伝説のイケメン
「人に会うんならこの恰好じゃまじぃか」
カルラはキムタクにばけた。
「は?」
いきなりあらわれた有名人に目が点になる俺。
あの人気グループのキムタクだ。しかも若い。背も高い。全盛期のさらに完全体のキムタクが今ここに。
「もとのほうがかっこいいよ?」
ハチからは不評なようだ。「俺もそう思うぜ?」カルラと軽口をたたいてる。
こらハチ、全国うん千万のキムタクファンを敵に回すんじゃない。
「ハルもこのままじゃまじいよな」
何か印をふむカルラ。ハルの角と人魚の部分がなくなり人間の姿に変わる。
「ちょっ!?なにやったの?」
慌てふためく俺。ハルを人間にしたの?できるの?できるんなら俺の心配事のいくつかがクリアされるんですけど???
ハルは角がなくなったことに驚いてる。ハチがそれを覗き込み顔が赤くなる。でも「角があったほうがかっこいいよ?」といわれてがっかりしてる。
こらハチ、女の子に失礼なこと言うんじゃない。
「何今更驚いてんだよ。俺は神とよばれた男だぜ?ハチが人間に化けれるんだから俺だってこのくらいできるに決まってるだろ?」
「で、でも、他人まで」
「いやいや、これくらいハチもなれればできるようになるって」
か、軽い・・・いや、別に軽くてもいいけど。悪くないけど。むしろとてもとても有用だけど。
その言動から忘れがちになるけどカルラもかなりすごいモンス・・・神らしい。
「でもなんでキムタク」
「こいつが誰だか知ってるのか?これはダチが教えてくれたんだ。俺がかっこいい男に化けたいと言ったらよ」
人間の顔はのっぺりしてていまいちわからないけどな、とすぐに元に戻るカルラ。ハルも元に戻す。
ハルはほっとしたような、がっかりしたような微妙な表情。
少なくとも、カルラは俺と同じ世界の人間、しかも世代も変わらない奴と知り合いだったということになる。
勇者とかいうやつか?
カルラはかつて勇者とよばれる俺と同じ世界の人間と旅をしていたという話だ。その冒険談はいままでさんざん聞かされて耳にタコができている。
ただの烏天狗は「カルラ」という名前を与えられて神性をえた。ハチがハチという名前を与えられて力を封じられたのと対照的に。
カルラと勇者は他の仲間たちと世界を回り魔王を倒し、世界は平和になりました。めでたしめでたし。
その後勇者は元の世界に戻ったという。カルラは。
でも実際はたぶん「アンリウムの炎」にやかれて死んだ。
・・・
「しっかし、助けに向かうんだろ?こんなちまちま歩いて間に合うのか?」
カルラが言うには救助要請サインは距離から見え方が異なるらしい。
「できれば遠くからどういう状況か確認したいからな。」
水や食料がなくて困ってるんならまだしも、モンスターや盗賊に襲われてるんだったら最悪見捨てることも考えないといけない。
とくに盗賊、俺たちの主力はハチだ。ハチに人殺しをさせるようなことはしたくない。
「でもこのままだと1ヶ月くらいかかるぜ」
「そんなにかかるわけないだろ」
ユルルングルは砂漠を抜けるのに10日程と言っていた。もう3日歩いてるしあと1週間くらいで砂漠自体抜ける計算になる。
「そら、俺が運べば10日だったけどな」
「そう、カルラが運べば10日で・・・」
ん?
「もしかして、ユルルングルはカルラが全速力で飛んで10日でつくといったのか?」
「そりゃこの中じゃたぶん、俺が一番速いしな。」
「でも、全員カルラと同じ速さで移動するなんてできないだろ?」
「できるように変身すればいいんだろ?」
Oh・・・
つまり、この3日は全くの無駄だったと?
「なんで教えてくれなかったんだ?」
「サトミはこの砂漠にいたいんじゃないのか?」
何言ってんだ?
「水も食料も危険もないんだぜ。ここに居ついていけない理由なんてあるのか?」
強力だという最果ての地のモンスターもハチの敵ではない。でもそのモンスターがいるからこそ、それ以外の敵はいない。安全と言えば安全と言えなくもない。
でも、意図的に勘違いしなければそんな勘違いするわけない。
カルラ・・・お前は?
「で、どうする。本気で飛べば3時間くらいでつくぜ」
もちろん、いくさ。とりあえずはな。




