怪獣大決戦
サトミ達を腹の中に収め、救援要請のあった場所に移動することになった。
ユルルングルのときと同様、腹の中に入るのには抵抗があったみてぇだが、結局覚悟を決めたみてぇだ。
背中に乗せてもいいといったのだが、音速の壁がどうのこうのといって断られちまった。
サトミの言ってることはときどき意味がわからねぇ。
勇者の時もそうだったが、サトミのほうが変にこだわることがある。
どうせはいるんだから悩むだけ無駄ってもんだ。
そのくせ妙に抜けてることもある。砂漠のことだってそうだ。
まさか、最果ての地を徒歩で10日で抜けれると思っていたなんて、さすがの俺もびっくりだぜ。他の砂漠だって徒歩で10日は無理じゃねぇか?
普段しっかりしてるように見えてどこか抜けている、これってなんていうんだっけ?勇者がよく俺に言ってたような気が・・・ああ、そうか、天然ってやつだな。
勇者には悪いが俺とは対照的だ。
俺は普段いい加減に見えてその実しっかりとした男だからな。
前の女にも言われたもんだね。
「なんていい加減な男なの?」「今日は付き合ってくれるって約束したじゃない!」「昨日頼んだゴミ出しまたやってくれなかったの?」「めんどくさいめんどくさい言わないで!」「あなたのいい加減さにはもう我慢できないわ!」
この通り普段はいい加減と言われているが(元カノの証言あり)、やるときはやる男なのだ(証言なし)。
今だってそうだ。こうしてサトミ達を運んでやっている。
3時間でつくといったがこの分だと4時間くらいかかりそうだが、そこは些細な誤差ってやつだ。体を本気で動かすのはひさしぶりだったから体がおめぇのよ。
本来は1か月かかるんだから1時間の誤差なんてどうでもいいだろ?
でもそれももうそろそろ終わりだ。目的地が近づいてきた。
・・・ん?
目的地付近に蛇のモンスターがいやがる。微妙に神格を感じるがユルルングルほどじゃねぇな。
ユルルングルは相性が悪い俺相手ながら一歩も引かない根性のある男だった。俺はそういう奴は嫌いじゃねェ。まぁ、戦ったら俺が勝つけどな。
こっちの蛇は俺を見てびびってるようだ。
こんなところに俺みたいな大物がいたら驚くのも無理はあるまい。
大人しく崇め奉れば食べないでおいてやろう。ハチが餌をとってくれるからお腹は減ってないしな。
俺は寛大だからな!
突然、蛇から光の柱が立ち上る。
これが神気の正体か・・・何か強い神に守られているのを感じる。
「かの蛇は我が縁者である。手を出してはならない」
光はそう、訴えかけてくる。
あまりの力に、普通のやつなら恐れをなして逃げていくところだろう。
だが・・・
気に入らねぇな。
「キェエ!」俺は一括して光を掻き消す。
これはあれだな、この女は俺の女だから手を出すなって言ってんだな?
そりゃあ女はいっぱいいるんだからあえて危ない女に手を出すのは面倒なことだ。
だが、本当に大事ならちゃんとそばにいて守ってやらないといけないだろ?
片手間に守ってやろうというその根性が気に入らねぇ。
取られて後から後悔するがいいぜ。
俺は蛇に狙いを定めると、一気に滑空。俺の数倍はある蛇を上空に連れ去ろうとする。
おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
蛇が炎を吐き出す。ただの炎ではない。毒の炎だ。地面を焼いた炎の後は、ぶくぶくと紫色の液体と瘴気を放っている。
炎を使うとは生意気だ。しかも毒の炎ときたものだ。きっと邪悪な蛇に違えねぇ。
毒使いは邪悪と相場が決まってるのだ。勇者がそう言ってたから違いねェ。
俺は口からいつもと違う炎。黄金の炎を吐き出す。神聖な力を宿した聖なる炎だ。暖かな炎が一瞬で毒の臭気を浄化する。
いつも鍋を温めている炎とはわけが違う。
悔しいが、勇者の使っていた炎の妖精と比べると見劣りするがな・・・
アンリウム。人見知りの激しい妖精だった。
勇者にしかなつかない。勇者にしか心を開かない。
勇者が去ると決まったときも最後まで勇者についていった。
そのはずだ。
アンリウムを封印していた奴らはアンリウムが勇者を殺したといっていたけど、俺は信じてないぜ。
ほとんどしゃべったことなかったけど、それでも一緒に旅した仲間だからな!
相手の蛇の刺客に入った。今度こそ、捕まえる!
上空に舞い上がると再び狙いを定めて滑空する・・・が、どうやらそれは罠だったようだ。何者かがカウンターを狙って俺の首を狙ってきやがった。すんでのところで回避する。空間転移。まぁ基本だろ?俺神だしな?
しかしあぶねぇな、一体なんだ?
見れば、バジリスクに乗った人間だ。
バジリスクは上半身が鳥、下半身が蛇のモンスターだ。蛇の王だのといわれているが神性を有してはいない。雑魚だな。雑魚雑魚。
特性は視線が合えば石化してしまうことだが、俺くらいのレベルになれば問題ない。それが効くのは同等か、少し強いくらいの存在だ。俺には効かねぇよ。
人間が持つ剣は何かの魔道具のようだ。あれからは力を感じる。あたっていたら危なかった。
サトミがどこからかいくらでも調達してくるから忘れがちだが、外の世界じゃ魔道具は貴重品のはずだ。
それを操ってるということは、名のある戦士なのか?
妖水の森に引きこもって数十年。その年数は目の前の人間の年齢をゆうに超えている。まぁわかるわけねぇか。
しかし・・・この人間、邪魔だな。
バジリスクの騎士はうろちょろと俺の周りを飛び回りすきを狙ってくる。
どうすっか、俺は人殺しはやらねぇ。
勇者との約束だし、サトミも怒るだろうからな。
手を出したら駄目な理由は結構あやふやだったりするんだが、それを守らせるのが約束ってもんだ。
友情の証なら安いもんだぜ。
それに俺は神様だ。人生に余裕がある。ダチとの制約を守るぐらいわけないのさ。
考え事をしていたら、人間が大技を繰り出そうとし始めたみてぇだ。
・・・
だが・・・これは、ちょっとやばいことになるかもしれねぇな・・・
天使。それは天界が不要と決めた存在を消すために送り込まれる存在。
その昔、地上に住まう現住の神々を滅ぼしていったのも彼らだ。
基本的に魔力のある人間を天界につれていくためだけに作られた「天界の使い」ですらあれだけの力を持っていたのだ。
戦うことに特化して作られた彼らに勝てるものなど存在しない。
さすがの俺もまずったかな・・・まさかこんなもんがでてくるとは。
逃げることを考えるが、天使相手ではそれすらも無理だろう。
それに逃げるなんてかっこ悪いね。
まぁせめてサトミ達は逃がしてやりたいところだけど方法が・・・
そこで昔勇者から聞いたカッコいい負け方を思い出す。
確か口から卵をはきだしこう叫ぶのだ
「わが子よ...いつの日か、父の 恨みをはらしてくれ......!悪の根をたやしてはならんぞ...。」
ふはっ!かっけぇ!これでいこうこれしかねぇ!
とりあえずサトミ達を体内で卵に包むべくがんばってみることにする。




