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VS 婚約者候補様



おはようございます、こんにちは、こんばんは。


いつも読んで下さりありがとうございます。


暑い日が続いていますが、負けずに頑張りましょう。

そして、沢山頑張ったら自分にご褒美を上げて下さいね。

ちなみに、私のご褒美はコンビニスイーツです。

最近のコンビニスイーツはケーキ屋さんに負けてません。



「か、堪忍袋の緒ですって。何を!わ、わたくしは間違ったこ……」

「黙りなさいっっ」

「ひぃっっ」


私の中で沸々と沸き上がる怒りが魔力となって放たれます。

ピキピキと音を立てて凍っていく廊下。

魔法の行使はしていないけれど、怒りが大き過ぎて魔力が洩れてしまうのを止められません。

これ以上一言でもカテリナ様達への悪口を聞いたら、自分で制御出来るか自信がない位に魔力が膨れ上がっています。


「わたくしに何か言うのは同じ婚約者候補として受け入れましょう。ですが無関係の人達まで何の根拠もなく貶めるのは違うのではなくて?それでもまだ、仰ると言うのでしたら……全力でお相手致しますわ。それこそ、貴女方の言うサマーセット家の権力も、わたくしの魔法も全てを使って……。それをお望みですの?」


既に廊下の床だけでなく、窓や扉、天井も凍りつき、吐く息も白い。

怒りに比例するように、私から溢れる冷気は止まらず今も周囲を凍らし続けています。


「あ、あの子達が何よっ!たかが子爵や伯爵の令嬢じゃない!そ、それに没落して死んだ汚らわしいロザリアの……ひっ」


パキィーン


サブリナは言葉の途中で止まります。

強気に睨んでいた瞳は恐怖で潤み、可憐な顔が歪んでいく。

何故なら彼女の腰から下が凍ったから。

その様子を冷めた気持ちで見ながら言葉を紡ぎます。


「忠告はしました。まだ続けますか?」


彼女の後ろで喚いていた女生徒やそれに加勢し合いの手を入れていた男子生徒は皆一様に言葉を失い、顔を青ざめさせ瞳に涙を浮かべています。

身体を震わせ、恐怖に歪んだ顔に浮かぶのは『化け物(わたし)』に対する嫌悪でしょう。

だけど、そんな事はどうでもいい。


「死者を愚弄するのですか?命が終わった時、神はどんな魂でも受け入れ、贖罪の機会を与えます。貴女に神が赦した者を愚弄する権利があると?」

「ひぃ〜、い、いやっ!来ないでっっ」


増す怒りに身体は熱くなるのとは反対に心は冷えていきます。

更には渦巻く魔力が具現化し光となって私の周りで輝きます。

心のままに少し彼女に近づいた時、パチンと指のなる音で、私ははっと我に帰ります。


一瞬にして元の通りになった廊下。

それと同時に私はふわりと優しい何かに包まれます。

顔を上げた先には慈愛に満ちたアリア。


それと……


「そこまでにしておきましょうか」

厳しさが含まれた声は、耳に馴染んだもので。

「ポアロ先生……」


王弟にして、公爵。魔導師長であり、学園長でもあるポアロ・ベルフォード様がいました。



「が、学園長!リフレシア様がこんな酷い事を……あんまりですわ。わたくし達は何もしておりませんのに。学園内は許可の無い魔法行使は厳重処罰でしたわよね、彼女を退学にして下さいませっっ!」


貼り付けた様な完璧な微笑みでサブリナ様の言葉を聞くポアロ先生。

その微笑みに頬を染め、潤んだ瞳で上目遣いに訴えるサブリナ様。


……サブリナ様は勝ちを確信した顔で私を見ますが、ポアロ先生のその微笑みは……


「成る程。一つ訂正しておきましょう」

「は?て、訂正?」

「ええ。先程の現象は魔法によるものではありません。これは魔導師長として断言します」

「えっ?でも凍ったり、光ったりしたんです。魔法でないなら何なのですかっ」

ふう、と大袈裟に溜息をつき呆れを隠さない視線をサブリナ様に向けるポアロ先生。

直後に口角を上げ浮かべた微笑みは腰が砕けそうな程の凄絶な色気を含み、ですが碧い瞳は剣呑に輝いています。


サブリナ様はポアロ先生の微笑みに頬を染め、うっとりと見つめます。

多分、サブリナ様はポアロ先生が自分に好意的なのだと感じたでしょう。


でもサブリナ様、それは違います。

ポアロ先生のその微笑みは……


「あの現象は純粋に魔力が溢れて起こったものですよ。貴女が知らないのも仕方ないのかもしれませんね。あの現象は膨大な魔力持ちにしか起こらないですから。しかも、リフレシア嬢の先程の魔力は濁りの欠片もない美しいものでした。神官長様でもあそこまで澄んだ魔力はお持ちではありません。魔力はその人柄を表します。魔力を偽る事は出来ないのですよ。……理解出来ましたか?」


や、やっぱりっ!

ポアロ先生の冷気迸る微笑みからのお説教。

クロード様にしているのを何度か見た事があります。

サブリナ様、もう何も言わない方がい……

「理解も納得も出来ませんわっ!『悪役令嬢』と呼ばれるリフレシア様の魔力が澄んでいるなど、あり得ませんっっ!権力に物を言わせ見目麗しく、才能ある男性を何人も侍らせているはしたない悪女ですのにっ」


あっ、詰んだ……


かなり大きな魔力が1つと割りと大きな魔力が複数、此処に凄い勢いで近付いてきます。


それに、アリアとポアロ先生から出る圧が半端ないです。


それに全く気付かないサブリナ様が(ある意味凄いです)更に言い募ろうとした時、淡々とした声が割り込みます。


「全て聞かせて貰いましたよ。魔導具に記録もされています。勿論、王家の護衛の証言もあります。今まで上手く立ち回って下さったので証拠を掴めませんでしたが、学園で味方が増えた事で慢心しましたか?根拠の無い誹謗中傷に……王位継承者への不敬。ああ、学園内では平等というのは王位継承者に対する不敬は含まれませんよ?リフレシア嬢が王位継承権を持っている事ぐらいご存知ですよね?仮にも私の婚約者候補なのですから。まあ、それも今この時をもって終わりですが。それでもまだ何か?」

と、こちらも冷たい怒気を含んだ声で言い放ったのはクロード様でした。

クロード様の後ろにはルーカス、フレデリック、ダリルも居ます。


ちょっと待って下さい。

クロード様達何処で見てたの?

魔導具に記録って何ですか?

しかも、王家直属の護衛って……


わざと?罠?

……私を囮にしましたね?


きっ、とクロード様を睨むと、眉を下げて目を伏せます。


許しません、絶対許しませんっ!

調査の一環であっても許しません、酷いです!


……ロザリア様の名前が貶められてしまいました。

折角少しずつ、薄れてきていたのに。

この騒ぎを見た人達に悪い様に思い出されてしまいます。


カテリナ様にその噂が届いたら、やっとふさがりかけた傷が開いてしまいます。

あんまりです。


「リフレシア様?」

柔らかく私の名を呼ぶ声はカテリナ様のもの。


ダメ、来ないで!


感情的になって制御しきれなくなった魔力が私の意を汲みカテリナ様と私の間に光の壁を作ります。


嫌、見ちゃダメ。

何も彼女に聞かせないで。

お願い、もう傷付けないで。

貴女は小さな頃から今まで十分傷付いた。

傷付いたのは彼女なのに、罪まで償ったの。


時間が経って、やっと幸せへの一歩を踏み出したところなのに。

これ以上、彼女を傷付けるのは止めて!!!







リフレシア、何年かに一度爆発してるような……


気のせいでしょうか?

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