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クロード・ヴェル・グラナード side 4



クロード視点は過去と現在を繋ぐ物語なので、今暫くお付き合い願います。


……若干軽いのが気になりますが……



それから僕は浄化の役目にかこつけて、暇さえあれば少女の元へ通った。あの衝撃的な出逢いの後、冷静に自身の感情を分析してわかった事は少女に対して庇護欲を持ったという事だけで他の感情はどれ程考えても答えが出なかった。


だから知りたかった。

勿論、兄の為もあったけれど、それだけで無く、どうしてこんなにも僕の心は少女によって揺れるのかを知りたかった。


少女は幼いながらも、清廉な気を纏い無意識に周囲の負の感情を浄化していた。少女は意図して浄化しているわけでなく、何かに誰かに向ける愛情が光となって浄化するという今まで聞いた事のない形だった。特に両親に対する愛情は殊更で、両親もまた少女を深く愛していた。お互いに思いやり慈しみあう姿は僕の心を優しく満たしてくれる。この安らぎに似た心を満たすものは天界で感じた事の無いものだった。


これなのか?いや、これじゃ無い。


疑問は晴らされず、半ば日課の様に少女を観察していたが、その穏やかな日々を一度たりとも退屈だと思う事は無かった。


だけど唐突に終わりはやって来た。

しかも、僕にとって最悪の形で……


目の前の少女は既に輪郭を崩していた。

少女から放たれる鮮烈な輝きが深い闇を消していく。

この事態は少女の宿命によるもので、僕には一切の手出しが出来なかった。そう、全く力が使えなかったのだ。今本当の意味で兄の気持ちが理解できた。

僕は……神は何て無力なんだろう。


だけど、せめて最後まで目を逸らさず見届けよう。もしかしたら、少しでも何か出来る事があるかもしれないと胸の痛みを堪えていた時にそれは起きた。


黒い細かな靄が僕の身体に纏わり付いていた。浄化をかけるより早く、靄は鎖となり僕に巻きついた。絡めとられた身体から力が抜けていく。あっという間に僕の身体の自由は奪われ、更には思考を侵そうとする。支配された身体を諦め、思考だけは死守するべく自分の中に結界を張った。それが精一杯だった。


僕に入り込んだ闇は余りにも深く、何故か僕を憎悪していた。思考まで墜ちてしまえば同化してしまう。二神を呑み込んだ闇など天界にとっても脅威となる。思考も支配しようとする闇に対抗するべく意識を遮断する。それならば依り代にはなるがかろうじて同化はせずに済む。少女を気にかけている兄がその内に気付いてくれるだろう。


ああ、最悪だ。

本当に何て様だ。

助けるどころか、コイツに力を与えるなんて。


彼女の最期すら見届けてあげられないなんて。

……独りで消えるなんて、寂しがりやの彼女が可哀想だよ。



ここから僕はこの闇の中に囚われて何度も彼女と出逢い、傷付ける事となる。闇の目を盗み小さな抵抗を試みるけど、それが彼女の助けになった事も無かった。非常に残念だ。


この人間が産み出した負の塊は思っていたよりも厄介なもので、元となった彼の神と僕との繋がりも仇となり魂に食い込む様に絡みついた。とても狡猾で彼の神と僕の知識さえ読み取り力を蓄えていく。かろうじて、僕の結界は壊されなかったので神力までは奪われていないけれど、人の器を得てからは益々強くなっていき、時が流れ文明が進んでもコイツの彼女に対する執着は増していった。


彼女の魂の消失だけは防ぎたい。

それは彼の神も同じだろう。


コイツに囚われてからわかった事もあった。

彼の神は僕程では無いけれど、意識を残していたのだ。ひとつの人生に一度か二度程だが意志の疎通が出来た。彼の神は僕が知る限り、あの真面目な兄と同じ位に人を慈しんでいた。だから彼女の壮絶な人生の繰り返しを嘆き、身を擲つ覚悟を持っていた。


そう、残った神力を全て使い、理に背く覚悟を。


だけど僕がそれを止めた。

だって僕はまだ諦めてなかったから。

僕は兄を信じていたから。


兄は必ずやってくれる。


兄が、彼女を、僕を、君を見捨てたりする事は絶対に無いのだから。





暫く毎日投稿します。

良ければ暇潰しにでも読んで貰えれば幸いです。

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