設備充実したけれど
「絨毯か。やっぱ洞穴の中にも敷物があった方がいいよな。」
廃村の家屋の一室で使えそうなものをあさる俺。
あれから何度が廃村を行き来して物資を調達している。
何年も放置されていた物らしくカビやほこりもひどかったが、そこは神様パワーで随時補填だ。だいぶ設備は充実してきていた。
ただ、そうはいっても元は洞穴だ。根本的な住みにくさはどうしようもない。
例えばこの絨毯。持って帰ったところで敷くスペースがない。
無理して敷けたとしても洞穴の中にはたまにに雨水が漏れてくる。虫もいる。濡れたり虫が湧いたりしてさらに悲惨なことになるかもしれない。
せっかくだがこれは持って帰れないか……そう思いつつ念の為絨毯をほおり投げる。
耐水性で虫が寄り付かない絨毯に変化すれば持って帰れるのだが?
身分証明書でチェックすると絨毯は「魔法の絨毯」にかわっていた。
え~と……てことは移動手段で使えるのか?
絨毯に乗って浮けと念じてみたが浮かない。神様パワーでいろんなアイテムに代わるものの、使い方がいまいち不明なものも多い。だいたいは予言の岩に聞けば教えてくれるのだが、ときどきはぐらされることもある。
この前の「アンリウムの護符」なんてその最たるものだ。
「ただの護符ですよ」なんて言ってたくせにその実かなり危険なものだった。後で問いただしたら「それで危機を乗り越えられたんだから教えなくて正解だったでしょ」と言われた。確信犯だったのを認めやがった。
実際教えてもらわなかったことでうまくいったような気がしなくもないのでなんともいえないところだが、例え教えてもらっていてもなんとかできたんじゃないかという気もしなくもない。
今現在はぐらされているアイテムは「仏壇」と「憑代の銅貨」と「知恵の実」。後はスキルの「蘇生術」についてだ。そのときがくれば分かりますよと言われている。
そうそう、「知恵の実」といえば、「知恵の実」とついでに「万能薬」は再びゲットすることができた。ピングオと雑草からはいくらやっても作れなかったのだが無花果と野生のやくそうからは一発で変化した。
別のアイテムからなら最初の変化はレアアイテムの法則によって簡単に得られるものらしい。
「知恵の実」は林檎説と無花果説バナナ説葡萄説などがあるのだが、1回目でしか変化しないとなると後手に入れる可能性があるのはバナナや葡萄ということになる。そう何度も作れまい。無花果の知恵の実は大切に使いたいところだ。
万能薬は野生のまひけし、しびれどめ、やけどなおし、上級やくそうetcまだ作れる可能性はありそうだ。
魔法の絨毯のことぐらいなら予言の岩も教えてくれるかもしれないと判断し、絨毯をもってかえることにする。絨毯とか毛布とか意外にかさばるから持って帰るのは大変だが、例の川のモンスターとの戦いで大幅にレベルアップしたハチは軽々と運べてしまう。
あの川での一見以来強力なモンスターともあっていない。最初のころは警戒して廃村まで行っていたが、今は正直たるみ切ってる。森の中でモンスターに遭遇するのと廃村でモンスターに遭遇する確率はかわらないのではないかと思う。
ただ、実際に襲われて滅んでいるという事実は動かし難く、すぐに移住する踏ん切りがつかないのはそのためである。
廃村で一番状態の良い部屋の暖炉に薪をくべ、小さめの爆弾石で火をつける。
持参した不思議な鍋に食材をいれ、昼食を作る。
不思議な鍋は中に食材を入れて加熱するだけでランダムで食事ができる優れものだ。調味料がなくても調味料の効いた食事が作れる。たまに失敗することもあるが、また作り直せばいいので問題はない。
今日は焼き魚の大根おろし添えだ。魚はハチがつかまえてきたが大根は入れてない。勝手に出てきた。全く不思議な鍋様様である。
おかずだけでご飯やパンがないのは不満だが、ひたすら果物と木の実ときのこだけだったころと比べれば数段マシである。
お腹も満たしたし、夜ご飯を調達しながら洞穴に帰ろうと腰をあげる。
ちょっと憂鬱だ。洞穴はここみたいに敷物がしいてない。石がごつごつしていて寝心地も悪い。隙間風は相変わらずひどいものだ。
やはり、危険がないなら一刻も早く移住したい。




