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シン・日本昔ばなし〜無自覚日本蹂躙物語〜  作者: 音無響一
第一章 シン・桃太郎〜鬼畜ドSの桃太郎〜

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第六話 退屈な桃太郎

桃太郎は、鬼ヶ島から持ち帰った宝を積み、村へ帰ってきました。


犬と猿とキジも一緒です。


村の入り口まで来ると、村人たちが集まってきました。


「桃さん!」


「桃さんが帰ってきたぞ!」


「すげえ! 宝だ!」


「お前ら、調べ物は終わったのか?」


村人たちの声が止まりました。


「え?」


「鬼が何したのか調べるって言っただろ」


「あ……」


「す、すみません。まだ……」


桃太郎はため息をつきました。


「やっぱり愚図だな」


「すみません!」


「もういい。終わった」


「終わった?」


「ああ。鬼は俺の家来になった」


「……退治したんじゃなくて?」


「家来にした」


「そうですか……」


村人たちは、それ以上聞きませんでした。


桃太郎が家へ帰ると、おじいさんとおばあさんが待っていました。


「帰ったか、桃太郎」


「ああ」


「おかえりなさい、桃太郎♡♡」


桃太郎は鬼ヶ島から持ち帰った宝を置きました。


おじいさんは目を丸くしました。


「ずいぶん持って帰ってきたのう」


「ああ」


「鬼から取り返したのか?」


「いや、交換した」


「交換?」


「ばあさんのきびだんごと交換した」


「これ全部とか?」


「ああ」


「きびだんご何個とじゃ?」


「残ってた分全部だ」


おじいさんは少し考えました。


「鬼は納得したのかのう」


「何も言わなかったぞ」


「言える状態だったのかのう」


桃太郎は答えませんでした。


「まあ♡♡ こんなにたくさん♡♡」


おばあさんは嬉しそうに笑いました。


「全部出させたんですか♡♡」


「宝をじゃろう。省略するでない」


「嫌だわ、おじいさんったら♡♡」


「久しぶりに聞いたのう」


桃太郎は犬と猿とキジを家の前へ連れてきました。


「ところで桃の字、なんで犬や猿やキジを仲間に加えたんじゃ?」


「仲間?」


三匹は桃太郎から目を逸らしました。


「家畜を飼うのに理由なんかいるか?」


「家畜なんて言うでない。こんなに可愛らしいではないか」


「……可愛い?」


桃太郎は犬に目を向けました。


犬は震えました。


次は猿。


猿も震えました。


最後にキジ。


キジも震えました。


犬が小さく鳴きました。


「ワン……」


「お前、俺が許可してないのに鳴いたな?」


犬は固まりました。


「返事は?」


「ワン!」


「俺が許可してないのに鳴いたな?」


犬は黙りました。


桃太郎が眉をひそめました。


「返事もできねえのか?」


「ワン!」


「だから許可してねえだろ」


犬は震えました。


「桃の字」


「あ?」


「その犬はどうすれば正解なんじゃ?」


「じいさん」


「なんじゃ?」


「俺がいつ、正解があると言った?」


おじいさんは犬の頭を撫でました。


「苦労したのう」


犬は静かに尻尾を振りました。


「ところでのう、桃の字」


「なんだ?」


「鬼はどんな悪さをしとったんじゃ?」


「悪さ?」


「ああ。鬼退治に行ったんじゃろう?」


桃太郎は少し考えました。


「知らねえな」


「知らんのか」


「ああ」


「では、なぜ退治したんじゃ?」


「退治はしてねえ。家来にした」


「そういう話ではないんじゃがのう」


おじいさんは少し考えました。


「鬼は何か悪いことをしておったのか?」


「してねえって言ってたな」


「本人たちが?」


「ああ」


「それでも戦ったのか?」


「ああ」


「なぜじゃ?」


桃太郎は少し考えました。


「鬼を名乗ってたからな」


「鬼なんじゃろう?」


「ああ」


「では、鬼を名乗るじゃろう」


「誰の許可で?」


おじいさんは空を仰ぎました。


「鬼も大変じゃのう」


「あ?」


「なんでもない」


その時、宝を見に来ていた村人の一人が言いました。


「でも、これで鬼はいないなら、もう安心ですね」


「鬼はな」


「……え?」


「気にするな」


「は、はい……」


村人は、それ以上聞きませんでした。


犬と猿とキジは、桃太郎の前に座ったまま微動だにしていませんでした。


「この子たちはどうするんじゃ? 遊んでくればいいじゃろう?」


「あ? こいつらの勝手だろ」


「桃の字が主なんじゃろう?」


「知らねーよ」


おじいさんは三匹のそばへ行きました。


「まったく桃の字は……ほれほれ、動物らしく遊んでくるのじゃ」


三匹は動きませんでした。


「お前ら、良かったな。遊んできていいぞ」


その瞬間、犬と猿とキジは走り出しました。


「ほっほっほっ。動物は和むのう」


おじいさんは嬉しそうに三匹を眺めました。


「良かったなお前ら。じいさんがいる間は」


「ん? 何か言ったかの?」


「いや、平和っていいことだよなぁ」


「そうじゃのう」


桃太郎は縁側に座りました。


キセルに火をつけ、ゆっくりと煙を吐きました。


「はぁ、つまんねーな」


しばらく空を眺めたあと、ぽつりと言いました。


「次は何で遊ぶかなぁ」




シン・桃太郎


~完~




「意味深じゃのう」


意味深じゃのう

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