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婚約者候補



リフレシアの好物のベスト3に入るさくらんぼ。


なのでチェリータルトが絡むと、ぼんやりリフレシアがなかなかに激しくなります。


基本リフレシアの周りはリフレシア優先なので問題ないのですが、以前フレデリックが悪戯でリフレシアのチェリータルトを食べてしまった事があります。


逆鱗に触れたフレデリックは何が起こったかを黙秘し、二度とリフレシアのスイーツには手を出さないと自ら誓ったそうです。


リフレシア……何したの?



サブリナ・ロードスタン侯爵令嬢。


金髪碧眼に白い肌、やや小さめの背丈と華奢な体躯。

綺麗な所作の中に少し混じる無邪気な可愛らしさ。

儚げな容姿と愛らしい仕草が相まって庇護欲をそそります。

貴族令嬢がこぞって彼女の真似をし、貴族令息は手の届かぬ憧れに恋い焦がれる。


『令嬢の中の令嬢』と呼ばれる彼女はクロード様の婚約者候補の中で私の次に爵位が高く、私の噂(まだ、かろうじて悪役令嬢です)もあって、彼女の方が婚約者に相応しい、筆頭であるべきだ、と言われています。


ですが残念な事に一つの、でも王家に嫁ぐには大きな問題がありました。


彼女にはほとんど魔力が無かったのです。


グラナード王国は魔法大国、それを象徴し、魔導師達を束ねる為にも王族は魔力を欲します。

グラナード王国の王族は時には戦で前線に立ち、魔法を使い皆を率いねばなりません。

他国の王族とは違い、王宮で護られるだけの存在ではないのです。

だからこそ、王家に嫁ぐには魔力の有る無しが重要になります。


ならば何故、魔力の少ない彼女が候補になったのか?


それはボードフォール家が企てたあの事件が大きく関係しています。


降爵され泳がされ暴かれた企てに、多くの貴族の関与が認められました。

国家転覆すらあり得た深刻さ故に、関与した全ての貴族がお家断絶となったのです。


その貴族の中に、初めに選んだ婚約者候補の家もあり、再び婚約者候補が選定されました。

なので、残った令嬢で家格やバランスを考慮すると、魔力が少なくても候補者に入れざるを得なかったのです。

それにあくまで『候補』。

選ばれる可能性は少なく、むしろ不平不満を抑える為に入れたと考えて間違いないでしょう。


……だけど人の欲は留まる事など無くて。


婚約者候補達は苛烈な蹴落とし合いを始めたのです。



本当なら事件の解決後に正式な婚約者を決定するはずでしたが予想外の結末に、再度婚約者候補を選定する事で、残った貴族の調査をする為の時間稼ぎをしたのです。


私はそれに再び巻き込まれました。


確実に安全な駒、令嬢達の人柄を見る為のダミー、令嬢達の強引な接触への盾等々。

私の婚約者候補筆頭という立場は、何重もの鎖で縛られた国からの密命の上に成り立ったものなのです。

出来る事なら喜んで交代したいのですが、事情が事情なだけに無下に断る事も出来ませんでした。


ですがそんな事情を知るのは極僅かな人達だけで、婚約者候補の皆様は当然知りません。


だから今まで彼女達の蹴落とし合いに巻き込まれても、甘んじて受け入れてきました。


でも……そろそろ良いですよね?

私にもしなくてはいけない事があります。

望んでもいない立ち位置で、嫌な事を言われても黙って微笑み受け流すのも限界です。

彼女達の言う事はひとつとして理解出来ませんし……長いので面倒なのです。

それにカテリナ様達に被害が行かないとも限りませんから。

勿論、ラティスとオルフェスに注意してもらっていますし、守護の魔導具も渡してあります。

ですが万が一という事もあります。


……カテリナ様達に何かしたら、絶対許しませんけれど。


「「「っっ、ひぃっ」」」


あら、ごめんあそばせ?

想像したら魔力が冷気になってもれてしまったみたいです。


同じ様な事、誰かがしていた様な……


まあ、兎に角今はこの団体様を出来る限りの短い時間で、お帰り願いましょう。


……カテリナ様達とお喋りする貴重な癒し時間を削られるのは嫌です。


後…………今日のランチのデザート、チェリータルトが食べられないのも困ります。


この2つは譲れませんからねっっ!


「……手短かに済まして頂けるのでしたら、お付き合い致しますわ」

「まあ、酷く傲慢な物言いですこと。学園内では爵位の序列は関係無いはずですわよね、皆様?」

「ええ、ええ、そうですわ、サブリナ様」

「本当に何様なのでしょう。ああ、悪役令嬢でしたわ!」

「ご自分の我が儘は全て通るとお思いなんでしょう。……クラス分けもねぇ」

「そうです!!!女の身でありながら剣術など出来る訳ないのに、どうせお父上の権力で無理を通したに違いありませんわっ」

「第一王子様の婚約者候補筆頭と同じ様に!」

「他に適した令嬢が居るのなら、自ら身を引くのが当たり前ですのに、こうして学園でまで第一王子様に纏わり付くなど、何と品のない!」

「………………」


いや、もうね、何を何処から突っ込めば良いのかすらわかりません。

そして、やっぱり長いです。


どうしましょう、もうまるっと無視して行って良いかな?

と、逃げる算段を思案していた私にサブリナ様が放った言葉は、


「そうね、品の無い方は周りにも品の無い者を侍らしておられるみたいですわ」


プツンッッッ


「えっ?」

「何ですの、今の音?」

「ひっっ、あ、足元が」

「いやああ〜、う、動けないっ」

「さ、寒いっっ」


「ふふっ、音が聞こえまして?それはわたくしの堪忍袋の緒が切れた音ですわ」


私の地雷を踏み抜いた。







明日と明後日はお休みします。


次回投稿は8/15(土)です。

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