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ミッドガー戦記  作者: 清水涼
一章 ミッドガーの空の下
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プロローグ ――西暦2018年5月23日 日本―― 二十もとい二百四十年振りの帰郷

窓の外は雲ひとつもない蒼い空。


この間晴れる日は多いだが、今日は一番気持ちいい。涼しい風は葉を揺すっながら、午後の陽射しと共に窓から入って、開いた本のページをはたはたと軽く捲ている。


暑からず寒からず、本当いい天気だな。


もう放課後ですから、教員室の中には、今他に誰もいない。俺は背を椅子に強く押して、手と足の力を抜いて休憩している。ちょっと羽を伸ばしでも良い、こんな静かて孤独な空間は俺の大好きな物だ…仕事が無ければね。


自己紹介が遅れて申し訳ない、俺は川内(かわうち) (じん)、極普通の高校教師だ。担当は数学、今二年B組を担任している。俺が教師に成た理由は()()を継ぐのと近い――亡き父は曾て教師をやていたから、俺も興味を持っている。


だが、正直に言うと、この職業には色々面倒な所がある。それに、仕事で疲れた。


まるで悪戯の様に、俺はそう思う同時に、ノックの音が聞こえた。


「入れ」


仕方ない、俺は体勢を整えて返事した。


「お邪魔しました」


この声は…俺が今待っている人だ。


予測通り、扉から入ったのは近衛(このえ) 雅之(まさゆき)、俺が担任するクラスの委員長だ。黒い髪は短く切っられて、爽やかな顔に優しそうな笑顔を常に()()()()()から、如何にもしっかり者の感じがする。


「先生、進路希望調査表をお持ちしました」


「おう、ご苦労だな」


そう言いながら、近衛は持っている資料を机の上に置いた。この数十枚の紙こそが俺は今までも帰られない理由だ。


全く何のために存在するのか、こんな物は? 毎年やていたから、きっと何かの役に立てるでしょう。でも、俺は全然分からないし、分かりたくもない。自分の仕事をして、給料を貰うだけから。


「…」


「また何があるか?」


用事は済んたはずなのに、何故か近衛は去るつもりはないみたいだ。彼は困った顔をしたから、多分何がの面倒な事を言いそうでしょう。


「あの…先生、実はまた3枚入れてないです」


「…ああ」


素早く紙を数えたら、確かに3枚足りないな…


「山崎の双子か? もう一つは…島?」


「ええ」


それは予想できなくもないだな、何せこのクラスの要注意人物からね。


「あいつら、もう還たか?」


「いいえ。また教室にいるはずですが…」


「提出する気ないようだな」


「はあ…」


「ヘー」


近衛の声から非常な無力感が溢れ出っているから、俺はつい笑ってしまった。


「先生!」


「ハハハハ、悪い悪い。でも、あいつらの事は君の問題じゃない、放ておけばいい」


「でも…」


近衛は又何が言いそうに成た。


こいつは基本的にいい人だ、そして責任感も強いし、だから委員長にされた。でも、この責任感は何時も良い物ではない、何が何でも自分の肩に乗るなら、何時がプレッシャーに折れるかもしれません。


「あの双子は大丈夫だろ、あん見えても実は賢い奴らだ。成績も上の下、多分近い所に進学でしょう。島は…『家業』を継ぐのはもう決まったから、他人が口を挟む所じゃないですね」


でも、俺の答えは、彼にとって納得できる物ではないみたい。


「先生は本当にこれでいいのかよ?!」


「何がですか?」


「山崎達はともかく、先生は本当に島を手放すつもりですか?!」


「…そうですが、何か?」


「…」


一瞬、近衛の目に炎が見えると思った…


ああ、そう言えばこいつの父親は警官みたいだ、道理で島の実家の事を知っている。


「島の事はさておき、お前のこれは教師に対する態度がい?」


「!…も…申し訳ありません」


自分の言い方を覚えて驚いた近衛は、慌てて謝った。


彼はやっと冷静を取り戻したみたいから、俺は再び自分の結論を語る。


「いいや、堅苦しい喋り方は俺も嫌いだ。島の事は君の問題じゃない。今は重要な時期だ、君は自分の事だけを考えればいい。そして…」


机の上の資料を整えながら、俺はちょっと強い声で続いた。


「俺は、こう見えても教師だ、もっと信頼してくれ。」


「…済みませんでした」


今回近衛は本気で頭を下げた。真面目な奴だな…


「もう遅い、還ていいよ」


「では、失礼します」


再び頭を下げて、近衛は教員室から出っていた。閉めている扉を見ながら、俺は思わず溜め息をついた。


俺の感じなら、島は寧ろその「家業」に非常に向いている。でも、近衛の言う通りだ、島自身に「家業」を継ぐ気は全くない。ただ、高校生があの実家の影響力に対抗するのは難しい。


まあ、未だ高2だし、そう焦る必要はない。子供は確かに非力だが、同時に可能性がある。一年後の彼等はどうなるかと、誰が予想出来るのか? 神でも出来ないでしょう、これこそ青春の美しさじゃないか。


いざという時に…俺は教師だから、生徒にある程度の責任を持っている…


この仕事は本当に面倒な事ばかりだな…でも、それこそ面白いかもしれません。


そう思いながら、俺は再び背中を椅子に押した…


――ズーズズーズズー…


まるで電流が走ったの様な感じで、俺は椅子から跳んていた。慌てて見回ったら、ただ教員室に俺以外誰もいない事を確認した。


あれは…間違いない、魔力の波動だ!


一体誰か…


数は少ないが、この地球にも魔法使がいる。でも、彼等が俺の前に姿を現す事は、今まで一度もなかった。なぜ今…


いや、これはどうでもいい、何がの魔法が発動するのは確かだ。なら、魔法を使う奴を探して、発動を中止するのは先だ。


そう考えて、俺は教員室から出た。本当にもう遅いから、廊下に一人もない。視界の中に、夕陽は全ての物を赤く染めている。


魔力の波動を追って、階段を上げると、段々あそこに近づいていく。まさかと思ったが、魔力の中心は間違いなく2Bの教室にある。


生徒の中に魔法使がいるか? 有り得ない! 俺の目を誤魔化したと言うですか?! この、お・れ・の・め?


とっても複雑な気分を持ちながら、俺は教室に入った。もうこんな時間ですが、教室に沢山の人がある。


廊下側に、扉から一番近い所にいるのは三人組。何が揉めているみたい。


立つ二人の女子は、まるでコピー・アンド・ペーストされだみたいで、互いに似ている。彼女達は先話に出た山崎の双子だ、山崎(やまざき) 若葉(わかば)山崎(やまざき) (つぼみ)。耳を過ぎない黒い短髪、きちんと切った前髪、小さくて幼稚な顔立ち、細すぎる体と四肢、更に身長は僅か百五十センチ――この二人はどう見ても子供しか見えない。それに、性格も子供ぽくて悪戯好き、だが可愛らしい外観のせいで、ほとんどの場合には許されたみたいだ。こいつらにとって、規則と他人の期待を破るのは正に趣味みたいな物だ…このクラスの要注意人物の二人。


坐る男子は高橋(たかはし) 邦光(くにみつ)、このクラスの問題人物の一人。でかくて強健な体とブロンズの肌は、ことごとく相手に強い圧迫を押しているため、周りに敬遠されたみたい。それに、ぼさぼさの髪をわざと金色に染めて、不良に見られでも自業自得な奴。俺も何度も校則違反と、その頭について叱ったが、全然改善する気ないし…まあ、根は良い奴だから、いいや。寧ろ山崎達と比べて、こいつは真面と呼ばれてもいい。


経験によって、こいつらが揉めている理由は、十中八九双子が何がをやらかしたでしょう。


「(見ろ、川内先生だ)」


「(え!)」


「(もう放課後だから、チャンスじゃない。話し掛けてみるか?)」


「(い…いや、何を話せばいいでしょう?)」


「(なんでもいいよ!何時までもうじうじすると、なんも始められないでしょう)」


ちょっと遠い所に、二人の女子は何がを囁いている。


一人は先話に出た(しま) 久美(くみ)。小麦色の肌と短いポ二テール、元気な感じは全身から溢れ出っている。普段の印象は騒がしいが、静かにすれば、この端麗な顔と上吊目はとっても魅惑的と成る。だから、学校中にも人気者らしい。でも…こいつは正真正銘の不良だ。何時も喧嘩している上に、相手は男ばか…本当凶悪な奴。でも、弱い者には興味なさそうから、こいつの本性を知っている者はあまりいない。


もう一人は島の親友相澤(あいざわ) 美倉(みくら)。淡い茶色を付けたストレートは肩まで伸びている、清らかな顔に淡色の眼鏡が被ってて、如何にも真面目そうな感じがする。ちなみに、髪色は染めたじゃなくて、生まれ付きみたいだ。一言で説明すると、優等生だな。成績も性格も欠点と言える欠点はない…だが、地味な感じもどうしても振られない。


だから、この二人はどして友達に成たのは不思議だ。普通に考えれば、幼馴染とかなんとかでしょう? でも、それは違う。彼女達は高校で初めて会ったみたい…本当に不思議だな。


島達の背後に、一人の男子が壁に溶けそうな感じで坐っている。


あれは藤原(ふじわら) 宗一(そういち)、クラスの疎外された者。家は金持ちらしいが、付き合い悪いし、何しろ何時も人と関わりたくない雰囲気が浮かばているから、クラスメイト達に遠ざけられる事と成た。それに、男の癖にまるで自分の頽廃さを強調するように長髪持ち。だが、俺は分からないけど、女子の間にはその哀れな雰囲気が何が人気らしい…男優の様な顔と右目の下の泣きぼくろも貢献したでしょう、本当イケメンはやりたい放題できるだな。


窓側の奥に座っているのは男女二人。一人は先教員室に来た近衛、そしてもう一人は近衛の彼女富永(とみなが) 春子(はるこ)…ええ、不純異性交遊は確かに校則違反ですが、近衛は真面目な奴だから、大丈夫でしょう。それに、もっと深刻な事態か起こさないように、今もはや近衛の存在は不可欠だな。


富永は本物の学園のアイドルみたいな女子だ。肩に当てるしなやかて艶やかな黒い長髪、着実の仕草、アイドルレベルの美貌、総体的には大和撫子と呼ばれる女の子…まあ、外観的にね…


――ズズズーズズーズズズズー…


当た!


魔力の中心は間違いなくあそこだ――近衛雅之!


俺は今やっと気付いた、近衛に標記の魔法が付いている。それに、一階(エンジェル)の【標記(マーク)】ではなく、四階(パワー)の【聖痕(スティグマータ)】だ!


【聖痕】の効果は永久だから、使った者を探すのはもう遅いでしょう。でも、それを後にしてもいい。標記魔法は他の魔法の標的をマークするために使われる物、つまり今何者が近衛を目標にして魔法を発動している。一体何の魔法が分からないが、これを直ぐ止めなきゃ…


気付かれないように、俺は密かに魔法を発動した。相手の魔法が分からない内に、直接な対抗は出来ないが、標記を消されば標的が消える、それなら魔法の発動も止められる筈。標記消すのために、五階(ヴァーチュー)の【魔払い(ディスペル)】は最も安全なオプションだな。それに、俺は五階の魔法を「瞬発(しゅんぱつ)」――詠唱も法印も要らない――する事が出来る。


音も光も何もなくて、【聖痕】の効果は近衛からじりじりと消えていく…




――ウウウウウウーーーーーーー


俺はやっと安心した瞬間に、巨大な魔法陣はいきなり教室内に展開された!


生徒達は皆突然の変化に驚いて、反射的に魔法陣から離れようとしたが、魔法の効果によって、誰一人も動く事ができなかった。


あ――――やられた!()やられた!


俺はこの魔法陣を知っている、八階(ケルブ)の【召喚(サモン)】だ。この魔法は標的が無くでも発動出来る、寧ろ標的のない場合は圧倒的に多い。


その上、俺が標記を消したせいで、元々近衛だけに作用する魔法は、今この場にいる全員を巻き込んだ!


「な…なんじゃこれは!」


「ああー、久美…先生…」


「…動かない、だが…」


「…面白そうですね…」


「これ…何なんだ? 光が地面から…」


「…雅之!」


「怖がるな、大丈夫だ、春子…」


「…」


生徒達は混乱している。無理もない、こんな不思議な事件に巻き込まれるのは、普通一生も会う機会がないでしょう。


ああああああ、畜生! 既に発動した【召喚】には対抗する手段はない。


せめて…せめて生徒達の魂を守って見せる!


「│罪縛ざいばく賢者(けんじゃ)の名において、輪廻(りんね)の川に誓い奉る――」


もう、ばれるかどうかに気にする時間はない。俺はこの場にいる全員を標的にし、必死で呪文を詠唱する…


「…この身が滅ぼされる前に、魂の絆を絶対破棄しないことを…【(ソール)(バインディング)】」


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