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忘れられた神様  作者: ニスコー
第一章
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引っ越しの準備

 引っ越しのために準備を進める。

 持ち物は廃村でも調達できそうなものはおいて行くつもりだが、神様パワーで1回目によいアイテムに代わる法則によって得難いアイテムもあるため慎重に吟味する。


 食べ物は腐ると駄目なのでほとんど全部持ってゆくことにする。

 というか腐ってる食べ物が結構あった。ここは冷蔵庫もなければ農薬もない。悪くなるのが思いのほか早いみたいだ。知恵の実も一つ腐っていた。

 なんか触るとグニュってなって謎の汁が漏れ出ていた。

 当然食べれるわけないので廃棄だが、廃棄の方法はちょっと悩んだ。

 神話級の危険物をそこらへんに捨てていいものかどうか。

 虫が食べて昆虫人類に進化したりとか、微生物が進化して意志あるバクテリアになったりとか、そんなことになったら大変だ。

 知恵の実にそんな効果があるのかどうかは知らんけど。


 とりあえず爆弾石で爆破してみた。

 俺の予定ではきれいに燃え尽きるはずなのだが破片が四方に散乱してしまった。仕方ないので見なかったことにした。

 知恵の実に進化を促したり意思を芽生えさせたりする効果があるというのはたぶん俺の思い過ごしに違いない。そう思っとくことにした。


 荷物の整理が済むと最後に仏壇が目に入った。

 これを持って行くか否か。

 仏壇は俺がここで目覚めた初期からあるアイテムだ。

 予言の岩も詳細を教えてくれないことから重要なアイテムである可能性がある。

 できれば持って行きたいが、いかんせんかさばる。そして重い。

 なんとかハチにくくりつけたとしてもハチの乱雑な動きに途中で壊れてしまう可能性もある。

 何も2度とここにこないというわけでもないし、とりあえず置いておこうと決めた。


 そんなこんなで日が暮れる。今日がこの洞穴で過ごす最後の夜かもしれない。

 そう考えると感慨もひとしおと……いうことはない。ま、いつでも戻ってこれるしな。


 廃村からの拝借品、の神様補正強化品、「無限灯篭」で洞穴の中は明るく、寒さも緩和してくれる。

 しかし、日を追うごとに寒さが増して夜も長くなっていた。

 この地にも四季のようなものがあるらしい。冬が近づいている。


 以前は忘れられた神様の服と異世界の服を併用していたが今ではもう忘れられた神様の服しかきれない。

 どうやら忘れられた神様の服には保温効果があるらしいのだが、異世界の服は元の世界の普通の服であるためそれがない。日を追うごとに厳しくなる寒さに対応できなくなっていた。そういえば風邪をひいたときも異世界の服を着て寝ていたときだった。


 このぶんで寒さが増すようだといずれ雪でも振るかもしれない。

 俺が早く廃村に引っ越したいと考えているのはそのためでもあった。

 一番の理由は岩の上で眠るのが嫌だからだけど。


 いくら布団を引いたって下が自然の洞窟じゃごつごつして寝心地が悪い。

 まぁ、それも今日が最後だけど。


 布団の上から岩のごつごつ勘を感じつつ、これも今日までだと眠りにつく。

 いつものようにハチが布団の中に入ってくる。

 ハチの大きさだと布団の意味をなさなくなる。結局布団をえる前のようにハチにくるまって寝る形になる。

 初めのころは抵抗があったが今はもうそれもない。

 ハチの獣くささもなれれば気にならなくなっている。

 なれとは恐ろしいものである。


 そして出発の朝が来る。


「私を置いていくんですか? 」


 予言の岩の冷たい声が頭に響いた。

 廃村に引っ越す障害はなくなった。障害はなくなったが問題は残っている。

 その1番は予言の岩だ。仏壇ですら持って行くことをあきらめたのだ。

 予言の岩は仏壇より数倍大きく数倍重い。

 この大きさ、そして重さでは一緒に引っ越すことはできない。

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