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封印の珠



100話で終わらなさそうです。


終わる終わる詐欺……。

本当にごめんなさい。



「よく来たな、リフレシア」

「ご機嫌うるわしゅう、おじさま。突然の訪問を許可して下さり、ありがとうございます」


訪問の許可を得るための手紙を出したら、その日のうちに『いつでも』と返事を下さったのです。


「リフレシア、別に訪問の許可などなくとも来れば良い。此処はそなたを拒みはしない。そして儂も拒ばぬ。気が向いた時に来て、そなたの好きな菓子でも食べれば良い」

「ふふっ、素敵なお誘いありがとうございます」

「儂は本気で言っておるから、心の隅にでも留めておくが良い。さて。今日の来訪はそのちびっこと闇についてかな?」


流石、創造神様です。

説明しなくても、ルチアのこともわかっているみたいです。


手の平にのせたルチアを、おじさまの前出します。

「はい。この子は私の魔力で、ルチアと名付けました」

「ルチア、光を意味する名だな。名はそのものに少なからず影響する。良い名を与えたな」


ルチアは物怖じせず、興味津々におじさまを見ます。

「ふっ、そなたの魔力だけあって、肝が据わっておる。儂の事もそなたの記憶からわかっているだろう。その上でこの様子であれば、頼もしいではないか」


いくら気さくな方とは言え、おじさまは創造神様です。おじさまをガン見するルチアに、私の方がはらはらします。


(ルチア、おじさましってる)


えっ?


(ルチア、おじさまから、うまれた)


はい?


「こら、ばらすのが早すぎる。もう少しリフレシアの反応を見たかったのに」


おじさま、ルチアの言葉が聞こえてる?

えええー!

何、ルチアは創造神様の子供なの?


(うん、でも、リィもこども、みんなもこども)


え、私も?

いえ、大きな意味で言えば、生きとし生けるものは全て創造神様の子供と言えますが。


「ルチアはまだ会話が覚束ないな。仕方ない、今回は儂が説明しよう 」


おじさま曰く。


前世も、この世界でも魂は赤ちゃんとして産まれる前に、神様のいる天界で順番を待っています。

新しく出来る魂とは違い、転生する魂には少なからず傷を負ったものや、穢れが残っている魂もあります。そういった魂は天界で癒してから生まれ変わります。

その癒しを沢山受けた魂に、稀に創造神様の神気が残ることがあります。残ると言っても極僅かなもので、生まれ変わり成長していくうちに無くなってしまうのがほとんどなのです。

ですが時折その神気が消えない人もいます。そういった人はその時代において大きな何かを成し遂げ『偉人』と呼ばれる事となります。


ルチアはその神気が育ったものなのです。


ただ神気が残る人は一定数いますが、育ったのは世界を創ってから私で二例目なんだとか。



う〜ん、二例目(・・・)ですか。

だとしたら初めて育ったのは『闇』ですよね?


参りました。


詰まるところ『闇』の核になっているのは、創造神様の神気と言う事になります。

となると、浄化など出来ません。


おじさまは『闇』をどうしたいのでしょう?

来る前より問題が難しくなりました。


「ポアロの封印は、中から外部の様子を知ることができ、声も聞こえておる。今は中から話せないが、そうすることも可能だ」


唐突に切り出された核心をついた内容に、私の心臓はどくりと脈打ちます。


……やっぱり、そこを通らなければならないのですね。


「おじさま、封印は今暫くもつと仰っていましたが、クロード様の手元でなくともですか?……例えば私が持っていても、周りに影響はありませんか?」

私の問に深く微笑んだおじさま。

「そなたが持っても、何の問題もない。以前、約束しただろう?そなたが案じる事態は起こらぬ、万が一があっても儂が対処するとな」


そうでした。

でしたら、私がする事は一つだけです。


「おじさま。私に封印の珠を持たせて下さい」


私は『闇』のことを知りたい、知らなくてはいけないと思った時に、この結果になるだろうとは薄々気付いていました。


だけど……


私にとって『闇』は大切な人達を傷付ける存在で、そして大切な人達との別れの原因です。

今までの記憶があるから、過去のものでもその痛みは鮮明なのです。

その痛みが『闇』とかかわる度に心を切りつけ、私を弱くしてしまう。


怖い。

この世界でもまた『家族』と『自分』を失うかもしれない。


その恐怖は、何も知らなかった前世にはなかったものです。

リフレシアとして生きた時間は、前世のどの生より長く、そして深い愛情に満たされてきました。

それは幼くして消えてしまった私が持つ事が無かった、『リフレシア』という自我を与えてくれました。


出来る事なら、全て投げ出して逃げてしまいたい。


でもそれは、リフレシアの矜持が許しません。

サマーセット家の娘が、敵前逃亡など有り得ないのです。


やれる全ての事をし尽くしてなお、毅然と顔を上げていられる自分でいたい。

父様、母様、お兄様、シリス。

皆に胸をはれる私でありたいなら、逃げるという選択肢はありません。


「……そう悲観せずとも良い。儂はそなたで良かったと思う。そなたは、人間はこうも儂の予想を超えてゆくものか。儂は嬉しい。そなたがこれ程愛しい存在であることがとても嬉しい 。リフレシアよ、愛し子よ。儂はいつもそなたと共にある、覚えておきなさい」


神気を纏うおじさまの微笑みは、全てを愛し慈しむ優しさに溢れていました。












次回投稿は9/9(水)の予定です。

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