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会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


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22/86

回収屋が、公認になった日

 配信の翌朝、魔封石の破砕片を精製業者に預けた。


 そして3日後、『仕上がりました』と連絡が来た。


 受け取りに行くと、8片が1つの石に戻っていた。

 濃い紫色で、表面に細かい光の筋が走っている。

 拾ったときの散らばったかけらとは別物のように見える。


 「融合精製、うまくいきました。純度は少し落ちますが、希少度Bの魔封石として問題ない品質です」


 「ありがとうございます。買い取りもお願いできますか」


 「精製料を差し引いて、62,000円になります」


 排水溝の脇に落ちていたかけらが62,000円になった。

 素通りしていった人間の数を考えると、少し不思議な気持ちになる。



 ◇



 昼に管理局へ向かった。


 浅田が同じ会議室に通してくれた。


 「お返事をいただけますか」


 「登録します。ただ、確認させてください」


 前回渡された資料を開いた。


 「配信は今後も続けられる。断る権利は保持できる。個人情報の管理は管理局内に限定される。この3点は変わりませんか」


 「変わりません。書面に明記することもできます」


 「わかりました。では、登録お願いします」


 「ありがとうございます」


 浅田が少し安堵したような顔をした。


 手続きは三十分ほどで終わり、書類に署名して、証明書を受け取る。


 『民間鑑定士 真壁遼』と印字されていた。


 ラミネート加工された薄いカードだ。

 そこら中にあるありふれた加工だが、これが何かを変える気がした。


 「今後は管理局経由で正式な依頼が入るようになります。最初の依頼はおそらく今週中に届きます」


 「内容によっては断ります」


 「もちろんです」


 会議室を出るとき、浅田が一言付け加えた。


 「真壁さんの発見がなければ、この登録制度を活用しようという話にもなっていませんでした。本当にありがとうございます」


 「結果的にそうなった、というだけです」と返して、軽く頭を下げた。


 外に出て、証明書をポケットにしまう。

 ラミネート加工された薄っぺらい、ただの証明書だ。

 それでも少し、立っている場所が変わった気がした。



 ◇



 夜、17回目の配信を始めた。


 登録者は11,050人になっていた。


 「今日はB4Fを一周します。封印部屋の近くをまだ確認できていないので」


 『また何かありそう』

 『封印部屋のゾーン』

 『楽しみ』


 封印部屋のあった通路の手前から別のルートに入った。

 照明が少し暗い区画だ。最近改修が入っていないのか、壁が古い。


 三十分ほど進んだとき、通路の中央に石が転がっていた。


 握りこぶし大の、乳白色の石だ。

 表面がなめらかで、内側から微かに脈打つような光がある。


 「これ、なんだろう」


 拾い上げると、思ったより軽い。


 【鑑定】を向けた。


 ――――――――――――――――――――

 魔力共鳴石(片割れ)

 希少度:B(ペア状態)

 現在価値:低(片割れのため)

 ペア時推定価値:12万〜16万円

 備考:同一個体から割れた2つで対をなす石

 片方だけでは価値が低いが、もう片方と合わせることで魔力が共鳴し希少素材となる

 もう片方の反応が現在地から50メートル以内に存在する

 推奨:周辺探索・ペアの回収

 ――――――――――――――――――――


 「ペアになってる石の片割れです。もう半分が50メートル以内にあると出ました」


 コメントが一気に流れた。


 『探して』

 『50メートル以内ならある』

 『宝探しだ』


 「やってみます」


 石を持ったまま、周辺を確認し始めた。

 鑑定を繰り返すと、『反応あり』『近い』『さらに近い』という表示が出てくる。


 「反応が強くなってきてる。この方向です」


 通路を折れて、別の区画に入った。

 壁際に荷物が積んであるというより、放置されたまま忘れられた感じの段ボールが重なっている。


 その一番下に、白い石が挟まっていた。


 「あった」


 段ボールをどかして引き出すと、最初に拾った石と同じ乳白色の石が出てきた。


 2つ並べると、光の脈動が合わさるように強くなる。


 『きれい』

 『つながった感じがする』

 『なんか感動する』


 「2つで対になってます。鑑定してみます」


 2点まとめて【鑑定】を向けた。


 ――――――――――――――――――――

 魔力共鳴石(ペア・完全体)

 希少度:A

 現在価値:14万〜17万円

 備考:2つが揃い、互いの魔力が共鳴している状態

 分離すると再び価値が落ちる。ペアのまま保管・売却を推奨

 工芸品の素材、または魔術触媒として需要がある

 ――――――――――――――――――――


 「ペアになったら希少度Aになりました。14万〜17万円です」


 コメントが止まった。


 『片方だけ拾っても意味なかった』

 『両方見つけたの回収屋だけだろ』

 『鑑定ないと気づかない案件すぎる』


 「片方だけだと価値の出ない石なので、残った方も気づかれないまま埋もれていったかもしれない。揃って回収できてよかった」


 2つを布で包んで、鞄にしまった。



 ◇



 配信を閉じると視聴者は11,200人を超えていた。


 帰り道に管理局からのメッセージが届いていた。


 浅田からだ。


 『本日付で登録が完了しました。早速ですが、明日以降のご都合でお受けいただける依頼があります。個人の探索者の方から、保有している装備の一括査定を希望するご要望です。報酬は査定点数に応じた正規料金になります。ご検討ください』


 最初の正式依頼だし、断る理由はない。


 『受けます』と返信した。

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