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……決して残念な子ではないですよ?



……リフレシア反省の巻。



殿下とお兄様の結界は何の問題点も見当たらない程完璧です。

深みのある黒い闇の結界は殿下の瞳に似ています。

それを覆うお兄様の結界がキラキラ輝くので見た事ありませんが黒いダイヤモンドみたいです。


先程の緊迫した状況からそんなに時間は経っていないはずなのに殿下が来てからあっという間に落ち着きました。

まだ何も解決はしていませんが魔導師長様が来るまでこの状態を維持出来れば良いのです。

魔導師長様がどんな方は知らないけれどこの国で一番の魔導師なのですから私達には思い付かない方法を知っているかもしれません。


悔しいけれどこんな風に落ち着いて考えられるのも殿下のおかげです。

殿下が現存の戦力で最適な対処をしてくれたから被害もなく魔導師長様を待っていられるのです。

先程のままの私なら後ろ向きに考えて続け自滅していたでしょう。


……でも結局私は何一つ出来ませんでした。



転生してから今まで魔法を練習し、大抵の事は出来るようになりました。

周りの人に褒められ、自分でも他人より優れていると心の中では思っていました。

だからこんなに無力とは予想出来なかったのです。


魔法は想像力、動揺してしまうと考える事は出来ません。

たとえ考える事は出来ても制御もままならない魔法はただの危険物です。

全属性を持っていても、有り余る魔力があっても、熟練度がどれだけ高くても……使えなけば無いのと同じです。


私はいつの間にか傲慢になっていました。

優しい家族、恵まれた環境、神様やアリアの存在。

望めば叶う事が当たり前になっていて、そこに周りの人達の手助けがあった事にも気付いていなかったのです。


だから今みたいに自分の思う通りにいかない状況に動揺したのです。


前世の記憶を持ち、年齢より少し大人びた思考が出来てもただの9歳の子供なのに。


いつだって、優しい誰かが気付かぬようそっと助けてくれたから出来ただけなのに。


ぼんやりと2人が作った魔がいるとは思えない綺麗な結界を眺めながらそんな事をつらつらと考えていたのですが、再び開かれた扉の音に我に返ります。

きっと魔導師長様でしょう。


反省は後で思い切りすればいいのです。

今はやるべき事をしなければいけないのです。


気合いを入れ直すべく両手で頬を叩きます。

ばちんといい音がしました。……痛い。

視線を感じ周りを見ると此処にいた全員がこちらを見ています。

皆の目には疑問やら(魔導師様達)哀れみやら(狼さん)諦めやら(お兄様とシリス)、とにかく色々な感情が込められていました。

恥ずかしくて慌てて俯きます。


……スミマセン、決して残念な子ではないですよ?


静かな足音と共に誰かの気配を感じて顔を上げた私はそのままピキンと氷のように固まりました。



顔を上げた私の視線の先にいたのは多分魔導師長様で、そのお顔は(超絶イケメン)神様と瓜二つだったのです。


「部屋で待機中と聞いていましたが……ご機嫌よう殿下」

「その事にについては後で伺います、ご機嫌よう叔父上」

さらりと交わされる会話。

でも魔導師長様のお声は……人を落ち着かせる柔らかなこのバリトンボイスは……


「初めましてユリウス君、シリス君。そして……リフレシア嬢。私はポアロ・ベルフォード、魔導師だよ。よろしくね」


……間違いありません、魔導師長様は(超絶イケメン)神様です。






「…フ…シア、リフレシア?」

「ほぇ?」


名前を呼ばれてゆるゆると覚醒した意識。

「ほら、もうじきにお茶の時間だよ。今日は料理長の新作だからって楽しみにしてたんじゃないの?」


すぐ隣から聞こえるお兄様の声。

その声の方をぼんやりと見ると、キラキラ輝く銀髪に窓から入る日射しが当たり金にも銀にも色を変え幻想的で。


「ん?起きた?」

「ふふっ、お兄様とっても綺麗ね。王子様みたい」


と、本当の事を言ったのですが何故かお兄様は慌ててそっぽを向きました。

褒めたのに変なお兄様です。




ユリウスside


日射しがよく入るサンルームのソファーでお茶の時間までと3人で本を読む事にした。

とても気持ちの良い天気だったせいか、2人はすぐ眠ってしまう。

本当は僕も眠たかったけれど今日は料理長の新作ケーキを楽しみにしていたリフレシアを起こすために頑張った。


そろそろかと、リフレシアを呼ぶと、長い睫毛を震わせて宝石の様な瞳があらわれる。

実の妹にこんな事を思うのはシスコンだとわかっているけれど……

リフレシアは本当に愛らしい。

さらさらな銀髪、透けるような白い肌、長い睫毛。

何より目を引くのはアメジストの大きな瞳。

表情によってその瞳の色は濃くも淡くもなる。

いつも濡れた様に輝いて見る者の心を鷲掴む。


そんな事をぼんやり考えていたら目を細め柔らかな笑みを浮かべたリフレシアがうっとりと囁いた。


「ふふっ、お兄様とっても綺麗ね。王子様みたい」


あまりに素直な褒め言葉に顔が緩むのを抑えられず僕はそっぽをむいた。


うん、今日頑張って起きてて良かった!!




……ユリウス君健気(残念多々含)です。


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