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規格外すぎませんか、王子様……


拙いお話を読んで下さる皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。

いつもありがとうございます。

今回でなんと30話です。

何とか完結まで頑張りますのでお付き合い頂ければ嬉しいです。



全属性持ちの魔力過多の熟練度MAX……言語化されると可愛らしさの欠片もないのがリフレシアは嫌らしい。


……ごめんね、全ては作者のせいです。





殿下の言葉を合図に、シリスが結界を解き始めました。

一言物申したい気持ちはありますが、集中しているシリスの邪魔は出来ません。

シリスが結界の解除をしている間にも、殿下が闇の結界を張り終えました。


は、はやっっ!

えっ?結界ってそんなすぐ張れるものだっけ?

しかも、まだシリスの結界が残ってる状態で調整したの?

合わせたことのない人との魔力の同調を、お兄様とシリス、二人まとめてするなんて。


規格外すぎませんか、王子様……


クロード殿下は公の場にほとんど出ないだけでなく、噂もあまり聞きません。数少ない噂も当たり障りのないもので、容姿(実際はお顔も当たり障りありすぎでしたが)についてくらいでした。


なので魔法については、一切不明だったのです。


こんな状況ですが殿下の魔法が気になって仕方ない私は、こっそりと鑑定をかけてみます。


……鑑定、出来ませんでした。


鑑定魔法は自分より魔法の能力が下の人にならかける事が出来ます。

全属性持ちで魔力過多な上、熟練度MAX(言葉にすると何か嫌です)の私が鑑定出来ない。


殿下の魔法能力。

それは、私と同等か上という事です。


私の存在はこの世界において、イレギュラーな存在です。

通常ではあり得ない能力を持っている自覚があります。

でもそれは神様の介入あっての事です。


……じゃあ、殿下は?


私がその事に気をとられている間に、全ての作業が終わっていました。


「うん、大丈夫上手くいってる。このままを維持して叔父上を待とう」


シリスは床に座り込み肩で息をしています。

労りを込めて見ていると、顔を上げたシリスと目が合いました。


「姉様、ごめんね」

しょぼんと眉も肩も下げ、悔しそうな顔をするシリス。

「何故謝るの?シリスは凄く頑張ったのに。後でご褒美あげるから期待してて?」


……殿下の事は後々ゆっくり考えましょう。

とにかく今はこの状況をどうにかしないといけません。


「リフレシア嬢、余裕があるならシリス君に回復魔法をかけてあげて」

「!そうですね」

……そんな事さえ思い付かないなんて、私は自分が思うより役立たずで……

「リフレシア嬢。こんな滅多にない事態に遭遇して、冷静に判断ができる9歳の女の子なんていないからね?むしろ出来すぎなくらいだよ?」


何で私の考えてる事わかるの?えっ?そんな魔法あった?


「「「顔に出てるから……」」」


…………出過ぎじゃない、私の顔。


回復魔法をかけシリスの顔色が戻った時、ホールの扉が開きました。

どうやら王宮詰めの魔導師の皆様が到着したようです。

足早に此方に来た魔導師様は、殿下を視認するや否や前に出ようとしましたが殿下が止めます。


「気持ちは有難いけど状況をよく見て。僕とユリウス殿の結界で拘束はしてるけど」

殿下の言葉に魔導師の皆様は、ロザリア様から涌き出た魔に注目します。

「!これは……」

「うん。僕が知る限り見た事も聞いた事もない状態だ。これに君達は対処出来る?」

「……繋がっている少女を犠牲にしたとしても、我々では難しいかと」

「ちなみにその子はボードフォール公爵令嬢だから」

「!我々では不可能です……」

「そうだね。だから叔父上が来るまでこのままでいるのが最善策なんだよ」

「っっ、ですが御身に危険が!」

「……この魔は君達が思うより強い。これを此処から出せばどうなるか。王族は皆、この王宮にいるんだから」

「…………」

「それにね、他の人達は知らないけれど少なくとも僕は王族であろうとなかろうと、出来る人がやるべきだと思ってる。自分の行動に対する責任は誰にも負わせない、これは僕自身が望んだ事だ」


柔らかな微笑みの仮面を外し、真剣な面持ちの殿下の瞳には射貫くような強い意思が宿っています。

その瞳を見た魔導師様は小さく溜息を溢した後、殿下に言いました。


「畏まりました。ですが何事か起こった場合、我々は全力をもって殿下の御身を第一に行動させて頂きます。この事は殿下の否を受け入れられません」

「うん、わかったよ、ありがとう。だけど、決して君達の仕事に対する誇りを傷付けたいわけじゃないから」

「……わかっております。いつもながら本当に、仕方のないお方です」


い、いいのでしょうか?

いえ、私が口を挟める事ではないのですが、第一王子様です、次期国王様ですからね。

……まあ、この王子様は誰が言っても聞かなさそうですが。

会話で二人が親しい間柄なのはわかりました。

魔導師様から諦観の念がただよっています。


ここにも何も出来ない(能力過多な)小娘がいますよ。

だからあまり落ち込まないで下さい魔導師様。






とある魔導師の呟き


「A班とB班は左右から攻撃、C班は囮となって魔物の注意をひきつける」

「「「はいっ」」」

順調にみえた戦闘が魔物の渾身の一撃で一変する。

思った以上の攻撃にC班の結界が砕け散った。

このままでは犠牲者が出る、一旦引くべきか悩んだ一瞬に魔物が切迫する。


間に合わない!!


誰もがそう思ったのに目の前の魔物は弾き飛ばされていた。


「油断大敵、だね?」


艶やかな黒髪を風に靡かせ、見る者を引き込む黒曜石の瞳の少年は殺伐とした雰囲気とはそぐわない優雅さでのんびりと言葉を紡いだ。


「「「殿下っっ!!!」」」


半数は歓喜を残りの半数は呆れを含んだ叫び声をさらりと流して殿下は続ける。


「僕が結界で閉じ込めるから、攻撃は任せたよ」




第一王子のこの方はどうやって王宮を抜け出しているのかわからないが結構な頻度で討伐にあらわれる。

そうして、厳しい訓練を積んだ我々(一応エリート集団なのだが)のフォローを事もなげにしてしまわれる。

上部にばれれば訓戒処分で済まない失態は大抵彼の方のおかげでなかった事になってしまう。

さらには一人一人の問題点を的確に指摘し、課題にさせるというアフターフォローまでする始末。

なので魔導庁は秘かに殿下の心酔者が多いのだ。


……私の首はいつまでもつのだろうか。


と、首の心配をしつつも彼の方の後ろをついていくのだった。






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