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名前をつけない私の想い



恋愛要素が……

今までほとんど無かった事に気付きました。


申し訳ありません!



「落ち着きましたか?」


いえ、全く。


先程取り乱して泣いた件については、涙も止まり顔が大変なことになっている以外は落ち着きました。


ですが別件で、私の胸はばくばくと常ならぬ速さで動いていて、落ち着くとは程遠い状態なのです。


「……ポアロ先生、あの、その……いい加減下ろしてもらえませんか?」


ポアロ先生は抱き着いたまま泣き出した私を抱き上げベッドへと移動し、こともあろうか自分の膝の上で横抱きにしたのです!


混乱していた時はそれに気付かず、ぐずぐずとポアロ先生に抱き着いていました。

ですが涙が止まり、停止していた頭が動きだして気付いたこの状況。

小さな幼子ならともかく、私はもう周りから女性扱いされる年齢です。

家族でない異性、しかも超絶美形の膝の上で抱き締められて、冷静になれる女子がいるのなら教えて欲しい。

勿論ポアロ先生に他意はなく、ただ私を慰めてくれたのだとわかっています。

それでも私はこの状況に平静ではいられません。


「何故です?いつになくリフレシアが甘えてくれたのに。嫌です、もう少しこのままで」

とろりと蜂蜜のように甘く蕩けた笑顔で拒否するポアロ先生。

私の顎に指を添え、至近距離で瞳を合わせられてその笑顔を見た私は一瞬で頭が沸騰します。


「ふっ、真っ赤だよ、リフレシア。何て可愛いんだろう。だけどそんな顔を無防備に異性に向けてはいけないよ。私でなければすぐに食べられてしまうからね」

満足そうに微笑み、再び腕の中に抱え込みます。


いえ、真っ赤にさせているのは貴方です。

離してくれたら治まりますから。


「そうだ、リフレシア。封印の珠ですが、君が持つのなら注意しなければいけない事が何点かあります」


……このままで話を続けるのですね。


「クロード殿下がしていたように、常に浄化をかけること。これは微弱なもので大丈夫です。でももしかしたら、リフレシアが意識してしなくても、ルチアがしてくれるかもしれない」


(ルチア、きれいにできる、まかせて)


ポアロ先生の近くをご機嫌で飛んでいるルチア。


「今までは闇からの声は遮断していましたが、リフレシアに渡すにあたってそれをやめます。……聞くに耐えない言葉を紡ぎますが、大丈夫ですか?」


私に対する執着を見る限り、かなりの恨みつらみがある事は明白です。

正直言って、どんな罵詈雑言を言われるのかと戦々恐々ですが、聞かなければ『闇』を知ることは出来ません。


「はい。でも堪えられない時は話を聞いて下さいね。……愚痴とか弱音とか、言っても良いのですよね?」

「っっ、勿論です。……リフレシア、頼りにしてもらえるのは物凄く嬉しいのですが、振り幅が大き過ぎて。私を殺したいのですか?」


へっ?

どうしてそんな物騒な結論になったのですか?


きゅうと抱き締められたので、よくわからないまますり寄ります。

恥ずかしくて胸がどきどきするけれど、あの好みのど真ん中のお顔さえ見えなければ、ポアロ先生の腕の中は何処よりも安心出来て大好きなのです。


「……無自覚とは、何て恐ろしいんでしょう」

「?」

すり寄った私の頭を撫でながら、ぶつぶつと小声で何か言っていますが聞こえません。


「ああ、後一つ。持ちやすいものに加工しようと思うのですが、どんなものが良いですか?」


常に浄化が必要ならば、肌身離さず持てるものが良いですね。


「ペンダントにすれば、学園でも問題ないと思うのですが、どうでしょうか?」

「ええ、そうしましょう。明日中にペンダントにして渡します。ですが決して肌に直接あたらないようにして下さいね」

「肌にあたると何か起こるのですか?」

「いえ。ただ私が嫌なだけです」

「………………」

「リフレシア?」

「……はい」


おかしかったのは私で間違いないですが、やっぱりポアロ先生もおかしいと思うのですが……


羞恥度が限界なこの態勢ですが、顔を上げなければとても幸せです。


私の中で少しずつ育ったこの想いは、まだはっきりと名前をつけられる程ではない淡いものです。

ふとしたことで胸がぽかぽかして、くすぐったくなる想い。

本当は大事に温めて育てたい。

そしてちゃんと名前をつけて大切にしたい。


でもこの想いはきっと報われることはありません。

年齢や種族その他色々、悲しいですが全てにおいて可能性を見つけることが出来ません。

それにこの想いにポアロ先生が気付けば、その気がなくても無理にでも受け入れようとするはずです。

ただ私の想いとは違うだけで、それ位愛されているのはわかっています。

ですがそんな事はして欲しくありません。


だから私は敢えて自分の想いに蓋をしました。

これ以上育たないように。

間違っても言葉にしないように。



……だけど、少しだけこうしている位は良いですよね?



そんな言い訳を自分にした私は、優しい人の胸にすり寄りました。






次回はポアロ先生視点になります。

投稿日は9/13(日)です。

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