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忘れられた神様  作者: ニスコー
第二章
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それぞれの決着 上

 天使2人の戦いを退屈そうに眺めていたハチが急にピクリと反応した。


「主様、ハルが帰ってきた」


 ハルとリューネと従者はバジリスクに乗って安全な場所に離脱している。それはサトミも聞いていた。

 どうやらようやく帰ってきたらしい。

 天使とエキドナのいざこざも終わって、丁度いいと言えば丁度良いが。


 真っ先に降りたのはリューネだった。父のもとに駆け寄る。

 そういやロレンスのことは放置されたままだった。ロレンスを気にかけるべき存在のリューネと従者は離脱していたから仕方がない。


 ロレンスを起こすリューネ。

 ロレンスが目を覚ます。

 ロレンスは少し迷ったようだが、リューネを抱き留めた。


 ほほう……


 サトミはその様子を見て一安心する。

 リューネを受け入れているのはジェイドの魂だから疑惑があったのだけれど、この分だと大丈夫みたいだ。余計な面倒が増えなくてなにより。


 ……


「あなたのために頑張ったわ」


 そう言ってしなだれかかってくるエキドナ。

 華麗にスルーする俺。ジェイドの方に向かう。

 黙って突っ立ってたからエキドナが絡んでくるからな。俺は忙しいので構えません風を装う。

 でもここでプレセぺの方に向かったらあまりに嫌味なので無難なジェイドのところに向かうことにしたというわけだ。なんで俺はこんな気を使って動かないといけないんだろうね?


「天使様しっかりしてください! 」


 後ろでチウネが天使を縋り付いている。

 まぁ、そっちは任せた。


 俺がジェイドのところにたどり着くと丁度目を覚ましたところだった。

 周りを見回し、まるで夢を見ていたようだとつぶやいた。


 俺はジェイドの蘇生術が失敗したこと、その代償で死んでいたこと、俺が生き返らせたこと。その代償として盗賊から足を洗うと盗賊たちに認めさせたことを伝えた。


「どうする? どうしても盗賊がやりたいって言うなら一思いに殺してあげましょうか? 」


 エキドナが物騒な提案をした。


「その必要はない」


 そう答えたのはガプスだった。

 今回の件でどんなに貧しくとも盗賊を辞めようと考え始めた盗賊たちが少なからずいたらしい。ガプスもその一人。ジェイドと友に盗賊を辞めるとのことだった。


「後はあっしに任せてくだせぇ」


 そう言ったのは知らない男だが、ガンツという名前らしい。

 サトミはガンツがそういった時、ガプスが何ともいえない顔をしたのを見逃さなかった。

 盗賊を辞めれば貧しくなるが生きていくことはできるらしい。それでも盗賊を続けるという選択をしたガンツを良い目では見れない。とはいえ、ガプスもそうやって生きてきたわけで強くは言えない。そんなところだろうか?


 何にせよ盗賊を辞めるものが大勢出てきたのはよいことだと思う。

 今はそれで良しとしよう。


 取りあえず、もう砂漠はいいのでアルメリアに町まで送ってもらいたいのだが……


 ……


 だるい……


 アルメリアは頭痛吐き気めまいの症状に見舞われていた。

 サトミの使った妙な金貨のせいだ。ロレンスの魂によって回復したはずの封魔の効果により再び能力が10分の1まで抑えらてしまった。


「更年期か? 」


 カルラが聞いた。


「高年齢期? 」


 妖精が飛んでいる錯覚まで見える。

 赤い妖精。かつての仲間にもそんな奴がいた。勇者の周りをひらひら飛び回って意味の分からない言葉を吐く。そういえばアルメリアにデスメリアというあだ名をつけたのもこいつだったような……理由は同じア行の名前だから紛らわしいから。


「て、アンリウム? なんであんたここにいるのよ!? 」


 あんた勇者と一緒に行ったんじゃなかったの? 勇者はどうなったの? 身を乗り出して聞くアルメリア。

 アンリウムはその問いには答えず、目の前を通り過ぎてどこかに飛んで行ってしまった。


「ちょっと待ちなさいよ! 」


 アンリウムは勇者の初めての仲間だったらしい。

 常に勇者にべったりくっついていて、居なくなる時は勇者の中に入って眠る時くらいだった。

 勇者もアンリウムをとても気に入っていた。

 仲間になるからには彼女とも仲良くなろうと頑張ったけれど、逆に花売りだの汚いだの娼婦だのと散々馬鹿にされた。

 それが勇者の見てないところで罵ってくるから始末が悪い。ひょっとしなくてもアンリウムは性格が悪かった。フォローできるところがあるとすれば嘘はつかず、本当のことだから言ってもいいのだと本人が思っているらしいことだが、そんなものは何の慰めにもならない。

 アルメリアにその通りだという負い目が無ければ無視して無視されての冷えた関係になっていただろう。

 アルメリアは勇者に捨てられたらたまらないとヘラヘラ笑いながらアンリウムの毒舌に耐えたのだ。

 とても懐かしい思い出だ。

 苦い思い出しかないアンリウムとの思い出でも、勇者との旅はアルメリアにとって一番楽しかった輝かしい日々だった。


 そんなアンリウムに久しぶりに会えた……て


「全然めでたくないじゃないの! 」


 衝撃の事実に気が付いて愕然とするアルメリアだった。

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