第4話:泥と瓦礫の足跡
俺は爆風が残る南耀公園へ向かって、夜空へ飛び出した――。
ゴーッ!!
夜風を切り裂き、爆音とともに俺は南耀公園の中央広場へと降り立った。
着地の衝撃で、足元の焦げた土と灰が舞い上がる。
ジェットパックの出力を切り、周囲を見回した俺は、目の前に広がる光景に言葉を失った。
公園の象徴だった大きな時計塔は半ばからへし折れ、周囲の遊具は高熱でドロドロに溶け落ちている。爆風によってなぎ倒された街路樹が激しく燃え上がり、黒煙が夜空を覆っていた。
まさに、地獄絵図だ。
「……くそっ、酷すぎる……!」
焦りと冷や汗が背中を吹き抜ける。俺はすぐさま手首の端末に意識を向けた。
「ダ・ヴィンチ! 爆心地から一番近い建造物……あいつの家を中心に、生存者の生体反応をスキャンしろ! 瓦礫の下に人が埋まってないか探すんだ!」
指示を飛ばしながらバイザーの表示を切り替えようとした、その時だった。
『……拒否。該当する検索プログラムが存在しません』
「は……? 何言ってんだ、生体スキャナーだよ! 赤外線でも心拍検知でも何でもいいから通せ!」
『繰り返し報告します。レオ様、本システム『ダ・ヴィンチ』のベースOSは、廃車置き場から回収された国産大衆車の純正カーナビゲーションシステムです』
画面に表示されたのは、どこか見覚えのある簡素な車載表示システムのエラー画面だった。
『私が搭載しているセンサー類は、障害物検知用超音波センサーおよびドライブレコーダー用カメラ画像解析のみです。軍用・救助用の透過型生体レーダー等は搭載されておりません』
「あ…………」
俺はガックリと肩を落とし、自分の額を押さえた。
そうだ、忘れていた。
ダ・ヴィンチは確かに科学学年1位の俺が極限までチューニングし、ニューラルネットワークを組んで高度な対話と戦況分析ができるまでに育て上げた最高傑作のAIだ。
だが……元を辿れば、ただの事故車のカーナビなのだ。
どれだけプログラムを書き換えて賢くしようが、存在しない軍事レベルの透過センサーを取り付けられるはずもない。
「……そうだった。お前、元は型型落ちのコンパクトカーだったな……」
『正確には、2018年式のハッチバック型です。ナビデータの更新も止まっております』
「その余計な補足はいい!」
俺は頭を抱えそうになるのをぐっと堪え、手首の端末を強引に閉じた。
ハイテクなヒーロー気取りでいた自分に一瞬で現実が突きつけられる。
「ちくしょう、文明の利器に頼りすぎてた……! スキャンが使えないなら、俺の目と耳で探すしかない!」
俺は崩れた公園のフェンスを飛び越え、黒煙が立ち込める住宅街エリアへと走り出した。
「待ってろよ……! 絶対見つけてやる……!」
灰と瓦礫が散乱する街の中で、俺は己の足と生身の感覚だけを頼りに、彼女の家を目指して駆け出した。
げた臭いと煤が漂う住宅街を、俺は夢中で駆け抜けた。
爆風によって折れ曲がった標識や、ガラスが粉々に吹き飛んだ街灯を飛び越えていく。南耀公園のすぐ隣――目指す彼女の家が近づくにつれて、壊滅的な被害の凄まじさが嫌でも目に飛び込んできた。
「ハァ……ハァ……っ!」
角を曲がった瞬間、俺の足がピタリと止まった。
「嘘だろ……」
彼女の家は――原形を留めていなかった。
2階部分が崩れ落ち、1階を押し潰すように押し潰されている。門扉は爆発の圧力でへし折れ、庭の木々は黒焦げになって煙を上げていた。
「……っ、おい! 返事をしてくれ! 誰かいるのか!?」
俺は瓦礫の山へと駆け寄り、必死で声を張り上げた。
崩れた柱や壁の隙間に顔を近づけ、耳を澄ませる。だが、聞こえてくるのはメラメラと燃える炎の爆ぜる音と、遠くのサイレンの音だけだ。
(落ち着け……焦るな! 生きてる、絶対無事だ……!)
俺は焦る気持ちを抑え込み、瓦礫の構造を頭の中で立体的に描いた。
科学と美術の知識をフル回転させる。
(2階の床板がこの角度で折れて落ちているなら、柱の影に空間――『サバイバル・トライアングル』ができているはずだ。もし彼女がそこにいれば……!)
「ダ・ヴィンチ! 建物内部の構造計算を手伝え! ドライブレコーダーの画像解析モードで、隙間の奥の映像を補正しろ!」
『了解。限られたカメラ映像からコントラストを最大化し、空間の奥を視正します』
バイザーに映る暗闇の映像が、粗いノイズ混じりになりながらも明るく補正される。
「どこだ……どこにいる……!?」
俺は瓦礫の隙間に手を突っ込み、熱を帯びたコンクリートの破片を素手で力任せに取り除き始めた。グローブ越しにも伝わってくる高熱に歯を食いしばる。
その時――
瓦礫の奥、薄暗い隙間の底から、かすかな音が耳に届いた。
「……っ……う……」
「……!!」
俺の身体に電流が走った。間違いない、人の声だ!
「おい! 聞こえるか!? 今助ける! 動くな!!」
俺は手首のプロテクターを締め直し、崩れかけの大きな梁に手をかけた。
瓦礫の奥から聞こえた微かな声に、俺は崩れ落ちた太い柱の脇へ取り付いた。
『サバイバル・トライアングル』――倒壊した構造物が奇跡的に生み出した三角の隙間。その暗がりの中に、瓦礫に挟まって動けなくなっている人の姿が見えた。
「くそっ……手じゃびくともしない……!」
素手でどかそうとしても、巨大なコンクリートと鉄骨の塊は重すぎて持ち上がらない。道具もない、時間もない。ダ・ヴィンチのスキャン機能も使えない今、目の前の命を救う方法はひとつしかなかった。
「ダ・ヴィンチ! 右手首の電撃レーザーのセーフティを全解除! 電圧回路を力技でショートさせて瞬時に高圧爆発を起こす!」
『不可です、レオ様! 回路の限界耐圧を超過します! 素手で持つ武器をオーバーチャージするなど、兵器としての設計思想から逸脱しています!』
「四の五の言うな! 今やらなきゃ、この下の大人が潰れるんだよ!!」
俺は右手を覆う電撃銃のフレームを、巨大な瓦礫の接合部へ直接押し当てた。
左手のグローブから高圧のスパークを直接右手の回路へ流し込み、強制的にオーバーチャージを開始する!
バチバチバチチチチチッ―――!!!!
「うあぁぁぁぁぁっ!!」
制御を失った高圧の青白い電撃が、右手首から暴走して腕全体を焼き焦がすような激痛が走る。フレームが赤熱化し、警告音がバイザー内で狂ったように鳴り響いた。
――ドドォォォンッ!!!!
過剰に蓄積されたエネルギーが至近距離で炸裂!
衝撃波とともに瓦礫の接合部が一瞬で粉砕され、巨大なコンクリートの塊が崩れ落ちた!
「ハァッ……ハァッ……!」
巻き上がる煙と砂塵の中、俺は間一髪で隙間へ飛び込み、挟まれていた人物を抱きかかえて外の安全な空き地へと引きずり出した。
「大丈夫か!? おい、しっかりしろ!」
顔の煤をぬぐい、抱きかかえた顔を覗き込む。
「……え?」
そこにいたのは、血と泥にまみれて気を失っている、見覚えのない見知らぬ大人だった。
(あいつじゃ……ない……? 知らない人……か)
一瞬、拍子抜けのような、安堵のような感情が胸をよぎる。だがすぐに頭を振った。誰であれ、一人助けられたんだ。それでいい。
「……よかった、生きてる」
息があることを確認して、俺は冷めきらない地上の土の上にゆっくりと倒れていた人を横たえた。
ふと右腕に違和感を覚えて視線を落とすと、右手首の電撃銃からは焦げくさい煙が立ち上り、青い火花が力無くパチパチと弾けて静まり返っていた。フレームは歪み、基盤は完全に焼き切れている。
「あー、くそっ! まぁ、そりゃそうだよな、俺の作ったものはあくまで攻撃用だ、オーバーチャージなんてしたら壊れるよな、」
俺は苦笑交じりに溜め息をつき、完全に沈黙した右手首のガジェットを見つめた。
片腕の通常攻撃手段を失った。
だが、南耀公園の悪夢は、まだ始まったばかりだった――。
だが、ただの壊れ損にはしない。
俺は歪んだアームフレームを力任せにこじ開けると、内部に組み込んであったばかりの試作品――【電撃式爆弾】を素早く引っ張り出した。手のひらに収まる小ぶりの金属筐体が、まだほんのりと熱を帯びている。
「よし、生き物(回路)は死んでも、心臓(爆弾)はまだ使える」
電撃式爆弾をそのままポケットにねじ込むと、用済みになったガジェットの残骸を手首から外し、そこらへんの瓦礫の隙間へ適当にポイと投げ捨てた。
『レオ様、そちらは最新のカスタムフレームですが……』
「いいんだよ、二度と動かない鉄くず持ち歩いて重くしてどうする。それより次だ!」
俺は立ち上がり、黒煙の立ち込める崩壊エリアの奥へと再び走り出した。
「おい! 誰かいないか! 返事をしろ!」
視覚と聴覚を研ぎ澄まし、倒壊した家屋の隙間を駆け抜ける。
「……助け……て……」
瓦礫の山の下から、かすかな声が届いた。
見ると、巨大なブロック塀と屋根の破片が重なり合い、下半身を挟まれた人間が倒れている。
「よし、じっとしてろ!」
俺はポケットから、さっき取り出したばかりの電撃式爆弾を引っ張り出した。
グローブの指先から一瞬だけ電流を流し込んで起爆タイマーをセットすると、容赦なく瓦礫の接合部へ向けて投げつけた!
――ドドォンッ!!!!
激しい炸裂音と青白いスパークが吹き荒れ、重体だったコンクリートの塊が一瞬で粉砕される!
「うわあぁっ!?」
「すまん! ちょっと熱いぞ!」
爆風と電撃の余波が瓦礫の間の生存者にも伝わり、皮膚が少しだけバチッと火傷を負って悲鳴が上がった。だが、命が助かるのに比べれば掠り傷みたいなものだ。俺は瓦礫の隙間からその人を力任せに引っ張り出し、安全な路地へと放り投げた。
「よし、次!!」
休んでいる暇はない。
俺は残った乾電池爆弾と、ポケットの電撃式爆弾を次々と手で掴み取っては、生存者が埋まっている瓦礫の山へ向けて投げ続けた。
――――ドドンッ! バチバチッ!!
「ひやぁっ!? 熱っ!?」
「うわっ、火花がっ!?」
爆破! 粉砕! 救出!
投げつけるたびに電撃の火花が散り、巻き込まれた生存者たちがちょっと火傷をして悲鳴を上げるが、知ったことか! 潰されて死ぬより100倍マシだ!
「ハァ……ハァ……っ! 次! まだいるか!?」
投げ続け、救い続け、走り回る。
気がつけば、腰のホルダーもポケットも空っぽになり、最後の一発を投げ切った瞬間、手首のスーツ端末が音を立てて暗転した。
ピコン……と虚しい電子音が響く。
『警告。ガジェット全体のバッテリー残量がゼロになりました。全機能システムを停止します』
「ははっ……ついにバッテリーまで切れたか……」
膝に手をつき、肩で激しく息を吐く。
スーツのライトも消え、暗闇が戻ってくる。だが、周囲を見渡せば――俺が爆弾を投げまくって瓦礫から引っ張り出した大勢の人々が、呆然としながらも全員生きて地面に座り込んでいた。
「ハァ……ハァ……よし……全員、救助完了……!」
ボロボロになった身体と乾ききった喉を抱え、俺は汗と煤にまみれた顔で、誰も死んでいない目の前の光景を見つめた。
バッテリーが切れ、暗転したスーツのプロテクターを吐息とともに見下ろす。
俺が瓦礫から力任せに引きずり出した大勢の生存者たちが、煤にまみれ、爆弾の電撃で少し皮膚を火傷させながらも、呆然と息をついていた。
「おい、みんな立てるか? 爆発の火が回ってきてる。全員集まって、安全な広場まで移動するぞ――」
俺が声を張り上げ、生存者たちを避難させようとまとめた、その時だった。
カチャ……ジャキッ!!
暗闇の路地裏や崩れた建物の影から、ぞろぞろと黒い服を着た男たちが姿を現した。手には軍用の自動小銃やパイプ状の武器が握られている。
「おいおい……せっかく綺麗に吹き飛ばしたってのに、コソコソと余計な真似をしてくれたなぁ、ヒーローごっこ」
男たちの下劣な嘲笑が響く。爆破を起こした犯人の共犯者たちだ。証拠隠滅か、生存者の口封じか――銃口が一斉に、怯える避難民たちへと向けられた。
「くそっ……こんな時に……!」
バッテリーは完全にゼロ。右手首の電撃銃は破壊され、爆弾も残っていない。生身の体だけでこの人数を守り切るのは、どう考えても不可能だった。俺は息を殺し、傷だらけの拳を強く握りしめた。
その時――
バシュッ!!
闇を切り裂いて放たれた一撃が、先頭にいた犯人の男の足を撃ち抜いた!
「グアァッ!?」
倒れ込む男。驚愕する共犯者たちの前に、夜風を纏って何者かが降り立った。
「そこまでだ、悪党ども」
月光に照らされたそのシルエットは、俺たちと犯人たちの間にスッと立ちふさがると、後ろも振り返らずに堂々と言い放った。
「――おい、そこのヒーロー! 勘違いするなよ、私はお前の仲間だ! 味方が来たからには、もう安心しな!」
「なっ……仲間……!?」
見覚えのない人物の登場と、勝手に「仲間」と言い張る図々しさに俺は目を白黒させた。だが、その人物は迷うことなく避難民たちに向き直ると、テキパキと誘導を開始した。
「怪我人はお互いに肩を貸せ! 私が安全な場所まで送り届けてやる! 早く走れ!」
動揺しながらも、生存者たちがゾロゾロとその人物の誘導に従って走り始める。犯人たちが銃を向け直そうとしたが、その人物が巧みな牽制で射線を遮り、見事に逃げ道を確保してみせた。
避難誘導は任せられる。あいつが時間を稼いでくれている今しか、チャンスはない。
(あいつが避難させてくれている間に……ここで全員、仕留める!!)
ガジェットの電池も武器もない。
だが、俺の頭脳と、この生身の身体はまだ動く。
俺は姿勢を低くし、逃げ惑う人々の影に紛れながら、銃を構える犯人たちの懐へと一気に肉薄した
「ここで全員、仕留める……!」
ガジェットの電池も切れ、武器も底をついた俺は、生身で犯人たちの懐へ飛び込もうと踏み込んだ。
――その直後だった。
ドババババババッ!!!
闇を切り裂く奇妙な重低音とともに、残光が路地裏を乱反射した。
「グアッ!?」
「ひ、ヒヒッ……!?」
銃を構えていた犯人(共犯者)たちが、叫ぶ間もなく次々と倒れていく。俺の目の前で、悪党たちが一瞬にして全滅したのだ。
呆然とする俺の前に、煙を上げる謎の武器を担いだ先ほどの人物が、風のように舞い戻って着地した。
(な……なんだあの武器……!? それに、もう避難誘導を終わらせて戻ってきたのか!?)
あまりの早わざと圧倒的な戦闘力に、俺は声も出ず固まった。
すると、その人物は手に持った謎の武器を腰に収めると、呆れたように俺を指差し、身も蓋もない一言を放った。
「ちょっと、いつまで固まってるの? そのダサいヘルメット、早く外しなよ」
「……は!?」
ダサい。
今、俺の自作ヘルメット(バイザー)のことをはっきりと「ダサい」と言った。
「な、なんだと……!? これがどれだけ計算されたエアロダイナミクスとデザインだと――」
「いいから取って!」
「うわっ!」
強引に手を伸ばされ、俺は反射的に自作ヘルメットを頭から脱ぎ捨てた。
夜風が煤と汗にまみれた髪を揺らす。
「ふぅ……たく、人の作品をダサいとは――」
言いかけた俺の顔を、その人物は月光の下でじっと覗き込んだ。
そして、目を見開いてハッと声を上げた。
「……あ、! レオじゃん! 貴方もヒーローやってるのね!」
「……は?」
思考が完全にフリーズした。
聞き覚えがありすぎる声。月明かりに照らし出されたその素顔は――
「……み……ミオ……!?」
そこにいたのは、俺のクラスメイトであり、俺がずっと密かに片思いしている女の子・ミオだった。
「な、なんで……なんでミオがここに……っていうか、その格好……!?」
「え? 見れば分かるでしょ。私もヒーローやってるの!」
片思いの女子が、自分以上のトンデモ武器を引っ提げてヒーローをやっていたという衝撃の事実。
そして、自分の自作ヒーロースーツとヘルメットを「ダサい」と一蹴されたショック。
南耀公園の崩壊現場の真ん中で、俺はただただ絶句して固まるしかなかった。
思考の処理が追いつかず、俺は頭を抱えそうになりながら、必死に声を張り上げた。
「おい! マジで頼むからクラスメイトにはバラすなよ、!」
学校での平穏な日常が崩れ去る恐怖に青ざめる俺に対し、ミオはクスッと悪戯っぽく笑うと、胸の前で軽く腕を組んだ。
「私のセリフ、ま、どっちにしろどっちも約束守れるでしょ? 信じてるからあなたの言葉は」
「え、信じて、る……? いや、今は考えずに、犯人を倒しに――」
正体がバレた焦りと、「信じてる」なんて不意打ちの言葉にドギマギしながら、俺は倒れた男たちを指差して無理やり話題を逸らそうとした。
だが、ミオは不思議そうに首をかしげる。
「え? もう倒したよ?」
「……は?」
足元を見れば、さっきまで銃を構えていた犯人(共犯者)たちは、ミオの謎の武器の一撃で全員白目を剥いて転がっている。俺が生身で突撃しようとしていた敵は、すでに全滅していたのだ。
あまりの拍子抜けと手際の良さに俺が再び絶句していると、ミオは俺の困惑などお構いなしに、トントンとテンポよく話を進めていく。
「とりあえず、犯人は倒したのと私たちのチームにはいらない?」
「……はぁ!?」
またしても怒涛の提案に、俺の脳みそは完全にキャパシティを超えた。
「チ、チーム……!? チームってなんだよ急に!」
「チーム名? そんぐらい知ってるでしょ? スターリンだよ」
ミオの口からサラッと飛び出したその名前に、俺の背筋にズドーンと衝撃が走った。
「っ……!? ス、スターリン……!?」
スターリン――それは都市伝説などではなく、陰でこの地球を守っているとされる、国家規模の超超巨大・秘密防衛組織の名称だった。
(スターリン……あの大規模な……!? え、ミオって……そこの所属なのか……!?)
クラスで一番好きな、ごく普通の可愛い女友達だと思っていたミオが、地球を守る秘密組織の一員だったという超巨大な真実。
壊れたガジェット、切れたバッテリー、そして目の前に立つ片思いの少女。
深夜の南耀公園で、俺はもう何に対して突っ込めばいいのかすら分からなくなっていた。




