うちの子、世界で一番可愛い!
ルチアは現在、サマーセット家のアイドルです。
私の魔力、ルチアは……もうなんていうのか。
めちゃくちゃ可愛いのです。
父様や母様の気持ちがわかったかもしれません。
うちの子、世界で一番可愛い!
ルチアを会話するのは、神様とした念話と似ています。ですが神様との念話と違い、私の思ったことは全て筒抜けです。なので基本ルチアは、私の意に染まない事はしません。
したいけれど、状況で出来ない、してはいけないといった微妙な事も、しっかりと理解してくれています。
それはルチアの存在を知って、一番に心配した事でした。
ルチアの能力はまだ把握しきれていませんが、非常に高度な事も簡単にしてしまいます。となると私の願望を、そのまま叶えてしまいかねません。
人の世界は複雑で、望みのままに行動する事は難しいです。願望を叶えて良い時と悪い時があるのだと、どう伝えれば良いのかわかりませんでした。
家族と神様家族にはルチアの存在を明かしたので、お兄様に相談する事にしました。
「心配いらないと思うよ?だって今まで知らなかったとはいえ、ルチアのした事で困った事無いでしょう?」
「!」
「きっとルチアは、リフレシアの心の奥まで知っているんじゃないかな?もしかしたら、リフレシア自身でさえ、わかっていない部分まで」
ルチアとの会話はまだ拙い為、込み入った事までは話していません。ですが今まで困った状況になったりはしていません。だからお兄様の言葉は、とても納得出来るものでした。
「それにしても、ルチアはリフレシアによく似ているね」
「本当に。ルチア、此方にいらっしゃい。ルチアは何が好きなのか、教えて頂戴?」
「あっ、レティシア抜け駆けは駄目だよ。ルチア、私にも教えておくれ」
「父上も母上もルチアに、めろめろですね」
最近は家族が居間で寛いでいると、ルチアの争奪戦が始まります。皆、ルチアが可愛くて仕方ないのです。
ルチアは私としか会話出来ませんが、皆の言っている事は理解しているので、言葉に応えてはくるくると飛び回ります。
小さかった光も少しずつ成長し、今では鳥の卵位になりました。
人の言葉を理解し、くるくる飛びながら輝く様子は、まるでお伽噺の妖精みたいです。
「そうなの。ルチアはお菓子が好きなのね。でも貴女は食べられないでしょう。匂い?違うのね。見た目かしら?それも違うの。じゃあ、どうして好きなの?」
ルチアは私へと飛んで来ました。そして、テーブルのお菓子へと飛んで行きます。
それを二往復した時、母様が嬉しそうな声を出しました。
「まあ、ルチアったら。リフレシアがお菓子が好きだからなのね?もうっ、抱き締められないのが残念だわ」
えっ?そうなの、ルチア?
(うん、リィがすき、たべるとわらう、だから、ルチアもすき)
言葉も少し繋げて話せるようになったルチア。
ああ、何て可愛いんでしょう!
カテリナ様達とは、違う可愛さです。
ルチアはきっと『可愛い』で出来ているのです。
母様の言う通り、抱き締められないなんてあんまりです。
ぎゅうぎゅう抱き締めて、いっぱい撫でてあげたいです。
「リ、リフレシア!ルチアがっ」
珍しいお兄様の焦った声で、ルチアを見ます。
えっ!
えええー!!
……ルチアが手の平サイズの女の子になっていました。
しかも背中には透明な羽が付いていて、まさに先程頭に浮かんだ妖精のようです。
ルチアは私の所に、飛んできて言います。
(リィ、ルチアをなでて、ほしい、できるかたちに、なれた!)
私の目の前で、宙に浮くルチア。
金色のさらさらした真っ直ぐな髪に、金色の瞳。
小さいですが、とても可愛いらしい顔は期待に満ちています。
可愛い、可愛いです!
手の平にルチアをのせ、小さな頭を指先で撫でてあげます。
私の指にすり寄り、にこにこするルチア。
ああ、可愛いの塊が私の手の中に!
いつの間にか皆も私の周りに居て微笑んでいます。
私の隣に座った母様が、ルチアを見ながら呟きました。
「リフレシアの妹?いえ、娘かしら?」
「妹です。娘は駄目です。まだリフレシアには早すぎます」
「そうだね。妹が妥当だろう」
「ルチアは僕の姉上になるのか、妹になるのかどちらが良い?」
そんな他愛のないやり取り。
それがこんなにも愛しい。
私やルチアの周りには優しさが溢れています。
こんな愛しさを、『闇』は知っているのでしょうか。
『闇』が前世やこの世界で人の心の弱さに入り込み、負の感情を増大させて起こった事は決して許して良いものではありません。
だけど『闇』のせいだけでもないはずです。
『闇』の存在は人間が生み出す負の感情が元になっています。
そこまでの負の感情を生み出した人間に責任があるからこそ、おじさまは『闇』を人間に委ねたのだと思うのです。
私は『闇』をどうしたら良いのか、今までずっと考えてきました。
前世ではお互いに存在出来なくなってしまうという結末でした。
でも私達は何度も転生し、出会います。
それはおじさまが意図的にしたのだと、必然だったのだと今は思います。
では何故、転生し出会う事が必然なのでしょう?
私達が迎えた結末が、間違っているからなのではないでしょうか?
……私は考え違いをしているのではないでしょうか。
『闇』を浄化するのも滅してしまうのも違うのでは。
私は『闇』を知りたい。
知らなければいけない。
ルチアを理解するように、『闇』も理解できる方法があれば……
大好きな家族とルチアが仲良くしているのを眺めながら、おじさまに会いに行こうと決めたのでした。
次回投稿は9/7(月)です。
完結まで、基本隔日投稿になります。




