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忘れられた神様  作者: ニスコー
第一章
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神様も風邪はひくらしい

「ふぇくしょん! 」


 隙間風が寒い。背中も寒い。鼻水が止まらない。風邪を引いたかも。

 朝起きたらハチがいなくなっていた。食料でも調達してくれてるのだろうか。

 ハチがいないということは冷える洞窟の朝を一人で寝転がっていたということであり、そのおかげで風邪を射て引いてしまったみたいだ。


 洞穴を塞ぐ岩が「予言の岩」であることがわかった後、喋れる岩を壊すのは心苦しいということで岩を壊すのは断念することになった。

 予言の岩は俺について、未来について何か分かるみたいだが、結局それ以上は教えてくれなかった。

 岩をどかして元の入り口を使用することはできなくなったが、代わりに岩の「予言」により岩盤の薄い個所を見つけ、???の棍棒で叩き割って新しい入口を作ることに成功。なんとかもう一度洞穴の中に戻ることができた。

 その際の入り口はそのままだ。当然ドアなどは無く塞いでいない。隙間風が身に染みる。

 思い起こせば大雨の中を歩きまわって濡れたまま睡眠など、風邪を引くのは当然のことかもしれない。

 万能薬を取り出し、飲もうかどうか考える。万能薬はひとつだけだ。飲んだらなくなってしまう。

 どくけしから万能薬をつくれたわけだが、1番最初にできるアイテムがレアアイテムの法則通りそれ以降万能薬は作れていない。

 これを飲んだらもう万能薬はない。


 ずびびびび


 鼻水を葉っぱでふき取る。ティッシュがないのが地味にきつい。固い葉っぱではティッシュの代わりにはならない。2,3かいで鼻がひりひりしてくる。


 気を紛らわそうと辺りを見回すと仏壇が目に入る。

 一応中は調べたが特に変わったところは無かった。お経も蝋燭も線香も何一つついてはいなかった。ただコンセントはついていて、電気で光が灯せる仕組みらしい。

 この仏壇と最初に来てた衣服だけは明らかに元いた世界の物みたいだ。

 元の世界に戻れる何かが隠されてはいないものかと思ったが、今のところその兆候はない。


 ずびびびび


 駄目だ。鼻がもう限界だ……

 結局万能薬を飲むことにする。

 鼻水が止まらないのがきつすぎる。葉っぱでどうなるレベルじゃない。


 万能薬を飲むと体長はすぐに改善した。しかし次に同じことがあったらもう対応策がない。元気なうちになんとしても万能薬を造っておかないといけない。とりあえず草摘みに出かけることにする。

 さすがに100も200もむしって放り投げてればそのうち万能薬に変化するだろう。変化してもらわないと困る。


 俺が洞穴の外から出るとハチが待ち構えていた。嬉しそうにじゃれついてくる。

 まぁ、それはいいのだが……


「ドア、だと? 」


 そこには家のドアがおかれていた。木造のどっからどうみても人工のドア。

 ハチはどこからかドアを持ってきたようだ。

 どこから?

 たぶん人の住む家から。

 どうやって?

 たぶん壊して。


 予言の岩の予言を思い出す。

「今の私がわかることはハチ様が人を襲い、それを止めるためサトミ様がハチ様を撃つということだけです。」

 いかん、いかんぞこれは……


「ハチ、お前これをどうやって」


 言いかけて辞める。ハチに聞いても仕方ない。予言の岩のもとに向かう


「すまん、質問があるのだが」


「なんでしょう? というのも変ですね。私はサトミ様の心が読めるので質問も分かります。」


「話が早いな。このドアなんだけど」


「ここから川沿いに下った先の廃村のものですね」


「廃村……」

 聞いてほっとする。廃村ということは人がいないということだろう。ハチが人を襲ったわけではないということだ。

「その廃村って人は住んでないのか? 」


「わかりません。私が見えるのは荒れ果てた村の映像だけです。詳しいことはなんとも」


 予言の岩といえども万能ではないということか。


「今からそこに行こうかと思うんだけど、何か注意することはあるかな? 」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ないです」


「何その間は」


「例えば私がサトミ様が村娘と結婚すると予言します」


「どうしたの唐突に? 」


 いきなりでてきた例え話に困惑する。


「サトミ様は村娘と出会った時に結婚する相手だと意識してうまく話せなくなるかもしれません。そうするとサトミ様は村娘と仲良くならず結婚できないかもしれません」


「……なるほど」


 何を言いたいのかはなんとなくわかった。廃村で何かが起こる可能性はあるけど、それを言ってしまうと不味いことになる可能性がある。だから言えないってことか。


「そうとも限りません。これはこれから起こることへの布石で、今回は何も起こらないのかもしれません」


「大変なことはおこらないよね? 」


「大変なことは起こらないと思っていると大変なことが起こるということはあるかもしれません」


 なんとも煮え切らない返答ばかりされる。

 けれどそれもこれも俺のことを思ってのことだろうと話を進める。


「無難に廃村にいかないって手もあるけど」


「どちらにしろ、止めはしません」


 やはり、なんとも読めない。話せば話すほど迷ってしまう。


「最後に一つだけ聞くけど、ハチが人を襲うかもしれないってことについてどう思う」


「サトミ様は止めたいと思っているのですよね? ならば私もそのように考えています」


 ……ふう。


「わかったよ」


 俺は一息つくと岩に背を向ける。


「今から廃村に行ってくる。留守番宜しく」


 俺はハチを連れてドアを拾ってきたという廃村に向かうことにした。

 廃村にはいろいろな生活物資があるかもしれない。それはとても魅力的だ。場合によってはそこに住み着いてもいい。人がいたらいたで情報がえられる。

 ハチと会ったら相手は怖がるかもしれないから、そこだけ注意すれば大丈夫なはずだ。


「ハチ、これがあった場所に連れて行ってくれないか? 」


 ハチに言うとハチは自分に乗るようにジェスチャーしてくる。

 大きさからいえば乗れないことはないが……ハチが言うなら間違いないだろう。俺はハチにまたがった。

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