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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
32/266

そしてフラグは着々と

 結局石は見つからなかった。

 仕方ないので道すがら探すことにする。

 最果ての地を抜けるべく出発することにするが、まずは腹ごしらえだ。

 食料については気が回らずろくな準備をできずに来てしまった。現地で調達するしかない。


「生け捕りの竿」で釣りをするとまたさっきのタコのモンスターがつれた。

 ハチが瞬殺。勝手がわかったのかもう苦戦することはなかった。

 タコを倒してもハチのレベルはあがらない。もともと実力差はあるということだろう。


 またタコがつれたら嫌なので釣りはやめにして、タコで料理をすることにする。


 海の水を祭壇の器で飲み水に変え、飲み水を得る。

 タコのモンスターを不思議な鍋で酢の物に変えた後、神様のフライパンで味を調える。

 不思議な釜は炎を使わないと発動しないので、炎はカルラに口からだしてもらった。


 酢の物はカルラには好評、ハルには不評だった。

 子供は酢は嫌いだから仕方ない。でもちゃんと食べるあたりはさすがは俺の眷属。

 まぁ、目が覚めたら記憶がなくて見ず知らずの俺たちに保護されているわけだから、自分を押し殺していい子をしているだけだろうけどな。

 それならそれで構わない。ならばいい子を演じてくれた方が俺も都合がいい。

 子供の教育という点ではいけないのかもしれないけど、今はそこまでかまってやる余裕は俺にはない。


 カルラは酒の肴にちょうどいいと酢の物を気に入った様子だ。

 例の酒が無限にでてくる徳利を取り出すと、真昼間から飲み始めた。あげくにハルにまで酒を進める始末。

「子供に何進めとんじゃぼけぇ」と切れたのは言うまでもない。


 ハチは犬だからタコは食べたらだめだ。

 俺は元の世界で犬を飼っていたのか、そういうのは結構詳しい。

 でも他に食べれるものと言ったら「知恵の実」くらいだ。さすがにこれは食べさせるわけにはいかない。よってハチのご飯は抜きだ。

 ハチが悲しそうにこちらを見ている。そんな目をしたって駄目だ。


 カルラは「そこまで気にする必要ないんじゃねェか? 」とまともなことを言うが、なんとなくカルラの言うことを聞くのは癪だから無視。


 ハルは「可哀そう」と悲しそうな目をされた。さすがにこれはこたえた。

 でも駄目だから!1日くらい食事抜いたって死なないから!

 ハルはだまってハチの頭をなでていた。

 ああ、やめて……心が痛いです。


 俺はモンスターの肉を食べるのは初めてとなる。

 気持ち悪かったが仕方ない。

 本当はみんながモンスターの肉を食べてる横でこっそりと知恵の実を食べようかと思ってたんだけど、ハルの様子を見ていたら罪悪感にさいなまられてそんなことはできなくなってしまった。


 俺も我慢してモンスターの肉食べるから、ハチも我慢してご飯抜きにする。だから許してほしい。

 そういう代償行為である。


 でもこれがまずかった。

 好い子に見えてもハルはまだ子供だったし、知恵の実が神話級に物騒なものであることなど当然知る由もない。

 荷物の中に果物があり、ハチはおなかをすかせている。となれば当然の帰結として……


「あれ? 知恵の実がない」

 まさかそんなことになってるとは思わなくて軽い口調で俺はつぶやく。


「!? 」

 真っ青になるハル。体が小刻みに震えている。


「え……と」

 あからさまな反応に困惑する俺。まさかハルが食べたのだろうか?

 ハルはいい子、を演じようとしている。そんなあからさまな悪さはするはずがないと思っていたのだが、半分悪魔という穢れた血がそういう真似をさせたのだろうか?

 ナチュラルにひどいことを考える俺。


「ごめんなさい」

 ぽろぽろとなきだす。


 この時点ではハルが食べたと思いこんでる俺。

 悪いことしたら叱らなくちゃいけないんだよな。でも叱るのって苦手なんだよな。憂鬱だな。などと考える。

 叱るからには自分が正しくないとだめだけど、いままでの内心を見ればわかるとおり、俺は全部が全部正しい存在ではない。

 だけど、考えてみれば世の中の親が全員が全員正しいわけではなく、むしろ全部が全部正しい人間なんてこの世にはいないんじゃないだろうか。

 でも親は子供を叱らないといけない。

 叱るからには正しい存在でなければならない。正しい存在であろうとしなくてはならない。

 やたら壮大なことを考えつつ、俺はハルを叱ることにした。


「いいかい、ハル。人の物を勝手にとったら駄目なんだ。大切なものならもちろん、大切なものでなくても、ほしいならほしいか聞いて了解をとらないとダメなんだ」

 こんな感じでいいのかな? などと、思いつつハルの反応をうかがう。


「ごめんなさい」


 ハルはただ下を向いて誤っている。本当に謝っているようにも見えるが、ただ誤って俺の怒りが過ぎ去るのを待っているようにも見える。

 これは、もうちょっといっといたほうがいいのか?


「ハル、顔をあげて。俺は別に怒ってるわけじゃないんだ。ただ……」


「違う! 」

 横から口をはさむ声。

 カルラか? いや違う。カルラよりもっと若い。子供の、男の子の声だ。

「ハルは悪くないんだ! 俺がお腹を空かせてたから、くれただけなんだよ! 」


 そこには見ず知らずの男の子。

「叱るなら俺を叱ってよ! 主様! 」


 え……と、お前は……

「ハチなのか? 」

 犬だったころの面影はまるでないが、俺にはそいつがハチだとはっきりわかった。


 ハチの本性はコントンという邪悪な神であるという。

 ハチは知恵の実を食べた。

 ハチはいつか人を襲い、俺に退治される定めだという。


 なんか、着々とフラグが進行中な気がするのは気のせいだろうか?

誤字修正しました。振り返ると誤字がすごいことになってそうですが、暇な時にちょくちょく直してきます。

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