹の中にある人形は、ハチにとってしめる大きな存在の比率・・・とでも思ってるのか?それはたぶん気のせいだよ。仕方ないよ。あった時間の差だよ。機嫌直してよ。ハル。




