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恐るべし、サマーセット公爵家!



格好良いと可愛いのコンビ技はどうやらリフレシアのツボみたいです。



肝心な事はやっぱり聞けませんでしたが、神様のこの世界での立場は理解しました。

これで明日の対面もボロを出さずに済みそうです。


「……本当に今日は驚きました。黙るしかなかったんですから」

「ふふっ、ごめんね」


……何でちょっぴり嬉しそうなんですか?もう!


「あっ」

「うん?どうしたの?」

「神様、お願いがあるんです」

「何かな?」

「父様と母様には了承済なんですが、マリネラ様とカノン様についてです。あとロザリア様は……」

「……ボードフォール公爵令嬢は神殿で暫く様子を見た後、修道院へ行く事になる。修道院から出た後も通常の魔落ちの人と同じく監視が付くと思う」


……予想通りとはいえ、自分と同じ歳の女の子が修道院行きと聞くのは胸が痛いです。


「ボードフォール公爵家も近いうちに伯爵に降爵する」

「えっ、侯爵ではなく?」

「領地経営の悪化の裏に色々とね……それとこの期に及んでサマーセット家に責任転嫁しようとして、国王陛下の怒りを買ったんだよ」

「………………」


取り潰しでなくても、伯爵まで降爵したら再興は難しいし、ましてや陛下の怒りを買ったとなると没落は遠くないでしょう。

ロザリア様が還俗出来るまでもつといいのですが……難しいかもしれません。


「リフレシア。成るべくして成った事は冷酷かもしれないけれど割り切らないといけない時がある。周りの優しさに甘え、改心もせず同じ事を繰り返す者を放置すればやがて必ず厄災となるから」


わかっています。

神様は言葉を濁しましたがボードフォール公爵様はかなりの悪行をしていたのでしょう。だから仕方のない事と思います。でもロザリア様は……爵位を笠にきて悪行を反省もせず他人に罪をなすりつけるような親に育てられ、間違った価値観の中である意味洗脳されたのです。爵位が爵位なだけに正す人もいなかったでしょう。そこに魔が入り込んだ。魔は負の感情を増幅させます。今回の事は魔の存在も大きく関与しています。そう思うとロザリア様にそこまでの罪があるのだろうかと考えてしまうのです。


「……ボードフォール公爵令嬢はまだ幼いし、改心の余地はある。今までと同じ様にとはいかないけれど、今後の本人の努力次第では未来はそう暗くないはずだよ」


神様がこう言うという事は必ず力添えしてくれるはずです。

やっぱり神様は優しいです。

嬉しくなって精一杯の笑顔で感謝を伝えます。


「神様!ありがとうございます!大好き!」

「っっっ!リ、リフレシア、お願いとは何かな?」

照れてほんのり目尻を染める神様が焦りながら問いかけます。


む〜やっぱり格好良いと可愛いのコンビ技は凄いです〜


いけない!真面目な相談をするんだった!(超絶イケメン)神様のお顔に惚けてる場合ではありません。

「あのですね、あの2人には罰として我が家に行儀見習いに来て貰おうと思うのです」

「サマーセット家に?」

「はい。まだ年齢が低いので見習いの見習い?ですが侍女として無料奉仕してもらいます」


子爵や男爵の若い娘が高位貴族に行儀見習いとして侍女などをするのはよくある事です。

それを無料奉仕という形にして今回の事の罰とするのです。

我ながら良い案だと思います。


「……リフレシア。自画自賛してるところ悪いけれど、それは罰にならないよ」

神様は溜息とともに残念そうに私を見ます。

「!?何故ですか?」

「高位貴族への行儀見習いは誰もがこぞって行きたがる。しかも、雇用条件の良いサマーセット家の行儀見習いはフロライト学園に入るより倍率が高いんだ。罰というよりはご褒美になっているよ……」


な、なんと!恐るべし、サマーセット公爵家!

ですが、これは引けません。

ルーカス達とも約束したのです。


「……無料奉仕なので罰です。父様も母様も了承してくれました。だからお願いします!」

……かなり難航しましたが。

「…………国王陛下や他の貴族、魔導庁を説得しろと?」

「お願いしますっっ」


見詰め合う事暫し、溜息をついて項垂れる神様。


「今回は協力します。でもしばらくしても彼女達に改心の兆しが見えなければ他の方法を考えるから。そこは譲れないよ」

「あ、ありがとうございます!」

「後、彼女達をサマーセット家に入れるなら必ずアリアを側に。約束して?」

「はいっ約束します!でも約束しなくてもいつも一緒です!」

「……わかりました」


こうして神様と私の夜更けの会議は終了したのでした。





いつかはその日が来るのをわかってた。

誕生日を迎える度に、ひたひたと恐怖の足音が近付く様で、負けるものかと無理に笑顔を張り付けた。

前世で一番長く生きる事が出来たのと同じ9歳の誕生日。

これから先は何日あるのかと涙が止まらなかった。

胸の奥に押し込めた恐怖は夜な夜な悪夢となり、魘され起きる事は日常になった。

悪夢と現実の境がわからなくなり、ぼんやり過ごす夜には必ず神様とアリアがあらわれて、黙って私を抱き締める。

一言も話さず優しく頭を撫でて私が眠るまで。


私は独りではないと安心出来るまで……

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