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会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


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今回は反省会の主賓として呼ばれました

 作者よりお知らせです。

 カクヨムの方でサポーター専用のSSS第10話目『御厨澪は、真壁遼を測れない』を近況ノート更新しました!

 カクヨムの方ではストーリー進行が遅いですが、専用エピソードを近況ノートの方に掲載していますので、興味ありましたら是非のぞいてみてください(サポーターズパスポート加入などが必要になります)

 WEG東京の開会式は、無事に終わった。


 少なくとも、世界中のニュース番組ではそう報じられている。

 翌朝の情報番組は、どの局も光の屑現象一色だった。


 『巨大スタジアムの上空を覆った光!』

 『夜空いっぱいに広がった星屑』

 『最後に、満天の星へ変わっていったグランドフィナーレ』


 映像は何度も、それは何度も流された。

 専門家の解説も、芸能人の感想も、現地観客のインタビューも、全てはそこへ向かっていた。


 『WEG東京組織委員会から、現時点で公式発表は出ていません』

 『一方、関係者への取材では、サプライズ演出だったのではないかという話も出ています』

 『東京の夜空に、世界が驚きました』


 世界は、興奮を隠しきれていなかった。

 そしてそれはインターネットの世界でも同じだった。


 『最後の満天の星、あれは反則』

 『思わず願い事した』

 『俺の胸に変なサインが出たんだけど、あれ何』

 『世界規模の演出ってどういう予算感なんだよ』

 『WEG東京、初日から本気を出しすぎ』


 当然、すべてが好意的な反応ではない。

 不安を訴える投稿もあり、陰謀論めいた話も広がっていた。


 それでも、世間の空気はまだ祝祭の中にあった。

 真相を知らない人々にとって、あれは開会式を飾る奇跡の演出だった。

 そして、真相を知っている者たちは、朝から眠気を置き去りにして走り回っていた。



 ◇



 有明WEGセンター内にあるWEG東京HQ。

 その中にある大会議室で、俺はロの字に組まれたテーブルの奥へ座らされていた。


 しかも、奥の真ん中である。

 

 真壁の左肩には、シオが丸くなっておとなしくお座りしていた。

 昨日行使したスキルの反動なのか、普段より反応が鈍い。

 シオに聞くと『ねむい』だけが返ってくる。

 そして時折、触手の先が俺の頬をつつく。


 それが起きている合図なのか、寝ぼけているだけなのか、俺にも分からなかった。


 テーブルの周囲には見慣れた顔と、できれば一生同じ会議室に集まってほしくない顔ぶれが並んでいた。


 >WEG東京組織委員会の事務総長

 >内閣府特命チーム

 >真壁支援チーム

 >ダンジョン庁副長官の瀬尾

 >警察庁長官

 >警視庁長官

 >外務省外事課の部長

 >そのほか、各所の実務責任者


 並んでいる肩書きだけで、軽い災害対策本部が作れそうだった。

 そしてその全員が、真壁の報告を身じろぎもせず、黙って聞いていた。


 俺は、順を追って説明した。


 前日に会長として接触してきた男の違和感から発展した、あのダン博騒動を引き起こした神父の件。

 中央演出塔から見つかった悪質な呪術汚染物の仕込み。

 そこから発展してシオの光聖の魔導書に、久遠ことねの運命視を一時登録したこと。

 開会式中にシオがスキル行使した結果、現れた巨大なサイコロ。

 運命表に示された、『星に願いを』という結果。

 世界へ広がった光聖属性の祝福。

 

 発言し終えたところで、会議室はしばらく静寂に包まれた。

 誰もすぐには発言しなかった。

 恐らくはだが、真相が上手く呑み込めてないのだろう。


 そして組織委員会の事務総長が両手を机の上で出して、そして組み直した。


 「まさか、開会式の裏でそこまでのことが行われていたとは……」


 言い終わると思わずWEG東京事務総長は、天井を見上げた。


 「WBの幹部、それも十二席の第三席…」


 警察庁長官が、資料へ視線を向けた。


 「大阪で確認された神父と同一人物と見ていいのですね」


 「はい。既に裏付けは取れています」


 瀬尾が答えた。


 「真壁さんの鑑定、八咫烏側の交戦記録、支援チームの映像保全を突き合わせています。現時点では、同一個体と判断して問題ありません」


 外務省外事課の部長が、こめかみへ指を当てる。


 「各国への説明…即ちナラティブを慎重に作る必要があります。世界的な祝福反応が出た以上、国内案件として閉じることはできません。それどころか既にアメリカなど主要な国は、何かあったと気付き始めています」


 「そりゃあれだけ派手にやれば何かしら気付きますよね」


 「気付かない方がおかしいすらある」


 会議の場にいた全員は、俺を除いて顔を見合った。

 

 「ただし、現段階で真相を出せば、WEG全体の開催について問題が生じます」


 内閣府特命チームの一人が、手を挙げて発言の許可を求める。

 それに対して周囲が、どうぞ、と促した。


 「その件についてですが、案があります。きっかけは真壁さんのお話からですが…」


 その場にいる全員が俺を一斉に見た。


 「あ、いや案という程でないんですけど……」


 ダンジョン庁副長官の瀬尾が、内閣府特命チームと俺に対して交互に視線を動かした。


 「真壁さんの案は良くも悪くも劇薬となりうることは皆さんも承知でしょう。ですが、こういう時の対応は外したことがないと私は思います」


 周囲は苦い顔を見せる。

 そう言われれば、確かにそうだな、と。

 ただし、扱いを間違えればとんでもない効果を発揮するということもこの場にいる全員は身に染みていた。


 「と、とりあえず伺いましょうか?」


 嫌なことを聞く準備をそれぞれが行っていく様を見て、俺はなんだか悲しくなる。


 「そ、そこまで皆さん覚悟しなくても…たいした話じゃないですよ?? こういうことです。シ……」





 俺が話し終わると、会議室は一斉に音を失った。

 どうすんだよ、この空気…と言わんばかりに周囲は視線だけを交換し合う。


 その空気を破らんばかりに瀬尾が言葉を発した。


 「いや、皆さん。これはむしろ有りなのでは? 考えても見てください。既に世界に相当知られている事実です。むしろここは下手な嘘をつくよりも、正直に話した方がむしろよいかと」


 「………たしかに。最初聞いたときは、何言ってんだ? と思いましたが、むしろ有りかもしれません」


 「むしろ事実があまりにかけ離れてますからね。勝手に欺瞞情報だと思う可能性の方が高いのかもしれません」

 

 なんだかいい感じに話が進みそうだぞ、と俺は内心ほっとした。


 『しお すごい』


 「そうだな。シオはすごいぞ」


 シオは殻を弱々しく振った。

 いつもより光の反応が微弱でまだ本調子には程遠いようだ。


 「では一度その線で話をうまく組み替えてみましょう」

 

 そう言って次の話に進む。

 色々と今後の課題など話し合いが進み、最後の俺のスケジュールについて話が出る。


 「既に大会初日は始まっておりますが、特に問題は見られません。そして真壁さんはこの後ですが、午後から踏破部門の公式配信に出演してもらう予定です」


 「たしか迷宮踏破の予選でしたっけ?」


 「はい、真壁さん。迷宮踏破・階層降下タイムアタックの初日枠です。真壁さんには、予定通り公式鑑定解説員として入っていただきます」


 「わかりました。あいつらとりあえず日本から手を引くとはいってましたけど、本当かどうかはわかりません。予定通り進めて、あいつらの企みは全て暴いてみせます」


 このタイミングで瀬尾は椅子から立ち上がった。


 「一歩間違えれば、昨日の開会式は大惨事になっていました。観客、選手、関係者、そして世界中の視聴者にまで影響が出た可能性があります」


 瀬尾は、真壁へまっすぐ体を向けた。


 「真壁さん。日本国を代表し、改めて御礼申し上げます」


 瀬尾が頭を下げた。


 それに続いて、組織委員会の事務総長が立った。

 内閣府特命チームも立つ。

 支援チームも、警察庁長官も、警視庁長官も、外務省外事課の部長も、同じように頭を下げた。


 その行動に対して俺は完全に固まった。


 「あ、いや、その、俺だけじゃなくて、シオとか、八咫烏の皆さんとか、運営の方も、えっと……」


 肩の上で、シオが触手を一本持ち上げた。


 『うむ くるしゅうない』


 「お前が受ける側じゃないだろ」


 シオに突っ込むと、会議室の張り詰めた空気が少しだけ緩んだ。

 瀬尾も、わずかに表情を和らげる。


 「もちろん、八咫烏にも正式に謝意を伝えます。服部さんたちには、別途、政府側からも対応します」


 「なら、よかったです」


 俺は胸をなで下ろした。

 シオが、なぜか得意げに触手を揺らす。


 「わかってるって。研究所の人たちが、シオ専用の濃い味を今日持ってきてくれるって言ってたからな。届いたら濃い味パーティーだな」


 『こいあじ ぱーてぃー!!』


 「夜楽しみにしてろよ?」


 シオは興奮したのか俺の肩の上で上下に殻を動かし、光を大量にまき散らした。

 周囲はそれを穏やかな視線で見守っていた。

読んでいただきありがとうございます。

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