閑話 危険な3人! 鬼円桃佑は眠れない!
授業とはとてもつまらないものである。
私は、あくびをなんとか抑えながら、ぼーっと黒板を見ては、そこに書かれるものをノートに移す作業をする。
ふと、後ろからツンツンと叩かれる。
振り返ると、蟹菜ちゃんが何かを持っている。
「……?」
紙のようなものを開くと、そこにはイラストのようなものが。
人の顔……? どっかで見たことあるんだよなと思って、前を見る。
先生の顔を見て、イラストの同じ位置に、ほくろがあることに気づき……。
「ブッ!?」
危うく吹き出すところだった。
私は肩を震わせて、後ろを振り返る。蟹菜ちゃんは、私にも書いてみろと言わんばかりの顔をしている。
私は、その顔のイラストの下に小さい胴体を書いて、隣に台詞を書く。
『え〜〜、急遽、皮膚科の産休、拒否不可能!』
私はそれを蟹菜ちゃんに手渡して、前を見る。
後ろで、ガン! と何かをぶつける音がする。おそらく、頭を打ち付けたのだろう。
私は肩を震わせながら、とんとんと叩かれる。
イラストの横に大きな文字が描かれる。
『中学生はチューがくせぇ』
私は吹き出しそうになり、くくく、と喉を鳴らす。
蟹菜ちゃんは新しい紙を取り出し、そこになにか書き始めて、冷世ちゃんに渡す。
冷世ちゃんはそれを見てから書き始めて……私に渡してきた。
読めば、ははーん、冷世ちゃんの書いたものを当てろってことね。
「……?」
「……?」
私と蟹菜ちゃんは二人で首を傾げる。
なんだこの、なんだ。よくわからない、首の長い三足歩行の化物のようなものが出来ていた。
き、キリン? と書いて、私は冷世ちゃんに渡す。
返ってきたのは。
(馬!!!???)
キリンじゃないの!? 馬なのこれ!!?
と、明らかに首が長い三足歩行の化物は馬であった。
その後も酷かった。完全な球体の動物はパンダ。よくわからない突起のついた鳥のような生物はカラス。挙句の果てに、形容しがたい何かわからないものはゾウと来た。
私達は笑いを堪えるのを堪えきれず、くくくと笑ってしまう。
「……くっ…………っ……!」
「ん……っくふ……」
今度来たものは、タコなのかイカなのかもうわからないのが来た。
蟹菜ちゃんはそれを見て、答えを記した。
クトゥルフ、と。
もう限界だった。ついに、冷世ちゃんは創造主となった。
これはもうクトゥルフというよりも、あらたな生命体ではないだろうか。
冷世ちゃんはほんの少し、不服そうな顔をする。仕方ないじゃん、クトゥルフに見えてきたんだもん。
そして、答えが提示された。
「クラゲ!!?」
「ぷっははは!!?」
ついに声に出てしまった。先生がちらりとこちらを見るが、私達は教科書を持って、耐える。
理科の授業で助かった。と思いつつ、今度は、蟹菜ちゃんがイラストを書く。
こちらは、多少絵心があるのか特徴を掴んでいて、答えがわかる。
さて、こうなるとやはり、冷世ちゃんの絵心の無さがわかるが……どうしたものか。
と、そこで蟹菜ちゃんが鬼円の机の上に、冷世ちゃんの書いた形容しがたい動物の数々を並べた。
なるほど、鬼円に答えさせようという魂胆か。
鬼円は嫌そうな顔をしつつ見る。
返ってきたのは、全問正解の答案だった。
「……!?」
これには蟹菜ちゃんも驚いていた。
さらに、冷世ちゃんの書く動物たちを次々と当てていく。
すごい、とこの時の私達は思った。おそらく、私と蟹菜ちゃんも冷世ちゃんも同じだったはずだ。
以下、冷世ちゃんの形容しがたい動物達である。
首が途中で折れているような、背中に謎の膨らみがある化物、ラクダ。
体が細長いのに、足がやたら多い、眼が3つある化物、ムカデ。
羽の形が左右で違い、くちばしのようなものが大きく曲がっている足一本の化物、フラミンゴ。
丸い体に数本の棒が刺さっており、剥げている化物、ハリネズミ。
鬼円は、それらすべてを一発で当てた。なぜわかるのかと問いたくなるようなものまで、当てた。
どういうことなのと思いつつ、私達は笑いをこらえる。
後ろを叩かれたので振り返る。
「何、蟹菜ちゃん?」
「え、私じゃな……」
私達は、見上げる。
そこには、先生が立っており、ぷるぷると震えていた。
「四人とも、後で来なさい」
私達は、呼び出されるのだった。
なお、鬼円だけは、「巻き込まれた!!」と主張していたが、それすら通らず、四人で怒られるのだった。
※作者の実話




