美形様を怒らせそうな時は防寒準備を!!
久しぶりのアリアのご登場です。
天使様の時とのギャップが激しすぎて、最早別人なのでは?と思われそうですが、正真正銘、同一人物です。
あしからず……
「お父様、お母様、お兄様、シリス。長い間心配をかけてごめんなさい。私はもう大丈夫です。だから皆、休んで下さい」
そうなのです。
私は神様が心も身体も癒してくれたので何処にも不調を感じません。
だけど皆は……
顔色は悪く頬もこけ、髪の毛の艶も失い目の下の隈なんて凄い事になっています。
これではどちらが病人(?)なのか分かりません。
「っっ、だが今目覚めたばかりなんだ。もう少し様子を見ないと。またあんな風にっ……」
……私が長く眠った事で父様が過敏になっているみたいです。
昏睡状態になるのは2度目ですから、仕方のない事かもしれないですが……
「……旦那様。本人が大丈夫と言っているのです、信じましょう?それに、わたくし達がこんな様子では逆にリフレシアが心配してしまいますわ」
母様が助け船を出してくれます。
「っっ、それはそうだが……」
「ね?ここはアリアに任せましょう。何かあればすぐ知らせてくれるわよね、アリア?」
「はい、奥様。リフレシア様に何かありましたらすぐお知らせ致します」
突然振られた会話にも流れるように答えるアリア。
「……すぐにだよ?」
「旦那様、勿論でございます。私を信用しては頂けませんか?」
おお〜!珍しいアリアの笑顔!
「!!わかった……リフレシア、私達も暫く休む事にするよ。目覚めたばかりなのに心配させてごめんよ」
母様とアリアの見事な連携プレーと超希少なアリアの笑顔に頑なだった父様も折れてくれました。
素晴らしい……
いつか私も2人みたいになれるかな、いや無理ですね。
全く違う2人ですが、肝心な時には阿吽の呼吸でサクサクと物事を進めていきます。
そして気が付けば全て丸く収まっているのです。
う〜ん、この域に達するにはまだ色々足りない、というかなれる気がしないかも?
などと明後日の事を考えているうちに、皆は部屋を出て行ったようでアリアと2人きりになっていました。
「……アリアにも心配かけたよね?ごめんなさい」
「………………」
何も言わず近付いたアリアは私をそっと抱き締めました。
侍女として側に居てくれるアリアは基本的に気安く私に触れません。
危険な時か私の心が傷ついたり悲しんだりしている時くらいしか抱き締めたりしません。
だから……アリアが物凄く心配していたのだとわかります。
申し訳ない気持ちとまた会えた嬉しさにぎゅうと抱き返しました。
「……これからは何処にでも、どんな理由を付けてでもリフレシア様から離れません。覚悟して下さいね?」
腕の力を緩め、目を合わせて微笑むアリア。
頬に熱が溜まるのがわかります。
……破壊力が凄まじいのですが?
天使の時より美麗さはおとしてるんだよね?
何なんですか、同性の私すらくらくらするこの色気は!!
神様といい、アリアといい私の周りは色々と可笑しすぎるのでは?
……そういえば狼さんも可笑しかったですね。
って言うか王家やボードフォール公爵家、ロザリア様やあの2人はどうなったんでしょう?
あれから1ヶ月も経っています。
もしかして処遇が決まってしまったとか?
「アリア、あれからロザリア様と子爵令嬢の2人がどうなったか知ってる?」
「はい。ロザリア様は当初の予定通り修道院に、子爵令嬢のお2人は……」
「2人は?」
「……甚だ遺憾ではありますが、リフレシア様の要望通り当家に行儀見習いに来る事が決定しました」
「良かった。甚だ遺憾って、アリアは彼女達が行儀見習いに来るのに反対なの?」
「当然です。今までの事も今回の事も含めリフレシア様に害を成す者を屋敷に入れるなど……御家族の皆様もリフレシア様のお願いでなければ受け入れなかったでしょう」
「害って。彼女達はそこまでの事をしてないです。ちょっと絡んだくらいで。それに……彼女達の意地悪の理由に心当りもあるから」
「……いずれにせよ、今まで以上に私が側に仕える事は私自身の望みだけでなく、御家族の皆様の要望、屋敷の使用人の総意でもありますので、心に留め置いて下さい」
「……皆、過保護すぎやしませんか?」
「…………どの口がそれを仰るのでしょう?今まで黙って我慢して、この有り様ですのに?これでも全員抑えているのです。屋敷の者も礼を欠く事はしないでしょうが、子爵令嬢のお2人に良い感情は持っていませんのでご了承下さい」
「……………………」
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!
ア、アリアの冷気が半端ないです。
ああ、美形様は皆笑顔で人を凍らせるんだ。
さ、寒いよ〜〜
私は布団に潜り込み、直に来るだろう神様を待つのでした。
教訓。
美形様を怒らせそうな時は防寒準備を!!




