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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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救援要請

 夜の番をカルラと当番制にしたものの、相変わらず5分と持たず寝入ってしまう。

 おかげでカルラを見張るために起きているという本末転倒なことになっており、3日間ほとんど寝てない。

 その上決して乗り心地がいいとは言えないハチの背中にゆらゆらと揺られてめちゃくちゃ気持ち悪い。


 説明してる時間はない。

 このままでは吐いてしまう。ハチの背中にゲロゲロゲロ~っと。


 いけない。俺の主様としての威厳が完全に地に落ちてしまう。


「ちょっとまってて、用を済ませてくる」


 言い残してみんなから離れる。


「うんこだな。」


 後ろでカルラの声が聞こえた。後で殺す!


 念入りにみんなから離れて吐こうと思ったけど、こらえきれずに・・・そんな細かい説明いらないだろう。服は汚さなくてよかったとだけ言っておこう。


 吐いてちょっとは楽になったけど、この先これが1週間も続くと思うと気がめいる。

 神様パワーでなんかいいもん作れないかな、と思うのだけれど一面は見渡す限り砂。砂。砂。


 ちなみにここの砂から作れる主なものは砂金である。

 これだけの砂だ。神様パワーを使って転売するまでもなく一瞬で大金持ちになれる。

 こんなとこじゃ意味ないけれど。


 でも全く持って帰らないつもりもない。砂漠を抜けそうになったらハルをハチに乗っけて魔法の絨毯に乗せれるだけ砂金を載せてやるつもりだ。

 旅の途中、用途のない場所で金目のものをゲットするも命の方が大事だから簡単に手放し、後で助かってそれを後悔する・・・そんな映画のワンシーンみたいな手にやすやすとひっかかる俺ではないのだ。


 みんなのもとに戻ろうと振り返る。

 ところが、どこを探してもみんなの姿は見当たらない。

 さっき慌てて走ったから方向感覚もなくなっている。

 見渡す限り似たような砂漠。さっき自分のいた場所すらわからない。


 え・・・まさか、こんな阿呆なことで迷子に?


 愕然とする俺。

 最後に聞いた仲間の声は、カルラの「うんこだな」

 こんなことはあってはならない。あっていいはずがない。


 なにかいいアイテムはないかと懐を探るが、全部魔法の絨毯においてある。

 水も、食料もない。


 え・・・まさか、こんな阿呆なことでピンチに?


 呆然と空を見上げる。

 空には文字が描かれていた。見たことのない文字だが、不思議と「救助を求む」と読むことができた。

 救助されたいのはこっちだよ!

 と、つっこんでから気づく。空に文字が描かれている?


「主さまー!」


 その文字を見たからでもないだろうが、狼形態のハチが駆け寄ってくる。


「おそいよ!」

 しっぽっをぶんぶん振っている。かわいい奴だ。

 今日ほどお前のことをかわいいと思ったことはない。

 考えてみれば、例え砂漠でも犬の嗅覚をもつハチがいるのだ。そうそう迷子になるはずはなかったのだ。

「主様からすっぱいにおいがするよ?」と首をひねっているのは聞こえないふり聞こえないふり。


 ・・・


 カルラとハルのところに戻ると、2人も空の異変に気づいていた。


「救助要請のスクロールだな」


 カルラが言うには、現代では魔法はかなり衰退しているが、一方で一般人でも使える魔法の備品は充実しているという。

 救助要請のスクロールもその一つで、馬車などに必ず一つは備え付けてあるらしい。


「使うと空に文字が書かれて遠くでもわかるんだぜ」


 こんなふうに、か。

 空の文字を見ていると、なんとなくウルトラのサインを思い出した。ちょうどこんな感じだったような・・・


「たっ、助けに・・・」


 言いかけて尻すぼみに声が小さくなるハル。

 助けに行かないとと言いたいけど、助けに行くのは俺たちだから遠慮して最後まで言えないってところかな。まだ俺たちに遠慮があるようだ。


「主様!主様!もじってなに?」


 ハチは相変わらずだ。

 文字は今度教えてやろうとハチと約束する。俺が主人らしいところを見せるチャンスだしな。

 もはや戦闘ではハチが上であることはこの3日間で嫌というほどわかった。別のところで主様らしいところを見せつけておかなければ。


「行く方向と同じだな。遠回りするか?」


 誰かが助けを求めている。ハルが助けに行った方がいいと控えめに主張している。

 この流れでなぜか避けていくことを主張するカルラ。

 確かに危険があったから救助サインをだしているのかもしれない。

 みんなが行く気になっている中であえて遠回りする選択肢を提示してるのなら見直すんだけど・・・


「でも、避けてくのは避けてくのでめんどくさいよなぁ」


 そんなことはないみたいだ。


 さっきちょっとだけ迷って改めて考えさせられた。砂漠で迷ったら終わりだ。

 一応太陽でだいたいの方向決めて歩いてるけど、本当にこれで砂漠を抜けるれるのか、今更ながらに不安になった。

 その点このサインはよい目印になる。しかも行きたい方向と同じであるらいい。

 相手が助けを求めているなら恩を売っておくのも悪くない。どころか、最高の形だ。


 人間は亜人を奴隷にしてるらしい。カルラは亜人というよりモンスターだからおいておこう、ハチは動物形態なら動物だし、人形形態なら人間だからなんとか誤魔化せる。

 でも、ハルは見た目からしてもろに亜人だ。言い逃れできない。

 対等な状況でファーストコンタクトをむかえれば不幸な結果が訪れることは目に見えている。

 相手が弱って助けを求めている今なら恩を売る形でごり押していけるかもしれない。


「へっへっへ、助けてほしくば俺たちと人間たちの間を取り持つがいい」


 よし、問題ない。この方向でいこう。

 当面は救助サインを目指して歩くことに決めた。

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