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ルチア



やっと、ルチアに辿り着きました。


書き始めた時は、2、30話で終わるだろうと思っていたのですが、気が付けば長編になっていました。


最後までリフレシアの物語に、お付き合い頂ければ嬉しいです。



謎だらけの、私の魔力。


お兄様から聞いた話から考えると、一番わかりやすい現象は暑さ、寒さの緩和です。

都合の良い事に、今は夏間近。

暑そうな日に外に出て、魔力を感知することにしました。


■■■■■■


雲一つない空と、じりじりと肌をさすような日射し。

うん、待っていました。


外に出る時に必ず使うパラソルは、より暑さを感じる為に止めておきます。

前世の黄色がかった肌とは違い、今の私は真っ白な肌なので、強い日射しを浴びると真っ赤になってしまいます。

初夏とはいえ、遮るもののない日射しは暑く、じわりと汗ばんできました。

気のせいか頭もぼんやりしてきたような……

お兄様やルーカス達が言う通り、私の周囲は魔力によって、適温に保たれていたのでしょう。

こんなに暑いと思ったのは、転生してから初めてかもしれません。


とにかく、暑い。暑いです!


あっ!


急に温度の下がった私の周りは、よく見ると青みがかった光で覆われています。


これが、私の魔力……。


外に出てから、意識して魔力を放出しないようにしていたのに。

魔力が自ら判断して、私の望みを叶えてくれたのに違いありません。

先程の暑さが嘘のような、非常に快適な温度にしてくれた魔力に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

魔力に自我があるのなら、意志の疎通が出来ると良いのですが。

流石にそこまでは難しいでしょうか。


(……はなす、できる)



(リィ、はなす、したい?)


え、えええー!

待って。

今、誰が、私に話し掛けたの?


(リィの、ちから、なまえ、ない)


えーと。

整理しましょう。


今、私に話し掛けているのは、私の魔力で間違いないですか?


(うん、リィの、ちから)


『リィ』とは私のことですか?


(うん、ながい、いえない)


そうですね、リフレシアは長いかもしれません。

あなたのお名前は何ですか?


(なまえ、ない)


うーん、お名前がないのは不便ですね。


(なまえ、ほしい、リィ、つける)


えっ?私がお名前をつけて、良いのですか?


(うん、リィ、くれる、なまえ?)


『ルチア』はどうでしょう?

光を意味するお名前です。

貴方はきらきら光っていますから。


(ルチア、ルチア、わたし、なまえ、ルチア)


気に入ってもらえましたか?

違うお名前が良ければ、考えますから言って下さいね。


(ルチア、すき、リィ、ありがと、うれし)


私を覆う光とは別の小さな光の玉が、私の周りをくるくると飛びます。


この小さな光も、ルチアなのですか?


(リィ、ちから、たくさん、ルチア、いろいろ)


なるほど。魔力量が多いほど、一度に何種類かの事が出来るのですね。

ルチアは優秀ですね。


小さな光の輝きが増して、高速で飛び回ります。どうやら褒められて、嬉しいようです。

意志の疎通だけでなく会話まで出来るとは、想定外でした。

それに、ルチアは小さな女の子みたいで、とても可愛いです。


おじさまは、魔力を育てろと言いました。

ということは、ルチアを育てるという事ですよね。

ルチアはまだ成長するという事です。


ねえ、ルチア。

これから、いっぱいお話しましょうね。

私と仲良くしてくれますか?


(ルチア、リィ、たくさん、すき、はなす、したい、うれし)

小さな光は私の周りをくるりと、一回りして目の前で止まりました。

人差し指を出すと、そこに止まった小さな光。

胸の奥がくすぐったくなるような可愛さです。


ですが普段は具現化していると、大変な事になりそうですね。


(ルチア、おそと、リィ、なか、いる)


賢い子です。

私の中にいてくれるのなら、いつでも一緒ですね。

でも時々は、こうして具現化してくれると嬉しいです。

ルチアはとても可愛いですから、会いたいので。


(ルチア、リィ、あう、ひと、いない、とき)


そうですね。

暫くの間は、私が良いと言う人の前だけにしてもらえると、助かります。


(ルチア、わかる、リィ、ゆるす、ひと)


ふふっ、ルチアにはお見通しですね。

本当に賢くて、可愛いです。


………………。

光が大きくなっていませんか?


(ルチア、しる、ひと、こころ、そだつ)


えっ、今の会話で成長したのですか?


(リィ、すき、かわい、くれた、そだつ、した)


『感情を与える』とは、ルチアに感じる私の想いでした。



『闇』もルチアと同じで、感情を糧にして育ったのだとしたら。

負の感情しか、与えてもらえなかったのでしょうか。

人間の嫌な部分しか、知らないのでしょうか。

もし、そうだとしたら。


……可哀想過ぎます。


優しく温かい感情を与えられていたら、あんなに人間を憎まなかったかもしれません。


『闇』は負の感情から生まれました。

だけど『闇』が自我を持った後に、負の感情以外のものを与えられていたら、違っていたのではないでしょうか。



ルチアはその輝きが示す通り、『光』なのでしょう。


闇と光。

相反するもの。


だけど見方を変えれば。


闇が無ければ光は、光が無ければ闇も存在するのは難しい。

お互いになくてはならない、対となるものでもあるのです。


私に『必然的』に宿ったルチア。

その事に、おじさまの意図があるならば。



ルチアを、『光』を育てる事は、『闇』を知る事でもあるのではないでしょうか。





次回投稿は9/5(土)です。

暫くの間、隔日投稿になります。

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