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シン・日本昔ばなし〜無自覚日本蹂躙物語〜  作者: 音無響一
第一章 シン・桃太郎〜鬼畜ドSの桃太郎〜

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第四話 特製の粉

鬼ヶ島へ向かう桃太郎が道を歩いていると、一匹の犬がやってきました。


犬は桃太郎の腰についた袋をじっと見ています。


「ワン!」


「これか?」


桃太郎がきびだんごを一つ取り出すと、犬の尻尾が激しく揺れました。


「欲しいか?」


「ワン!」


「お手」


犬はすぐに前足を出しました。


「おかわり」


反対の前足を出しました。


「伏せ」


犬は伏せました。


「回れ」


犬はくるりと回りました。


「待て」


犬はじっとしました。


桃太郎はきびだんごを持ったまま、しばらく待ちました。


犬の尻尾が止まりました。


さらに待ちました。


犬が桃太郎を見上げます。


「まだだ」


犬は再び前を向きました。


またしばらく待ちました。


「……クゥン」


桃太郎の口元が緩みました。


「いい声出すじゃねえか」


「クゥン……」


「よし」


犬はきびだんごに飛びつきました。


あっという間に食べ終わります。


「うまかったか?」


「ワン!」


「そうか」


桃太郎は犬の頭を撫でました。


犬は嬉しそうに尻尾を振ります。


「じゃあ来い」


「ワン!」


こうして犬は桃太郎についていくことになりました。


桃太郎と犬がさらに道を進んでいると、頭上の木が大きく揺れました。


次の瞬間。


一匹の猿が木から飛び降り、桃太郎へ飛びかかりました。


狙いは、桃太郎の腰についたきびだんごです。


猿の手が袋へ伸びました。


桃太郎は身体をひねってそれを避けると、すれ違いざまに刀の鞘で猿の手を打ちました。


「ウキッ!」


猿は地面を転がりました。


「お前……死にたいんだな?」


「ウキ!?」


猿は激しく首を横に振りました。


「俺のもんに手ぇ出したんだ。そういうことだよな?」


「ウキ! ウキ!」


猿はさらに激しく首を横に振りました。


その横で、犬が震え始めました。


やがて、犬の足元に小さな水たまりができました。


縄張りを主張しているわけではなさそうです。


猿は痛む腕を押さえながら、桃太郎へ擦り寄りました。


桃太郎は鞘に入ったままの刀を猿の顎へ当て、その顔を持ち上げました。


「汚ぇ。触るな」


猿は固まりました。


「俺の団子が欲しいんだろ?」


猿は恐る恐るうなずきました。


「ババアのきびだんごが欲しいなんて、お前も物好きだな」


桃太郎は袋からきびだんごを一つ取り出し、猿へ放りました。


「ほら、やるよ」


「ウキ!」


猿は嬉しそうに受け取り、口へ運ぼうとしました。


「ただな」


猿の手が止まりました。


「それ、俺の特製の粉が練り込まれてるんだがな」


「ウキ……?」


猿は手の中のきびだんごを見ました。


「ワン……?」


「なんだ?」


犬は自分のお腹を見ました。


「お前はもう食っただろ」


犬の身体が震え始めました。


猿はきびだんごを持ったまま、犬の方を向きました。


犬は目を逸らしました。


「どうした?」


「ウキ……」


「欲しかったんだろ?」


「ウキ……」


「俺から貰ったもんが食えねえのか?」


「ウキ……」


桃太郎は笑いました。


「ほら。食えよ」


猿は震えながら、きびだんごを口へ入れました。


そして飲み込みました。


「いい子だ」


桃太郎は猿の頭を撫でました。


猿は震えていました。


「お前も来い」


猿は犬の隣に並びました。


犬も震えていました。


桃太郎は犬と猿を連れて、さらに道を進みました。


しばらくすると、頭上から鳴き声が聞こえてきました。


「ケーン!」


「うるせえ」


「ケーン! ケーン!」


「うるせえ!」


スパン!


桃太郎が刀を振りました。


キジの止まっていた枝が切り落とされました。


「ケーン!?」


枝と一緒にキジも地面へ落ちました。


キジは立ち上がろうとしましたが、片方の羽がうまく動きません。


どうやら羽を怪我したようです。


桃太郎はキジの前にしゃがみました。


「お前がうるせえからいけねえんだが……怪我させたのはすまねえな」


「ケーン……」


桃太郎は腰の袋からきびだんごを一つ取り出しました。


「ほら。これやるよ」


キジはきびだんごを見ました。


犬と猿もきびだんごを見ました。


桃太郎は笑いました。


「安心しろ」


犬と猿が震え始めました。


「そいつには俺の特製の粉を一番大量に練り込んである」


「ケーン……?」


犬が一歩下がりました。


猿も一歩下がりました。


桃太郎はきびだんごをキジの前に置きました。


「効くぞ」


キジはきびだんごを見ました。


犬の方を向きます。


犬は目を逸らしました。


猿の方を向きます。


猿も目を逸らしました。


「どうした?」


「ケーン……」


「ほら。食えよ」


キジは恐る恐るきびだんごをつつきました。


そして食べました。


「よし。食ったな」


「ケーン?」


「じゃあ来い」


「ケーン!?」


「俺の団子食っといて、まさかタダで帰れると思ってねえよな?」


キジは固まりました。


犬と猿は黙って目を逸らしました。


耐えていた犬も猿も、また地面を濡らしています。


縄張りの自己主張ではないようです。


ある意味、自己主張かもしれません。


「お前ら……さっきからよく出るな」


犬と猿は震えました。


「まあいい。行くぞ」


桃太郎が歩き出します。


三匹もそのあとをついていきました。


「ワン……」


「ウキ……」


「ケーン……」


桃太郎が足を止めました。


三匹も止まりました。


「お前ら」


三匹が固まりました。


「何鳴いてんだ」


犬と猿とキジは動きません。


「誰の許可で鳴いた?」


三匹は黙ったままでした。


「返事は?」


三匹はさらに固まりました。


桃太郎はしばらく待ちました。


「まあいい。行くぞ」


三匹は黙って桃太郎についていきました。


こうして桃太郎は、犬と猿とキジを従え、鬼ヶ島へ向かいました。


おばあさん「桃太郎のことが心配ですねえ」

おじいさん「儂は桃太郎以外が心配じゃかのう」

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