SSS(トリプルエス)クラス
学園生活スタートです。
そして新しい問題勃発です。
この学園のクラスは入学してすぐは、持っている才能で分けられます。
剣技や体術に特化した騎士科。
専門的な知識を扱う学術科。
魔法技術を磨く魔術科。
一般教養を身に付ける普通科。
……それと騎士、学術、魔術全てを学ぶエリートが集うSSSクラス、通称トリプルエス。
入学試験の結果により、この5クラスに割り振られます。
本人の希望は2年目以降しか受け付けられず、その希望クラスにも成績が足りなければ変わる事が出来ません。
ですが年2回ある試験で合格ラインに達しなければ専門科から普通科へと問答無用で落とされます。
普通科に自ら変更するのは自由ですが、かなり細かい審査が必要となります。
自分より身分の高い者から脅迫を受け、泣く泣く普通科に変更した事例が少なくない為の措置だそうです。
学園内は基本、身分の上下を廃し、平等とされています。
勿論、先生方や、先輩への敬意は必要ですし、最低限のマナーは当たり前の事ですが、貴族の序列での強要や、平民への苛めなどは厳重な処罰の対象となります。
それでも、隠れて行われる横暴や苛めは後を絶たず、才能ある人達が毎年何人も犠牲になるそうです。
自分より身分の低い者が優秀なのが気に入らないという下らない理由で、です。
それを少しでも防ぐ為、普通科に移る理由を詳細に報告し、学園側がその理由の真偽を調査するシステムを作ったのだとか。
話が逸れましたが騎士科、学術科、魔術科は普通科より優秀とされます。
それより更に抜きん出て優秀なトリプルエス。
トリプルエスは数える程しかおらず、学年に1人も居なかった事も少なくないそうです。
けれど今年は5人。
クロード様、ルーカス、フレデリック、ダリル……そして私。
女生徒のトリプルエスは20年位前に1人居た時以来だそうです。
今後の事を考えれば、このクラスで学ぶのが一番なのですが、私以外の顔触れを見て大きな溜息が出ます。
クロード様やルーカス達と接触しない訳にはいかなくなりました。
間違いなく、女生徒の恨みを買いました……
ちなみに、カテリナ様とマリネラ様とオルフェスは魔術科、カノン様とラティスは学術科でした。
「リフレシア、お前次の剣技の授業出るのか?」
「流石に男子生徒しか居ない体術は取れないから、剣技は全部出ます。剣技で高得点を取っておかないと、騎士科の単位が満たせません」
「リフレシア、体術の事だけど女子生徒の護身術として取り入れる話があるみたいだよ?講師に現職の女性騎士を呼ぶんだって。陛下も面白い取り組みだって興味を示してたし、多分決まると思う」
「えっ、それは助かりますね。剣技はクロード様とルーカスとダリルにまだ勝てませんから」
「まだって勝つつもりなの?筋肉もりもりのリフレシアは嫌だよ」
「勿論、勝つつもりで鍛練してます。別にダリルに嫌われても平気なので問題ありませんし」
「僕はどれも勝てそうに無いから、教えてくれると助かる、特に魔術系。このクラスの魔力操作、ヤバいよ。本当に学生の授業?リフレシアお願い!」
「手加減しませんし、泣き言も聞きませんがそれでも良ければ」
「う〜、鬼、鬼が此処にいる〜」
「失礼な!そんな事言うなら教えませんっ」
入学してから3ヶ月。
教室移動も迷わなくなり、毎日の授業にも慣れてきました。
SSSクラスは他の専門科の授業を自分で選びながら目標を達成しなければいけません。
騎士、学術、魔術そして一般教養。全て他のクラスよりも合格ラインが高く、授業だけでは足りません。
自分達で授業以外にも努力しなければ、すぐに落とされ他のクラスに振り分けられます。
他のクラスは夏休みを挟んで前後期に試験があり、それで振り分けられますが、SSSクラスは1ヶ月毎に合格ラインを決められ、それを一つでも落とせば他のクラス行きという過酷さで、息をつく暇などありません。
常に自分の力量を把握し、足りない事柄を精査し、それを補うカリキュラムを組む。
それも全て生徒自身が管理するのです。
そんな充実した多忙な毎日に、私はこの学園生活最大の問題をすっかり忘れてしまっていたのです。
その問題は静かに、着実に大きくなっていました。
「リフレシア様、少しよろしいかしら?」
カテリナ様達と話せる憩いのお昼休み、食堂へと向かう途中に私は呼び止められました。
声の聞こえた背後を振り向くと、そこには見知った顔触れが一人の女生徒に従う様に並んでいます。
その中心で、威圧的な微笑みをたたえた彼女を見て『あっ、すっかり忘れてた!』と胸の中で焦ります。
彼女はサブリナ・ロードスタン侯爵令嬢。
……クロード様の婚約者候補です。
……乙女ゲーム風の展開になってきた?




