ルチア
やっと、ルチアに辿り着きました。
書き始めた時は、2、30話で終わるだろうと思っていたのですが、気が付けば長編になっていました。
最後までリフレシアの物語に、お付き合い頂ければ嬉しいです。
謎だらけの、私の魔力。
お兄様から聞いた話から考えると、一番わかりやすい現象は暑さ、寒さの緩和です。
都合の良い事に、今は夏間近。
暑そうな日に外に出て、魔力を感知することにしました。
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雲一つない空と、じりじりと肌をさすような日射し。
うん、待っていました。
外に出る時に必ず使うパラソルは、より暑さを感じる為に止めておきます。
前世の黄色がかった肌とは違い、今の私は真っ白な肌なので、強い日射しを浴びると真っ赤になってしまいます。
初夏とはいえ、遮るもののない日射しは暑く、じわりと汗ばんできました。
気のせいか頭もぼんやりしてきたような……
お兄様やルーカス達が言う通り、私の周囲は魔力によって、適温に保たれていたのでしょう。
こんなに暑いと思ったのは、転生してから初めてかもしれません。
とにかく、暑い。暑いです!
あっ!
急に温度の下がった私の周りは、よく見ると青みがかった光で覆われています。
これが、私の魔力……。
外に出てから、意識して魔力を放出しないようにしていたのに。
魔力が自ら判断して、私の望みを叶えてくれたのに違いありません。
先程の暑さが嘘のような、非常に快適な温度にしてくれた魔力に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
魔力に自我があるのなら、意志の疎通が出来ると良いのですが。
流石にそこまでは難しいでしょうか。
(……はなす、できる)
?
(リィ、はなす、したい?)
え、えええー!
待って。
今、誰が、私に話し掛けたの?
(リィの、ちから、なまえ、ない)
えーと。
整理しましょう。
今、私に話し掛けているのは、私の魔力で間違いないですか?
(うん、リィの、ちから)
『リィ』とは私のことですか?
(うん、ながい、いえない)
そうですね、リフレシアは長いかもしれません。
あなたのお名前は何ですか?
(なまえ、ない)
うーん、お名前がないのは不便ですね。
(なまえ、ほしい、リィ、つける)
えっ?私がお名前をつけて、良いのですか?
(うん、リィ、くれる、なまえ?)
『ルチア』はどうでしょう?
光を意味するお名前です。
貴方はきらきら光っていますから。
(ルチア、ルチア、わたし、なまえ、ルチア)
気に入ってもらえましたか?
違うお名前が良ければ、考えますから言って下さいね。
(ルチア、すき、リィ、ありがと、うれし)
私を覆う光とは別の小さな光の玉が、私の周りをくるくると飛びます。
この小さな光も、ルチアなのですか?
(リィ、ちから、たくさん、ルチア、いろいろ)
なるほど。魔力量が多いほど、一度に何種類かの事が出来るのですね。
ルチアは優秀ですね。
小さな光の輝きが増して、高速で飛び回ります。どうやら褒められて、嬉しいようです。
意志の疎通だけでなく会話まで出来るとは、想定外でした。
それに、ルチアは小さな女の子みたいで、とても可愛いです。
おじさまは、魔力を育てろと言いました。
ということは、ルチアを育てるという事ですよね。
ルチアはまだ成長するという事です。
ねえ、ルチア。
これから、いっぱいお話しましょうね。
私と仲良くしてくれますか?
(ルチア、リィ、たくさん、すき、はなす、したい、うれし)
小さな光は私の周りをくるりと、一回りして目の前で止まりました。
人差し指を出すと、そこに止まった小さな光。
胸の奥がくすぐったくなるような可愛さです。
ですが普段は具現化していると、大変な事になりそうですね。
(ルチア、おそと、リィ、なか、いる)
賢い子です。
私の中にいてくれるのなら、いつでも一緒ですね。
でも時々は、こうして具現化してくれると嬉しいです。
ルチアはとても可愛いですから、会いたいので。
(ルチア、リィ、あう、ひと、いない、とき)
そうですね。
暫くの間は、私が良いと言う人の前だけにしてもらえると、助かります。
(ルチア、わかる、リィ、ゆるす、ひと)
ふふっ、ルチアにはお見通しですね。
本当に賢くて、可愛いです。
………………。
光が大きくなっていませんか?
(ルチア、しる、ひと、こころ、そだつ)
えっ、今の会話で成長したのですか?
(リィ、すき、かわい、くれた、そだつ、した)
『感情を与える』とは、ルチアに感じる私の想いでした。
『闇』もルチアと同じで、感情を糧にして育ったのだとしたら。
負の感情しか、与えてもらえなかったのでしょうか。
人間の嫌な部分しか、知らないのでしょうか。
もし、そうだとしたら。
……可哀想過ぎます。
優しく温かい感情を与えられていたら、あんなに人間を憎まなかったかもしれません。
『闇』は負の感情から生まれました。
だけど『闇』が自我を持った後に、負の感情以外のものを与えられていたら、違っていたのではないでしょうか。
ルチアはその輝きが示す通り、『光』なのでしょう。
闇と光。
相反するもの。
だけど見方を変えれば。
闇が無ければ光は、光が無ければ闇も存在するのは難しい。
お互いになくてはならない、対となるものでもあるのです。
私に『必然的』に宿ったルチア。
その事に、おじさまの意図があるならば。
ルチアを、『光』を育てる事は、『闇』を知る事でもあるのではないでしょうか。
次回投稿は9/5(土)です。
暫くの間、隔日投稿になります。




