心配
ズゥウウン、ズズゥウウン・・・
砂漠に地響きがなる。原因は最果ての地の巨大モンスター、よりもさらに一回りも二回りも大きな大蛇だ。
その上には美しい少女。プレセぺだ。
心配そうに砂漠の向こうに目を凝らしている。
「心配せずとも主は強い。あなたが思うよりもとても」
気遣うように蛇が言う。
・・・
それは、今から少し前にさかのぼる・・・
「ヒラキン・・・あれ」
「・・・」
「救援を求む」空に救援のサインが輝く。
救援のサインは魔法により距離に従って見え方が異なる。
サインはここからそう遠くない場所で事故が起きたことを知られせていた。
「水がなくなって困ってるんでしょうか?」
砂漠で事故が起きて困ることといったら当然水がなくなることだろう。
緊張感なくプレセぺが首をかしげる。
「助けに行かないと」
しかし助けに行く意思は固い。当然のように言う。
でも・・・ヒラキンたちのたちにも水は貴重だ。たとえ普通の人よりは必要ないとしても。
「わけられないよ。」
にべもなく切って捨てられる。
「私はしばらく飲まなくても平気です。私の分をあげれば大丈夫ですよ」
緊張感はないが、助けに行くという意思は曲げる気はないプレセぺ。
それを感じ取ったヒラキンは眉をひそめる。
「・・・」
「ヒラキン?」
いつもはなんだかんだいってヒラキンのいうことを優先してくれるプレセぺだが、こういうときは頑固だ。誰かが困っているとき、見なかったことにするという選択肢は彼女にはないのだ。
いつもみたいに無視してうやむやにすることはできないだろう。
「別の理由かも」
水がほしいと決まったわけでもない。
ヒラキンは乗り気ではないようだ。
「でも助けを待っているんでしょう?」
「罠かも」
「例えば、盗賊・・・とか?」
「・・・」
しまったとヒラキンは思った。
助けに行かない理由を提案しつつも、無理だろうと半場あきらめていた。だからだろう、うっかり地雷をふんだようだ。
「誰かが盗賊に襲われているのかも」
プレセぺの表情が曇る。
水がないならすぐにどうこうということはないだろう。しかし盗賊に襲われているのなら、今すぐ助けに行かなくては手遅れになる可能性がある。
気が気ではないという表情で救援サインを見つめるプレセぺ
「・・・見にいってみる」
仕方がない。
観念したヒラキンはゆっくりと荷物を下ろす。
「待ってください、ヒラキン一人じゃ」
慌てるプレセぺ。
もし本当に誰かが盗賊に襲われていたらヒラキン一人を向かわせるのは危険だ。自分もついていかなくてはならない。少なくとも自分は飛べるのだ。逃げる手伝いくらいならできる。
「大丈夫」
盗賊がいるときまったわけじゃない。万が一そういう可能性もあるというだけだ。ヒラキンは荷物を見ていてと視線を送る。
「でっ、でも」
「下がって」
ヒラキンはプレセぺに下がっているように注意すると魔方陣を展開。呪文の詠唱にはいる。
「空を渡る熱き毒。踊る英雄宿す足跡。蛇より転ぜし最初の竜。
汝、試練を与えし存在。我、試練を超えし者。我が呼びかけに答えよ。ナーガラージャ」
おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!
一匹の巨大な蛇が召喚される。
「久しいな・・・主よ。」
蛇はプレセぺを一瞥。
「愛人殿も。」
「あ、愛人じゃありません!」
顔を赤くして怒るプレセぺ。
「なんだまだ抱いてないのか主よ。早くしないと、ぽっと出の誰かにとられてしまうぞ?」
「な、なんどいったらわかるんですか!?私はヒラキンの叔母です!そういうことはありえません!」
「そういうことはありえません!」はっきり言い切られたヒラキンは少しだけ不本意そうな顔をするが、この中でそれに気づく者はいない。
「プレセぺを頼む」
カーリヤを一瞥すると、ヒラキンは別の呪文の詠唱に入る。
「我が呼び声に答えよ蛇の王!」
今回の詠唱は短い。
現れたバジリスクも人くらいの大きさしかない。
「すぐに戻る」
ヒラキンはバジリスクに飛び乗るとあっという間に飛び立って行った。
・・・・
待っていろとは言われたが、プレセぺがあまり心配そうなのでカーリヤが折れた。ヒラキンの行った方向に移動中である。
「あ!」
ヒラキンを見つけて嬉しそうに飛び出す。プレセぺ。隠せと言われた翼を隠すことも忘れている。
「やれやれ」
カーリヤはほっと胸をなでおろす。




