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ア、アリアさん、ポアロ様上司だよね?



ワードの通りに残念美形が増えていきます。


どんどん加速する激甘に一刀両断する激辛の闘い。

軍配はどちらに上がるのでしょうか?



なかなかやって来ないポアロ様を待つ間、母様とお茶を楽しんで、ふと窓を見れば真っ赤な夕陽が隠れそうになっていました。

……今日も誰かに足止めされたみたいです。

ポアロ様からすれば的外れな敵意を向けられて迷惑この上ないとは思いますが、私にはどうにも出来そうにないので我慢して貰うしかなさそうです。

そんな事を考えていたら扉をノックする音が聞こえました。

アリアの開けた扉から執事長とポアロ様が見えます。

超絶イケメンのお顔が少々窶れて見えるのは気のせいではないでしょう。

この窶れ具合は今日の相手は父様ですね。

母様に視線を向けると呆れ顔で肩を竦めています。


「ポアロ様、ようこそ我が家へ。旦那様が失礼致しました。代わって謝罪を」

美しいカーテシーをした母様にポアロ様は素早く制止の言葉を紡ぎます。

「ご機嫌よう、レティシア様。謝罪など不要ですので、そのような事はどうかお止め下さい」

「寛大なお心に甘えさせて頂きますね。まぁ、こんなに窶れて。ふふっ、ポアロ様程の美貌ですと窶れてもそれが色香になるのですね?でも旦那様には少し釘をさしておきますわ」

「そんなに窶れていますか?面目ないです。色香漂うのはレティシア様ですよ。本当にいつ見てもお美しいですね」

「まあ!お上手ですこと。でも嬉しいですわ、ありがとうございます。わたくしはこれで失礼させて頂きますから、ごゆっくり……は出来ない時間ですわね」

「ははは……」

力無く笑うポアロ様に軽く会釈して母様は部屋から出ていきました。


ポアロ様とアリアと3人になった途端、ソファーに崩れたポアロ様。

「リフレシア嬢、ゴキゲンヨウ……」

力尽きて片言になっています。

「ご機嫌ポアロ様。父様がごめんなさい。でも私にはどうしようもないんです……」

「ふふっ、大丈夫、私の事は気にしなくても。兎に角部屋から出れるようにしないとね」

「その事なのですが、母様がヒントをくれました。だから一度父様と話をしようと思っています。……後、母様は私がそれまでのリフレシアとは違うとわかっているみたいです」

「えっ?忘却の術が解けたの?」

「う〜ん、はっきり解ってるという感じではなくて、何となくなんだと思います」

「……親子の縁は神にも計り知れない部分があるからね」

「母様がわかっているとなると、きっと父様も同じだと思います」

「……もう一度忘却の術をかける?」

「いいえ。何度かけてもきっと父様や母様は気付いてしまう、そんな気がします」

「同感だ。彼等はわかっていて尚リフレシアを愛しているようだし、それについて言及したりしない限りはかけない方がいいだろう。私も出来ればかけたくないしね」

「はい。父様の私に対する執着も、その事が原因のひとつだと思いますが、全てを話せなくても想いは伝えられるので。……私が偽りのリフレシアだと知られてしまうのが怖くて、大切な事を伝えてなかったんです」

「…………」

「でも、何時からかはわからないけれど、知っていてこんなにも大事に慈しんでくれた。なのに私は怖がるばかりで、伝える事さえ逃げてきたから……父様も怖いんだと思います。だから、ちゃんと伝えなくちゃダメなんです」


一葉のママが言ってました。

人は皆違うから、どれだけ親しく近しい人でも言葉にしないと気持ちは伝わらない。

その為に人は言葉を持っているんだって。


「リフレシアの思う様に。けれど何かあれば必ず独りで悩まず、私かアリアに言うんだよ?」

「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ?」

「私はリフレシアに少しの憂いも抱えて欲しくない。リフレシアは独りで抱えすぎるから心配なんだ。だからこれは私の我儘。リフレシア叶えてくれる?」


だから……台詞も声もお顔も甘過ぎます!

大人の色気と子供のような可愛さを同居させるという恐ろしい攻撃は止めて欲しい……

そんな耐性は私にはありません!

どんどん顔が熱くなってきました。

誰か助けて〜と心の中で叫んだ時、全てを一刀両断する冷たいアリアの声がしました。


「ポアロ様、そろそろお時間です。幼いとはいえ未婚の女性のお部屋ですので、ご退出願います」

ア、アリアさん?

足元……凍ってますよ?

ポアロ様って上司(?)ですよね?

汚らわしいモノを見る様な目は如何かと思うのですが?

「……手厳しいね、アリア。でも、リフレシアの側についてもらったのは正解だったよ」

「……お褒めに預り光栄ですが、お早く退出願います」


ぶ、ぶれない。

流石アリア!……でいいのかな?


「はいはい。じゃあリフレシアまた明日。良い夢を」

「ポアロ様、毎日無理して来なくて大丈夫ですよ?前みたいに時々夜に来たら父様達にも捕まらなくて済むのでは?」

「……夜に来るのは余程の事が無い限りない止めようと思ってるから。又明日ね?」

「はぁ。では又明日お待ちしてます」

「うん。後はよろしく頼んだよ、アリア」

「……はい、畏まりました(早くお帰り下さい!)」


ひらひらと片手を振りながら帰ったポアロ様。

忙しいのでしょうか?

夜に来てくれるの結構楽みにしていたのですが……


父様、母様、ポアロ様。

何だか眠ってた1ヶ月で色々な人が変わった気がして落ち着かない私でした。




次回の投稿は7/20です。




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