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忘れられた神様  作者: ニスコー
第一章
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旅立ち

 ユルルングルの腹の中から、砂浜に開放される俺たち。

 ここからが最果ての地を抜ける最短ルートらしい。

 正確には最果ての地の海上部分をユルルングルの中でやり過ごしたといったほうがいいか。


 ここからなら10日とせずに最果ての地を抜けれるらしい。


「主様からです。サトミ様を森からだすべきだと進言したのは我々虹蛇達です。主様はサトミ様のことを心痛めておられました。恨むなら私をお恨みください」


 そういってユルルングルは青い宝石を差し出した。

 身分証明書にはグランガチの涙とある。用途は不明。


「私にお手伝いできることはここまでです。サトミ様、どうか御無事で」


「いや、ここまでしてくれるとは思わなかったよ。ありがとう」


 川に住んでるのに塩水を超えて運んでくれるなんて、きっとすごい無理したに違いない。

 森を出てけと思ってることがわかったときは正直腹が立ったけど今なら全部許せるよ。

 おまけにレアそうなアイテムまでくれて。


 砂浜では生き返らせた子供……ハルというらしい。が、よせては返す波に喜んで遊んでいる。

 人魚なのに、海が珍しいみたいだ。ハチと一緒になってじゃれあっている。

 彼女の生前の記憶は残っていない。食べられた記憶なんて残ってても辛いだけなのでよかったといったほうがいいだろう。

 少しでも残ってたらハチのことなんてものすごい勢いで拒否されそうだしな。


「おーい、何してんだ? 早く行こうぜ? 」


 カルラが、満面の笑みでこちらに手を振っている。

 まさかとは思ったがついてくるみたいだ。

 理由を聞いたら「ダチだろ?水くせぇこというなって」とかいわれた。

 いつ友達になったのだろう。おかしいな。記憶にないんだけどな……


「最後に一つご忠告を」


 俺の問いに答えるようにユルルングルは言う。


「カルラがかつて勇者のお供をして世界を救ったのは聞いていると思いますが、その勇者は強力な炎の妖精を使役していたと聞きます。あのとき、サトミ様が私の雷をはじいた時のような」


 そういえばカルラが俺に近づいてきたのもあの一件があった後だったっけ、もしかしたら何か関係があるのかもしれない。


 カルラを見ればいつのまにかハルとハチと一緒になって波で遊んでいる。

 まぁ、別にいいか、と思う。今の俺はもうアンリウムの護符は持っていない。もう2度とあんな炎は使えない……はずだ。

 俺一人でハチとハルの子守りをするのは大変なので、きっちり働いてもらうことにしよう。


 ……


「コントン、それがかつてこの森を治めていた神の名です。神、いやあれは神ではなく悪魔でした。悪人を好み善人を食らう。主様にも罪のない人を苦しめるよう強要されました。正直滅ぼされて良かったと思っています。」


 ハチが自分たちを毛嫌いするのも聖なる存在である自分たちを嫌ってのものだとユルルングルは主張したが、さすがにそれは自意識過剰ではないだろうか。

 聞けばコントンが滅ぼされてからその眷属を徹底的に弾圧というか調教というか道徳の心を押し付けて回ったらしい。

 コントンの末裔が動物レベルまで弱体化したのもそのためだとか。


 逃げのびてきたワーウルフの一団に、グランガチを信仰することを条件に森で暮らすのを許したのもユルルングルら虹蛇達だ。

 いくらコントンが滅んでいたとしてもいきなり川の精霊を信仰するのは変じゃないか?と気になってはいたのだが、そんな裏があろうとは。ワーウルフの連中も相当ストレスがたまっていたことだろう。ハルを食べたのも不幸な行き違い、だけじゃなかったのかもしれない。

 今となってはわからない話だし、わかりたくもないけど。


 ハチの身分証明書欄はコントンの末裔と記載され変身のスキルも開放されていた。

 ハチに聞かせなくても俺に聞かせたらアウトだったみたいだ。

 すまんな。ユルルングル。

 余計な心配の種を増やすのもなんなのでこのことはユルルングルには内緒にしておくことにする。


 それにしても、邪悪な神の名前が俺の名前でなくてよかった。

 実は邪悪な神の生まれ変わりが俺……とかだったら嫌だなと少し気にしていたのだ。

 関係ないようでほっとした。俺は俺の答えを見つけなくてはならないみたいだ。


 ハチの名前でコントンの末裔が封印されたのはコントンというのが悪人を好む性質を持っていたからみたいだ。

 名犬ハチ公の名はそんな邪悪な本性を封じ込める聖なる意味を持った名前であったらしい。

 ハチ公ぱねぇっす。ポチってつけなくてよかったっす。

 だが、コントンの名が解放されてしまった以上そのような性質が目を覚ますかもしれない。

 例の予言のこともあるし、注意していかなくてはならない。


 ……


 ユルルングルと別れ、最果ての地を抜けることにする。

 そしたら人里もあるらしい。

 亜人を奴隷にするという人間たちに会うのは正直不安だが、最初さえ乗り切れば神様パワーで楽して大儲け、勝ち組人生が待っている。

 最初が肝心だ。注意してファーストコンタクトに備えようと思う。


 最後に今回までのステイタスなのだが……


 名前 サトミ・ココ

 性別 ♂

 種族 神(忘れられた神)

 レベル 3

 HP  33

 MP  63 (+35) 

 攻撃力 19(+80)

 防御力 19(+509)

 素早さ 12(+5)

 おつむ 55

 運   68

 魅力  35(+45)

 霊力  29(+35)

 スキル ゲーム脳 蘇生術

 所得可能スキル アンリウムの炎 

 装備 

 右手     ???の棍棒(+80)

 左手     神獣の鎧(+208魅力+35)

 頭      超獣の兜(+120MP+35)

 体      霊獣の盾(+181霊力+35)    

 アクセサリー 異世界の靴(+2 +5)

 壊れた神の紋章(+10 特殊効果軽減)

 所持品 身分証明証、祭壇の器、忘れられた神様の服、異世界の服、ゴットナイフ、不殺の弓、光の矢、生け捕りの竿、神様のフライパン、不思議な釜、魔法の絨毯、防水布団×3、ジャックの皿、知恵の実、無限灯篭、グランガチの涙


 名前 ハチ

 性別 ♂

 種族 コントンの末裔

 レベル 47

 HP  2484

 MP  270 

 攻撃力 510

 防御力 402

 素早さ 626

 おつむ 31

 運   105

 魅力  124

 霊力  501

 スキル 変身 リアプノフコントロル

 所得可能スキル 解析不明

 口      なし

 足      なし

 頭      なし

 体      なし

 アクセサリー なし


 名前 ハル

 性別 ♀

 種族  デーモン・マーメイド・ハーフ

 レベル 1

 HP  15

 MP  20(+10)  

 攻撃力 3(+45)

 防御力 3(+77)

 素早さ 6(+5)

 おつむ 24(+10)

 運   2(+8)

 魅力  29

 霊力  8

 スキル 魅了

 装備 

 右手     霊竹のやり(+45 +10)

 左手     神木の盾(+50 +MP10)      

 体      忘れられた神様の子供服(+13 +20)    

 アクセサリー 依代の銅貨(???)       


 カルラは俺の眷属じゃないからか表示されない。

 ハチは???の文字が解放されて基本スペックが大幅に上昇している。というかもはや大幅というレベルですらない気がする。ボスが弱体化せず仲間になった感じだ。

 ハルは獣人と人魚のハーフではなく悪魔と人魚のハーフだったらしい。またカルラが俺にいい加減なこと教えたよ……、悪魔であろうがなんであろうが俺の眷属になった以上関係ないはずだ。たぶん。


 それはともかくとして、天界の使いと戦ったのに俺のレベルはあがらなかった。

 にもかかわらず所得可能スキルの欄と共に不吉な文字が増えている。

 あいつは言っていた。「自分の旅は終わった。だから今回は手伝うだけだ。今は」と

 もしこのスキルを覚えたら……いや、よそう。

 今は考えないことにする。

 ハチがとても強くなってるし、当面はハチがなんとかしてくれるはず。

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