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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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うそつき

 ヒラキンが救助要請のスクロールが使われた現場についてみれば、すべてが終わった後だった。

 一人の少女の遺体が横たわってるのみだ。

 手向けのつもりだろうか、胸元に銅貨がおかれている。


 ヒラキンは少女を埋葬する。


 ・・・


 ズウウウゥゥゥン・・・ズウウウゥゥゥン・・・・

 遠くから地響きが聞こえる


「ヒラキン!」


 振り返れば、プレセぺが涙目で滑空してくるところだった。

 そのまま抱き付かれる。


「もう!心配させて!」


 少しだけ、見てもわからないくらいに少しだけ口元がゆるむが、次の瞬間には顔がこわばる。


「ヒラキンに何かあったら、お姉さまに顔向けできません!」


 プレセぺにとってのお姉さまは、ヒラキンにとっての母である。

 母・・・自分を生んでくれた、自分をうけいれてくれる初めての存在。

 けれどヒラキンにとってのそれは全く別の忌むべき存在。


「翼、しまって」


 それからヒラキンは自分の後ろ見るように促す。

 そこには少し盛り上がった砂と、銅のコイン。

 埋葬はしたが、この砂の海ではどれほどの意味があるのだろう。風が吹けば掘り起こされ、そしてまた埋葬される。銅貨もどこかに転がっていってしまうだろう。


「これは?」


「手遅れだった」


 それが何か悟ったのだろう、悲しそうなプレセぺ。


「白骨化していた。だいぶん前に亡くなったんだと思う。仕方なかった。」


 矢継ぎ早に弁明する。

 こんなところに長く死体が存在できるわけはない。モンスターに食われるか、風が吹けば掘り起こされ、そしてまた埋葬され、砂の中に埋もれてしまう。それは明らかな嘘だった。

 母のことを言われたから、誰かがここで殺しをしたことをプレセぺに悟らせたくないから、盗賊たちがいたこの場所からプレセぺを速く離れさせたかったから・・・


「行こう」


 速く盗賊たちとは別の方向に、プレセぺを連れていかなくてはならない。


 ・・・


「主よ」


 ようやくおいついたカーリヤが2人を覗き込んでくる。


「プレセぺを守るように命じたはずだ」


「守りながら連れてきたのだ。命令違反はしていない。それより、なにか来るぞ」


 ヒラキンもプレセぺもある程度遠くに何が存在するか感じ取ることができる。ただ、その制度も性質も多少異なるのだが・・・


 ヒラキンが途中で道を変えようと言ったのはその感知の力でここでいざこざがおきていると感じたからだ。

 プレセぺを争いのあるところに連れて行くのを嫌ったのだ。

 プレセぺの感知の力の有効範囲はヒラキンより狭いため気づくのが遅れた。


 どうやら、カーリヤにもその感知の力はあるらしい。しかも、その範囲は2人より上のようだ。


「!」


 ヒラキンもそれに気づく。しかも、これは・・・


「プレセぺ!俺の後ろ、離れないで!」


 二人の緊迫感からいつもと違うことに気付くプレセぺ。大人しくヒラキンの後ろへ。

 ほどなくプレセぺもその正体に気付く。


 空に巨大なカラス。


 プレセぺが力を感知できる範囲はヒラキンやカーリヤよりもかなり狭い。

 それは感覚的な探知ではなく視野による感知のせいだ。

 天使の瞳。

 本当の天使はこれに加えて感覚的な探知も兼ね備えているが不完全な彼女は瞳しか持たない。

 天使の瞳はその個体の持つ具体的な能力のすべてを見抜くことができる。

 力、技、魔力、属性全て。

 ただし、その能力は天使の演算能力と合わせて初めて意味のあるものでそれももたないプレセぺにとっては宝の持ち腐れでもある。


 プレセぺに見えるのはなんとなくその対象がどれくらい強いかぐらいだ。

 けれど今はそれで十分だった。

 このカラスはとても強い。カーリヤと同等か、それ以上だ。

 そして同等ならカーリヤに勝ち目はない。

 元来蛇と鳥では蛇の方が相性が悪い。鳥は捕食する方。蛇はされるほうだからだ。それはモンスターにも適応される。


「ガルーダ、ではないか」


 カーリヤが嫌そうに呻く。

 ガルーダはガーナラージャの天敵だ。だが、カーリヤにはそれに対応する手段がある。ガルーダなら対抗手段がある。

 今回は似ているがガルーダではないようだ。これが吉と出るか凶とでるか。


「プレセぺ、あいつはどれくらい強い?」


 ヒラキンが聞く。


「カーリヤと同じか、それ以上です」


 正直に答えるプレセぺ。

 そして、彼女に見えていたのはそれだけではなかった。


「後、お腹にも反応が3つ、大きな力が1つと小さな力が2つ。小さな力はたぶん・・・」


 人間。烏はたぶん人間を2人食べている。


「カーリヤ!」


 こいつは人を捕食する。危険と判断したヒラキンはすぐさまカーリヤに支持を送る。

 カーリヤの頭上が輝きを増していく。一筋の光が天空を貫いた。


 クリシュナの聖痕。神聖な力を帯びた光だ。

 ナーガラージャの天敵であるガルーラを退ける聖なる光の柱が、広範囲に拡散されていく。

 退けるのはガルーラだけではない。空を縄張りとするモンスターのほとんどに有効なはずだ。

 しかし・・・


 クェー!!!


 烏が一声なくと光の効果が薄れていく。

 どうやら烏も何かの神聖に護られた存在であるらしい。

 奴にはこの力が通用しないようだ。


 バサリ、バサリ・・・


 カラスの目が完全に血走っている。今ので完全に怒ったらしい

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