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会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


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オープンワールド型ダンジョン①

大阪③:ダンジョン万博in大阪 中編

 会場のスピーカーから、合図のチャイムのような音が短く鳴った。


 「19時37分、本日の噴水ショーを開幕いたします」


 ウォータープラザの中央から、噴水が一斉に立ち上がった。

 同時に照明がウォータースクリーンに照らし出されて、疑似的な3D演出と共に映像が照らし出される。

 観客は一斉に声をあげ、視界いっぱいに広がる光と音との演出に目を奪われていった。


 「おぉ…これはすごいですね」


 「私も見るのは初めてなんだけど、普通の噴水ショーじゃなくて映像を映し出すみたいね」


 このショーはドバイやラスベガスの噴水ショーとは異なり、ウォータースクリーンに映像を映し出すことで、ストーリーを見せる映像ショーと言い換えてもよさそうだ。


 それに加えて下から吹き上がる噴水と相まって観客を1秒たりとも飽きさせない仕組みに、思わず感嘆の声を上げる。


 「映像と音と、そして光と炎の演出ですか…さすがダン博ですね」


 配信することも忘れて、ただただその光景に目を奪われていた。


 ショーはまだ始まって数分も経ってはいない、そんな時であった。

 フレームから光が空に向かって一条の光のように上っていく。

 すごい演出だな、そんなことを思った時、シオがまるで立ち上がるかのように足をピンとさせて凝視していた。


 「シオ、お前もこのショー気に入ったか?」


 そう声をかけた直後、別の感情が向けられた。


 「?!」


 その感情のもとになった、とある場所に視線を向ける。

 そこはフレームの上部で、絶賛ショーの真っ最中で光やウォータープラザから吹き上げられたミストが、光に反射して幻想的な空気を作り上げているその場所だった。


 光が邪魔して見にくいな、そう思うもフレームの上部、ちょうど真ん中に当たる位置に、照明器具か何か球体みたいな何かが見えた。その物体から光が空に向けて放たれており、それ自体は単純にきれいだな、としか思わない。


 「ん??? あれは…」


 その球体は…見覚えのあるシルエットだった。

 つい最近、どこかでみたような…。


 突如無意識に鑑定スキルが反応した。

 焦点が、球体の一点に吸い寄せられる。


 ――――――――――――――――――――

 対象:ダンジョンコア

 現在状態:起動/活性化進行中(出力上昇傾向)

 制御層:本来の安全機構の上から、外部制御が上書き済み

 動作領域:リング機構を逆向きに転用中(外部遮断→内部封鎖)

 直接接触:不可(規模超過)

 停止可否:設置側の制御コード相当の介入を要する

 備考:補助構造に、以前見たものと同系統の外規格が混在。

 これまでに確認できた汚染術式に似た術式が通常の状態より外れた状態で世界に関与中。

 ――――――――――――――――――――


 ……これは。


 いつかの、あの場で見たものと同じだった。

 守秘義務の中で詳細を伏せられ、活性を抑え込まれていた物体。

 だがあの時とは違って封印などが外されている状態で、いわば本気の本気モードである。


 俺は勢いよくソファーから立ち上がり、目の前の柵に勢いよくもたれかかる。


 「ん? どうしたの??」


 急な行動にビックリした表情を見せる桐野。

 シオはしれっと俺の肩の上に鎮座している。


 「…………ダンジョンコアが…仮にここで起動した場合って…どうなります??」


 俺の言葉に桐野は呆気にとられた表情を見せた。


 「ちょ、ちょっと…あなた…何を言ってるの? ていうかダンジョンコアって…」


 「実は最近、とある依頼…管理局の依頼でダンジョンコアを鑑定したんです。その時見たダンジョンコアがいまあのフレームの上部にあって、起動中と俺の鑑定では出ています」


 「ダンジョンコアを鑑定…っていうか日本にダンジョンコアあったの???」


 「えぇ。そもそもダンジョンコアが実在していたのか知らなかったから、初めて鑑定した時は驚きましたが」


 「……え? ちょっと待って。いまダンジョンコアが起動してるって言った??」


 俺は桐野の問いに頷いた。


 「う、うそでしょ…地上でダンジョンコアが起動したらブルックリンと同じことになるじゃない…」


 周囲に甲高い音が鳴り響く。

 その音は人の神経を逆撫でするような甲高い音で、咄嗟に耳を塞ぐも容赦なく耳朶に浸透してくる。

 そして次にガラスが割れるような音が周辺に響いた。


 何が割れたんだ、とその音の方向である空に向かって観客は視線を上げた。

 

 「そ、空が…割れている…」


 誰かが無意識に呟いた言葉は、今ここにいる人々全員の気持ちを表した言葉だった。

 始めて見るその光景は、もしかするとショーの一部なのかもしれない、そう思った観客も大勢いただろう。だが、ショースタッフもその光景に何か有り得ない物をみるように、空を見上げていた。


 「な、なんなんだこれは…こんなの俺ら作ってないぞ」


 ショーのスタッフは何が起きているのかわからない。

 自分たちのスケジュールにはない、その光景に慌ててモニターなど確認を行っていく。


 「う、うちのプロジェクターから出ている映像ではありませんっ!」


 「さっきの音もこっちから流した素材じゃないぞ!!」


 「じ、じゃあ、あの空に映っているものはなんなんだ…」


 人々が動揺していた時、フレームの上部に人影が二つあることに気付く。


 「桐野さん、ダンジョンコアを挟むように人が2人立ってます」


 「えっ?」



 ◇



 その2人は観客を見下ろす形でフレームの上部に立っていた。


 「なんか大勢が口を半開きにした様は間抜けっすね」


 「皆、奇跡を目の当たりにしているのだ。当然である」


 「ここまで順調に行きすぎるとなんか逆に怖い気もするっすけど、まぁたまには上手い具合に進むのも悪くないっていうか」


 「確かにそうだな。ダンジョンコアの起動状況はどうだ?」


 「8割がた終了っすね。おっ! 今、安定状態に入ったっす。周辺には障壁が展開されましたから、これでほぼ任務は終了っすね」


 「ふむ。まだ完全安定とは言えないが、少なくとも外部から邪魔されて起動が阻止される事態は避けられたか」


 「あとは直に来る特務のやつらとじゃれ合って適当に退散ってとこっすかね」


 「そうだな。あの国の犬共に躾をして、だれが世界の中心にいるかをわからせる必要があるな」


 「パイセン、本気でじゃれ合っちゃダメっすよ。パイセンのスキルは特殊過ぎてこっちにも影響があるっていうか…」


 「ふっ。我とて犬ごときに本気になるわけもない」


 「……前にそう言って本気になった人見た気がするっす」


 「我は細かいことは覚えない主義だ」


 「……とりあえずここ離れましょっか。ダンジョンコアがそろそろボスの座標特定に入るっす」


 「うむ。わかった」



 ◇



 周囲は騒然としているが、誰一人としてこの状況を正確に把握しているものはいなかった。


 「綺麗だな」

 「すごい演出じゃね?」

 「これ本当に演出??」

 「音と映像が止まったぞ」


 割れた空には更に罅が入り続け、そして割れた窓のように欠片が落ちた。

 欠片はすぐに塵となって消えるが、割れた先には暗がりの空よりも暗く、そして濁ったように見える。


 空はいま、世界が二分しようとしていた。

 割れ目が空間を侵食し続ける。そしてあっという間にリング内を取り込んでいった。

 

 そして、ダンジョンコアはとあるモノに目を付けた。

 

 ちょうどその時、アメリカ館では一般客対応をしている最中だった。

 閉館時間は21時。ダン博でも屈指の人気を誇るアメリカ館は常に多くの観客であふれており、皆、あの目玉でもあるグランドドラゴンの標本を一目見ようと列をなしていた。


 とある一般客は、ようやく見ることが出来たグランドドラゴンの骨格標本を前に、記念撮影をしていた。 


 「はい、チーズ!」


 「ありがとう。おぉ…しかしすげぇなコレ。骨だけなのにまるで今すぐにでも、襲い掛かってきそうな雰囲気あるな」


 「確かに。よくこんなものを日本にもってきたもんだな」


 そんなことを言い合ってその場を離れようとした一般客は、僅かだがグランドドラゴンが動いたような気がした。 


 「ん? なんかいま動かなかった?」


 「おいおい。何言ってんだ?」


 「あ、いや。なんか今少しだけ動いたような気がしてさ」


 「んなわきゃねぇだろ。振動で少し動いたとかじゃね?」


 「そうだな……んん?」


 グランドドラゴンの爪先が僅かに動いた。

 そして感触を確かめるかのように骨格がカタカタと揺れ始めた。


 「……なんか俺は夢をみてるのか?」


 「何を馬鹿なことを……っておい。なんか震えてねぇか」


 周囲はグランドドラゴンの骨格標本が小刻みに揺れていることに気付き始める。

 なんだ、あれはと口々に放たれるも、だれもその答えを返せるものはいない。


 そして、明確に動いたと認識した直後、グランドドラゴンの骨格標本を中心に瘴気が放たれた。

 色が見える程の濃い瘴気に一般客は次々と倒れていく。

 それを見たスタッフが逃げ出すも、同じ末路を辿っていく。


 数秒後、肉体が復元され始め、そして大きな雄叫びを上げた。

ここから毎日1話投稿になります。

ご了承ください。

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