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江戸戦場  作者: かわむら
5/9

危機

「うわああああ~!」

爆風で五平も鉄蔵も飛ばされ、一緒に屋根から地上に落ちた。

地上では、地獄絵図が広がっていた。

逃げる者、泣く者、殺される者。

どれにも当てはまりたくない鉄蔵と五平は、生きるために起き上がった。

妖怪と闘っても勝ち目がないと感じた二人は、何とかスモイダ星人の猛攻をかわし、逃げた。

「待ってくれ、五平さん!」

「死なせやしねえよ、鉄蔵さん!」

二人一組になって逃げる鉄蔵と五平の前に、一匹のスモイダ星人が立ちふさがった。

「妖怪、そこを通せ!邪魔する気か!?」

五平は腕まくりをして、妖怪と闘う覚悟で近づいた。

だが一瞬で、ケリはついた。

五平と鉄蔵は光線銃から発射された円形のビームに当たり、地面に倒れ、卒倒してしまったのだ。

二人はスモイダ星人に捕まり、捕獲された。


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

江戸の町の大半はスモイダ星人の手によって、炎上・崩壊・略奪されているのは江戸城にも伝わっていた。

こうしてはおられない。

このままでは、妖怪の魔手が江戸城に及んでしまう。

老中・松平信綱は将軍・徳川家綱を安全の場所に移す事に決めた。

「上様、一刻の猶予もありませぬ。駿府にお逃げ遊ばすのです」

「余に逃げろ、と申すのか?」

松平信綱の進言に、家綱は余り乗り気ではない。

「ここにいては危険でございます」

家綱は立ち上がった。

江戸城から避難するのは、妖怪に背を見せているようで嫌だったのだ。

()に尻尾を巻いて逃げろと?」

「上様!考えている猶予もありませぬ!

残念ながらこの戦い、妖怪の方が至極優勢!

いずれはこの江戸城も落とされましょう!

日本国の頭領が、妖怪に討伐される分けにはいかぬのです!」

家綱はしばし考え込んだ。

ここで江戸城を放棄し、逃げ出そうものなら、諸国の大名たちのいい笑い者だ。

「余が逃げれば、新藩譜代外様から腰抜け呼ばわりされようぞ」

「もはやそのような痩せ我慢が通ずる段階ではございませぬ!」

家綱は苦渋の顔のまま、決断を下した。

「よし、江戸城から脱出じゃ。準備をいたせ。余の駕籠(かご)を出せ」

「ははっ!」

    ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

どこへどう逃げていいか分からない。

名取新右衛門、お喜乃、直助の三人は手を取り合い、スモイダ星人の侵略から遠ざかり、いつの間にか浅草方面へと逃げていた。

浅草も大勢の人が右往左往して逃げ回り、パニック状態だ。

しかしまだ妖怪の姿が見えない分、救いがある。

「ちょっと待って・・・、休憩しないと走れない・・・」

お喜乃が走り疲れて立ち止まったので、新右衛門と直助も走るのを止めた。

「呼吸が整うまで、ここいらで休憩しよう」

新右衛門は通りに置いてある酒樽の上に腰かけた。

お喜乃は地面にしゃがみ込んで放心状態になり、直助が介抱している。

「奥様、どうかお気を確かに・・・」

「何なのよ、あいつらはぁ?!」

しゃがんだまま、お喜乃は大声を出した。

「見て分からぬか、あれは妖怪じゃ」

腰かけている新右衛門は、落ち着いた様子だ。

「妖怪なんて、いるはずないでしょ!」

「いるぞ、たわけ!実際に我々は妖怪に襲われただろうが!」

新右衛門は妻を叱り飛ばした。

「奥様、妖怪の存在を認めたくない気持ちはお察しします。

ですが旦那様に言われた通り、本当に妖怪が人を殺して行ってるんです。ここは素直に認めざるを得ません」

直助は、お喜乃が泣いているのを見た。

気丈なまでの奥方が、こうも簡単に泣くとは。

「私たちはどう逃げればいいの?どうすれば死なずに済むの?」

涙目のお喜乃が聞く。

「分かれば苦労はせん。取り敢えず、妖怪の手が及んでおらぬ所まで逃げるのが先決じゃ。じっくり考えるのはそれからじゃ」

新右衛門がそう言った時、後方から大声で「キャー!」という声が響いてきたのを、聞いた。

何事かと、新右衛門、お喜乃、直助は立ち上がった。

たくさんの人がこっちへ逃げてきたのが見えた。

何故逃げているのだろうかと、新右衛門はもっと後ろを見た。

やはり逃げ惑う群衆の最後尾には、妖怪が銃を乱射していたのか。

銃から放たれる光線が、周囲を焼き尽くしている。

やっと妖怪から逃げ切ったと思っていたお喜乃は、スモイダ星人の姿を見て、悲鳴を上げた。

「お喜乃、直助!逃げるぞ!」

走ろうとした新右衛門は、お喜乃が悲鳴を上げるばかりで動かないのを見た。

「どうなさったんです、奥様?!さあ、早く逃げましょう!」

直助の言ってる事が聞こえないらしく、お喜乃は狂ったように悲鳴を上げた。

「奥様!妖怪に骨だけに焼かれたいのですか!?」

なだめる直助に、逃げ惑う群衆が何度も体に当たって通り過ぎて行く。

「お喜乃!逃げねば死ぬぞ!」

人々を避けながらお喜乃に近づいた新右衛門は、ビンタを食らわせた。

それでも、お喜乃は正気に戻らない。

それどころか、事もあろうに今度はゲラゲラと笑い始めた。

「気でも狂ったか!?」

新右衛門は逃げようとしないお喜乃を担ぎ上げ、走ろうとした。

しかし後方からわんさかと逃げ回る群衆に押され、倒れてしまった。

立ち上がった新右衛門と直助は、お喜乃に近づこうとするが群衆に押されてどんどん遠ざかって行く。

「お喜乃~!」

「奥様~!」

叫ぶ新右衛門と直助。

お喜乃は立ち上がろうとしても、背中を群衆に踏みつけられ、起き上がれない状態だ。

新右衛門と直助は、群衆の逃げ出す勢いには勝てず、とうとうお喜乃とはぐれてしまった。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

柳生の里、黒谷。

現在の奈良県奈良市、京都との境界付近に当たる。

柳生陣屋では今朝も、剣術の組み手が行われている最中である。

一人の女が、木刀で相手のノドに突きを寸止めで入れた。

「まいりました!」

練習相手の男は、土下座して負けを認めた。

「次!」

柳生茜(やぎゅうあかね)は叫んだ。

柳生但馬守の娘であり、柳生十兵衛の妹である。

柳生の里での組み手は、弱っちい相手ばかりだ。

柳生家ではたとえ女子といえども、男並みに武術剣術を習わせるのがしきたりである。

ここの道場で柳生茜に敵う人物はいない。

「茜様、茜様!お父上から書き付けが届きましてございます!」

柳生小四郎が、血相を変えて走ってきた。

まだ14歳の若造だが、立派な柳生の忍びである。

茜は小四郎から渡された書き付けを読んだ。

父からの手紙が届くとは、嬉しくて仕方がない。

夢中で読む茜の顔は、次第に曇り顔になって行った。

文面には切迫した状態が読み取れたのだ。

「お父上からは何と・・・」

「信じがたい内容じゃ」

「信じがたい内容は何ですか?!」

「江戸では妖怪が多数暴れまくり、大混乱を生じているそうじゃ」

「そんな・・・、妖怪など」 

小四郎は妖怪がいるなど、信じていない。

「ウソではない。柳生の里からも戦いの助力頼む、と。

妖怪どもに全く手も足も出ぬそうじゃ」

「では、本当に妖怪はいるのですね・・・・。」

「伝之助はいずこにおる?」

「お頭なら、そこの縁側で将棋をさしてましたが・・・」

「あ奴、また練習をサボりおって・・・」

怒る茜は取り急ぎ、柳生伝之助に会いに行った。

伝之助は剣術の練習場にいないからだ。

縁側には柳生伝之助が、相手と将棋の対戦の真っ最中であった。

この男、柳生裏忍びと呼ばれる忍者軍団二百人を束ねる頭領である。

「伝之助!」

茜に呼ばれ、伝之助はしかめっ面をした。

剣術の鍛練をする時間にサボって、将棋をさしていたのを見られてしまったからだ。

「何事でござりますか、茜様?」

伝之助は振り向いた。

「貴様、皆が道場で鍛練をしておるというのに、こんな所で遊んでいる場合か」

「遊んでいるとは、これは異な言いがかり・・・。これは頭の鍛練にございます」

「将棋の駒で相手は倒せぬ。真剣でなければな。それよりもお主に大事な用件があって参った」

「但馬様から、書き付けが届いたんです!」

柳生小四郎が横から口を挟んだ。

「して、その書き付けには何と?」

「そなたは妖怪を信じるか?」

「これはこれは茜様、ご冗談を・・・。手前は妖怪など、一切信じておりませぬ」

「その妖怪が江戸を侵略し、暴虐の限りを尽くしておるのだ」

伝之助は信じられない、という表情をした。

「妖怪が・・・、江戸を荒らし回っていると言うのですか!?」

「その通りじゃ。我々が江戸へ妖怪退治の助太刀に参る。明日には出発じゃ。用意いたせ」

「おいらは皆に知らせて参ります!」

小四郎は走り、柳生の里中の人間に妖怪退治の伝令を知らせに行った。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


スモイダ星人の侵略が開始されて、一日が経過し、夜になった。

スモイダ星人は夜行性ではないので、夜になると大人しく円盤に戻った。

それでも完全に戻った分けではなく、また数十匹が江戸の町をうろついている。

わずか一日で江戸の半分を、焼け野原同然に変えたのだ。

生き残った江戸の人々は、焼けただれた家屋の陰に身を隠し、徘徊するスモイダ星人に怯えている。

お喜乃とはぐれてしまった新右衛門と直助も疲労困憊し、焼けた民家の陰に身を隠し休んでいた。

新右衛門と直助だけでなく、逃げ出した町人たちも何人かで一固まりになっていた。

そいつらの中に混じり、何人かが交替でスモイダ星人の襲撃がないか見張りを立てていた。

新右衛門と直助は寝ようとしても、寝れなかった。

妻とはぐれ、家も財産も失ってしまったというのに、これからどうやって生きていけばいいのだろうか。

考えるだけで、頭が一杯だ。

「旦那様、お気を確かに・・・」

放心している新右衛門を、直助が気づかう。

「もうわしはお前の主人ではない。これからはお前の好きなように生きていくがよい」

「何をおっしゃいます。妖怪が出ようと天地がひっくり返ようと、貴方は私のご主人にございます」

「もうお前を食わせていく余裕もないのだぞ」

「では、私は私の勝手でご主人様のお側にいさせて頂きます」

「ふん、勝手にしろ、強情者め・・・」

「奥様は死んでしまったのでしょうか・・・」

直助がポツリ、と言う。

「まだ生きておると、信じたい。生きておれば、再会するのも夢ではない」

「あの状況で、奥様が生きていられるなんて・・・」

「直助、もうお喜乃の事は喋るな。今は生き抜く事だけを考えろ」

新右衛門が言うと、直助は黙ってしまった。

「奥さん、ご無事だといいですねえ・・・」

新右衛門の隣に座っている老人が、話しかけた。

「そなたの家族はどうなった?妖怪に殺されたのか?」

新右衛門が、老人に聞く。

「全員、死にましたよ・・・」

「お(ぬし)、名を何と申す?」

「わしですか?わしの名は太助と申しやす。それにしても何故、妖怪たちは今頃になって襲ってきたんでしょうかねえ?」

「時期を見計らっておったのかも知れん。江戸を襲撃する時勢を」

太助と言う老人の問いに、新右衛門が答えた。

突然、見張りが慌ただしく戻ってきた。

「てっ、てえへんだ!」

「いかがした?!妖怪がきたのか?!」

新右衛門が小声で聞く。

「三匹だが、こっちへ近づいている!」

見張りは寝ている奴を、片っ端から起こしていった。

「ご老人、そなたの家族の仇は取ってやるぞ」

新右衛門は刀の柄に手をかけ、抜刀する体制を整えた。

「旦那様、妖怪と闘うおつもりで?」と直助。

「いつまでも逃げ回るつもりか?三匹なら勝てる」

直助は焼け落ちた家屋の木材をつかんだ。

「皆、何か武器になりそうな物を拾え」

新右衛門が言うと皆、側にあった石ころや廃材をつかんだ。

息を潜め、硬直したようにスモイダ星人が近づくのを待った。

光線銃を持つスモイダ星人の足音が、近づいてきた。

新右衛門は、すぐ近くまでスモイダ星人が近づくのを待った。

待つ間、心臓の鼓動が高鳴る。

物陰からスモイダ星人が現れると、新右衛門は飛び出した。

「妖怪め!」

刀で斬ると、スモイダ星人は緑色の血を流して死んだ。

地面に倒れたスモイダ星人は、逃げてきた町人たちが、よってたかって石ころや棒でたたきまくった。

後の二匹が、新右衛門や残りの町人の存在に気づいた。

新右衛門は二匹目を斬ろうとしたが、刀を易々とスモイダ星人につかまれてしまった。

スモイダ星人が力を入れると、刀身はバキッと折れてしまった。

刀を折られてしまい、驚く新右衛門。

その隙に、スモイダ星人は新右衛門の顔面を殴った。

新右衛門は、後ろにふっ飛ばされた。

「おのれ~!」

怒った直助は、板切れでスモイダ星人に向かった。

スモイダ星人は慌てず、人間を気絶させる銃を取り出した。

銃口から白い輪が連続して飛び出し、当たった全員が気絶して倒れた。

     ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

朝一番に徳川家綱と家臣一同は行列を組み、江戸城を脱出した。

速やかに江戸城を出れるよう、少人数である。

いつもなら連れていく家臣や小者らは、江戸城防備のために残らせた。

江戸から駿府へ向かう途中、品川。

一向はしばしの休憩を取るため、道中で立ち止まった。

その最中、老中・松平信綱は千代姫の乗っている駕籠に近づいた。

「姫君、喉が渇きました事にございましょう。近くの小川から水を汲んでまいりました」

信綱が駕籠のスダレを開けると、中にいるのは千代姫ではなく、腰元のお品であった。

「なんと?!」

松平伊豆守は持っていた竹筒を地面に落とした。

竹筒から水が地面に流れる。

「申し訳ございませぬ!」

腰元のお品は駕籠の中で両手をついて、謝った。

「姫はどうされたのじゃ、申せ!」

「姫君は、姫君は・・・、江戸に残って妖怪どもと闘う、と申されていました」

「この・・・、たわけめが!」

松平信綱は急ぎ、先頭の家綱の乗っている駕籠まで走った。

「上様、上様!大変にござります!」

松平信綱は、スダレの前でしゃがんだ。

「何事じゃ、騒々しいぞ?!」

駕籠の家綱はスダレを上げ、しゃがんでいる松平信綱を見た。

「姫君が、千代姫様が・・・、駕籠に乗っておりませぬ!」

「どういう分けじゃ、駕籠の中身は空だとでも申すのか?」

「いえ、駕籠の中に乗っていたのは腰元の女でございます!」

「あのじゃじゃ馬が・・・」

家綱は娘に呆れ返った。

よほど戦場と化した江戸にいたいらしい。

「その腰元が申すには、姫は江戸に残って妖怪を成敗するとの由・・・。なんという無謀な事を!」

「構わんでよい。ほっとけ。先を急ぐぞ」

「しかし上様!」

「行程が遅れておる。これ以上、たかがじゃじゃ馬娘のために送らせる事相成らん」

家綱は開けていたスダレを、元に戻した。

「出発じゃ!」

家綱は駕籠の中から命令した。

皆が立ち上がり歩き始める中、松平信綱だけが立ち上がれず、無念さで一杯だった。

これで千代姫は見捨てられたも同然。

妖怪が跋扈(ばっこ)する江戸で、生きていられるはずがない。

「神よ、どうか姫にご加護を・・・」

松平信綱はただ、祈るより他に手立ては無かった。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ―

柳生の里から軍勢二百が通り過ぎて行くのは、旅行く人々には奇異に移った。

柳生但馬守の書状には、一刻も早く江戸に参られたし、との内容である。

だから柳生茜は気が気でならず、焦っている。

「茜様、あそこで一服いたしましょう」

道端で茶屋を見つけた小四郎が、指差した。

茜と小四郎は床ぎに座って、抹茶と団子を食べた。

「この調子で行けば、明日には武蔵の国に着けますね」

「何としても、明日には江戸にたどり着きたい。江戸が心配でならぬのだ」

「まあ、茜様。妖怪どもも、茜様の鬼神のごとき剣さばきには逃げ出す事にございましょう」

しゃべっている茜と小四郎の隣の床ぎに、旅衣装の男連れが二人座った。

「明日はもう、進めねえぞ」

「なしてや?」

「あそこのお触れ書き、見なんだか?江戸は今、妖怪が暴れとるとよ」

「妖怪?」

「んだ。妖怪のせいで一般旅行者は江戸入府禁止令が出てるんだとよ」

「ここまで旅して、引き返すってのは酷だな。その妖怪っての、一辺見てみたいもんだのう」

「アホ抜かせ。その妖怪ってのは人を殺すか、生け捕りにしてるっていう噂だ」

「生け捕り?持って帰って食うつもりなんかのう」

「人の肉入りのお汁粉とか、なあ」

二人は笑うと、しるこを飲んだ。

男連れ二人は、妖怪の存在を知っている。

隣の男たちの会話を聞き、茜と小四郎はやはり、妖怪が江戸を荒らしているのは紛れもない事実だと確信した。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ―

心ここにあらず、と言った感じでお喜乃は歩いていた。

お喜乃はスモイダ星人の魔手から、運よく逃げられたのだ。

生まれ育った江戸の町は、大半が焼失していた。

新右衛門と直助と散り散りになり、お喜乃は生きる気力を失っていた。

ただ、歩いていれば夫や直助と会えるかも知れない。

その望みだけが、お喜乃に歩く力を与えていた。

当てもなく歩くお喜乃はいつの間にか、吉原周辺にきていた。

遊郭のあるこの場所もスモイダ星人に襲撃され、どの家屋も焼けて煙が上がっている。

道には焦げた骸骨が、足の踏み場もないほど、散乱していた。

お喜乃は骸骨をよける分けでもなく、踏み潰して歩いて行った。

生き残った数人の女郎たちが、うずくまって泣いているのが見える。

もはや廃墟と化した吉原に、何の未来も残っていないのだ。

妖怪の奴ら、何が目的で江戸を焼失させようとしてるのだろうか。

奴らに弱点は無いのだろうか?

茫然自失するお喜乃の傍ら、誰かが呼ぶ声が聞こえた。

「お喜乃さん!お喜乃さんじゃないか!」

お喜乃を呼ぶ女の声は、走ってお喜乃に近づいた。

「あたしだよ、お藤だよ!」

お藤はお喜乃の両腕をつかんだ。

お喜乃とは、同じ町内の顔見知りである。

お喜乃は自分より背の低いお藤を見下ろして、初めて気づいた。 

「旦那さんはどうしたんだい?!それに直助は?!」

「逃げる途中で離ればなれになった・・・」

「しっかりおしよ、お喜乃さん!家族を失ったのはお喜乃さんだけじゃないんだ!」

目がうつろのお喜乃は、とても精神的にまいってる様子だ。

お喜乃はそばにしつこく寄り添ってきてるお藤を、無視して歩いた。

「待っておくれよ、どこへ行く気だい、お喜乃さん!?」

お藤が足早に去ろうとするお喜乃を追いかけようとすると、後ろからスモイダ星人の放つ光線銃の音が聞こえてきた。

お藤が後ろを見たが、燃えている家屋の煙でよく見えない。

煙から時折り、赤や青の光線銃の光が見えた。

光線に混じって悲鳴も聞こえる。

一刻も早く、逃げるべきだ。

あれに当たれば皮膚が焼かれ、骨だけになってしまう。

「お喜乃さん、走るんだよ!」

お藤はお喜乃の袖を引っ張り、逃げようとした。

しかしお喜乃は走ろうとしない。

「お喜乃さん、走らないと死ぬよ!」

赤色の光線が、お喜乃の歩くすぐそばの道を直撃した。

地面から焦げた匂いがして、大きな穴があいた。

近くにいた吉原の遊女たちに光線が当たり、たちまち骨だけになった。

お喜乃はようやく事の深刻さが分かり、歩くのをやめて走り出した。

こんな所で、くたばる分けにはいかないのだ。

生きて夫や直助に会うまでは、死んでたまるか。

「そうだよ、その調子!妖怪に殺されちゃあ、成仏出来ないよ!」

お藤はうまくお喜乃を誘導し、スモイダ星人に陥落されようとする吉原から脱出した。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ―

多摩川付近。

柳生但馬守宗矩、柳生十兵衛、柳生左門、柳生又十郎の親子四人は河原に馬で迎えにきていた。

茜の便りによると、本日正午柳生裏忍び全員が助太刀に参る、との事だったのだ。

「父上、あそこに!」

馬上の又十郎が、対岸を指差した。

「うむ、約束の刻限通りじゃ」

向こう岸がよく見えるよう、宗矩は被っている編笠の縁をつかんで上げた。

川の向こうには、柳生裏忍びの者たちが手を振っている。

その中には、妹の柳生茜の姿も混じっていた。

「十兵衛兄さま~!」

兄を慕う茜は居ても立ってもいられず、十兵衛に向かって走った。

妹を愛する十兵衛もまた一刻も早く茜のそばへ行きたく、馬を駆けた。

川を渡り切り、向こう岸までたどり着くと、馬を降りた。

「茜、まだ嫁の貰い手はおらんのか?」

「まあ!」

両腕を広げた十兵衛の胸に、茜は飛び込んだ。

長兄である十兵衛に会うのは、一年振りだからだ。

いつもは男勝りな茜も、愛する十兵衛の前だけは可憐な女になった。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

江戸城では、残った家臣達がスモイダ星人来襲に備え、戦闘体制を整えていた。

皆が戦闘時の衣に着替え、刀、槍、弓矢を持ち武装している。

全ての城門を閉じ、スモイダ星人が攻撃してくるのを待ち構えていた。

「敵襲~!」

高所からの見張り番がスモイダ星人の大軍団を見て、叫んだ。

道は地面から浮かんで動いている鉄の板に乗っているスモイダ星人で、すし詰め状態だ。

皆は妖怪を初めて見た、と言う事で震え上がっている。

妖怪の姿も奇形だが、鉄の板が地面に浮かび、勝手に動いている姿はもっと異様だった。

「放て~!」

城門の上から鉄砲隊がスモイダ星人めがけ、一斉射撃を開始した。

バン!バン!バン!

数えきれないぐらいの銃弾が、スモイダ星人に弾着しようとした。

銃弾が届く前に、スモイダ星人はバリアーの操作をした。

上から半透明の壁が、迫り来るスモイダ星人を包み込んだ。

鉄砲の玉は全部、その半透明の壁にぶち当たり、はじき返された。

唖然、とする鉄砲隊の連中。

逆に今度はスモイダ星人の反撃である。

無重力状態で宙に浮かぶ砲座が、先頭に出てきた。

その砲座には車輪はなく、地面に浮かんでいるのだ。

スモイダ星人が大砲の操作をすると、ドスンドスン!と耳をつんざく音が鳴り響いた。

玉は城門に直撃し、跡形もなく吹き飛ばされた。

城門で一歩たりとも入らせず、と意気込んでいた鉄砲隊は全員死亡した。

スモイダ星人の大軍団は、誰も応戦する者がいない城門の焼け跡から、大挙して侵入してきた。

その様はまるで軍隊アリの大群が、獲物に襲いかかるがごときである。

「妖怪じゃ~!放て~!」

徳川の家臣たちが、次々に弓矢を放った。

スモイダ星人が光線銃を放つと、弓矢ごと光線に包まれて焼け落ちてしまった。

「ひるむな、命を惜しむな、かかれ~!」

弓矢が通じないと分かると家臣たちは、今度は刀を抜いてスモイダ星人に斬りかかってきた。

しかしその応戦も空しく、戦闘スモイダ星人に近づく手前で、光線銃で骨だけにされてしまった。

その一部始終を天守から、見下ろしている人物がいた。

「もはや、これまでじゃな・・・」

江戸城警備方・三又股十郎は落胆した。

徳川家綱公に留守中城を頼む、と仰せつかい絶対に守ってみせると心に誓っていたが、このザマだ。

あの妖怪どもは破竹の勢いで、本丸に侵入してきた。

もうじき、この江戸城は陥落する。

下を見ればあの妖怪どもは城内で殺戮を繰り返すだけでなく、江戸城の城壁をよじ登ってきているのだ。

その数、百匹以上。

孫十郎は天守閣に避難させてきた、大奥の女たちを見た。

中には震えているのもいるが、気丈なまでに死ぬ覚悟を決めているのもいる。

「これまでですぞ・・・」

大奥の女たちは、うなずいた。

階下では、家臣らの死の断末魔が鳴り続けているのだ。

そんな中、大奥の女中たちは逃げ回りながら殺されている。

短刀を取り出すと、孫十郎に斬り殺されるまでもなく、天守閣にいる全員の女が刺し合って自害してしまった。

床に女たちの死体で一杯になると今度は孫十郎が切腹する準備を始めた。

孫十郎に合わせ、家臣たちは全員床に正座し、襟を開くと腹を出した。

「妖怪どもがよじ登ってきておる。一緒に戦えて光栄だったぞ。さらばじゃ」

甲冑を脱いだ孫十郎は先陣を切って、刀の先端を腹に突き立て、倒れた。

大将亡き後、全員がスモイダ星人に殺される前に腹に刀を刺して切腹した。

天守閣にいる者が全員死亡した後に、スモイダ星人がたどり着いた。

    ― ― ― ― ― ― ― ― ―

「皆の衆、遠路はるばるご苦労であった」

河原に二百人がズラリと腰を下ろし、柳生但馬守の演説に聞きいった。

「現在、江戸城下では風雲急の事態に遭遇しておる。妖怪の大群が攻め入り、町人や武士を殺し、あるいは捕らえ、あらゆる暴虐の限りを尽くしておるのだ」

皆がザワザワと、口を開いた。

今まで妖怪の存在など信じていなかったのだから、無理もない。

「我らの力だけでは妖怪を滅ぼす事は出来ぬ。皆、力を貸してくれるであろうな?」

「もちろんでさあ!但馬様のお頼みとあらば、喜んで!」

小四郎が皆を代表して言う。

「見事妖怪どもを退治出来た暁には、恩賞は思いのまま。これは家綱公お墨付きの条件にござる」

皆が浮き足立ち、河原で小踊りした。

皆のやる気満々の笑顔を見て、柳生但馬守は満足した。

所詮(しょせん)、柳生裏忍びの軍勢は捨てゴマとしか思っていない。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ―

吉原から命からがら逃げてきたお喜乃とお藤は、山の中まで逃げ通した。

辺りは太陽の日は沈み、夜になっていた。

もうここは人の気配はなく、妖怪も侵略する計画の道筋ではないはずだ。

走り疲れて、お喜乃は腰を降ろした。

もう走れない。

こんなに走ったのは、生まれて初めてだ。

ゼーゼーと喘ぐお喜乃を見て、一緒に走っていたお藤もここら辺で休憩した方がよいと考えた。

周囲は暗くなったし、あまりウロチョロするのは得策ではない。

お喜乃のそばに、お藤はしゃがみ込んだ。

雨が降ってきた。

雷が鳴り、雨は一段と激しく降りだした。

ずぶ濡れになっても、お藤とお喜乃は動くつもりはない。

何か食べねば、歩く気力も湧いてこない。

妖怪に殺されるよりも、餓死して死ぬのかも知れない。

二人共、走り疲れて立つ気力もなかった。

「お喜乃さん、大丈夫かい?」

お藤が気づかう。

心身喪失したお喜乃は答えようとしない。

「もう歩きたくないのは、あたしも同じだけどこうも降ってたんじゃあ、どこかで雨宿りでもしなければね。

風邪引くよ。黙ってたんじゃあ、分からないじゃないかい?

いいかい、あたしはこうやってあんたを先導して妖怪のいない場所まで連れてきてやったんだ。

感謝されてもいいはずだけどね。

旦那さんと生き別れて精神的打撃を受けてるのは分かるけど、こっちは両親を妖怪に殺されちまってるんだ。

あんた以上に、衝撃は大きいよ。

話したくないなら、それでもいいけどね。

あたしは何か食べれそうな物を探してくるから、そこを絶対離れないで」

お藤は何とかして、重い腰を上げた。

その途端、暗闇からスモイダ星人の顔がニュッと現れた。

お藤とお喜乃を見ると口を開き、「ウゴオオ~!」と雄叫びを上げた。 

完全に不意をつかれ、お藤は地面に尻餅をついた。

こんな近くで、妖怪の姿を見るとは思いもしなかったのだ。

お藤にスモイダ星人が近寄る。

「嫌あああ~、こないで~!」

腰が抜けたお藤は立ち上がれず、這って逃げようとした。

お藤に手を出そうとするスモイダ星人の首筋めがけ、お喜乃は木からぶち折った枝で刺した。

首から緑の血が流れ、スモイダ星人は死んだ。

スモイダ星人を退治したお喜乃は、地面に倒れているお藤に手を差し出した。

お藤は震える手でお喜乃の手をつかみ、何とか立ち上がる事が出来た。

暗闇の中、スモイダ星人の動物が鳴くような雄たけびを聞いた。

お藤とお喜乃は仲間のスモイダ星人が光線銃を向けたのを見た。

赤や青の光線が、こっちへ飛んできた。

光線は周囲の木々に当たり、炎上させていってる。

「こっちよ!」

今度はお喜乃が、お藤の手をつかみ、スモイダ星人の光線銃が乱射される中、勇敢にも駆け抜けて行った。

スモイダ星人たちも、走って二人を追いかける。

お喜乃とお藤は腹が減っているにも関わらず、走って逃げた。

前方を見ると林の中に寺の堂宇があるのが見えた。

あそこに隠れよう。

それしか方法はない。

息切れしているお藤とお喜乃は扉を開けて、堂宇の中に入った。

内部は仏像が安置されてある。

お喜乃とお藤は暗がりに身を潜め、スモイダ星人が気がつかずに立ち去ってくれるのを願った。

願いに反し、スモイダ星人は二人が堂宇に逃げ込んだのを知っているかのようにどんどん近づいた。

スモイダ星人が近づく度に、お藤は死が一歩ずつ近づくように感じた。

スモイダ星人が扉に手をかけ、開けようとした時、二人は暗闇から現れた何者かによって床下に引きずり込まれた。

悲鳴を上げようにも、二人は口を塞がれているので喋る事も出来ない。

しかし口を塞いているのはスモイダ星人ではなく、紛れもない人間だ。

お藤とお喜乃は床下から、スモイダ星人が堂宇に入ってきたのを見た。

二匹のスモイダ星人たちは堂宇に誰も隠れていないか、探し始めた。

スモイダ星人が真上を通ると、上から砂塵がこぼれ落ちてきた。

ここで声を立てれば、すべて水の泡だ。

じっと息を殺し、お喜乃とお藤はスモイダ星人が見つけられずに去ってくれる事を祈った。

二匹のスモイダ星人たちは人間を発見出来ず、あきらめて堂宇から出ていった。

辺りが静寂になると、お藤とお喜乃の口を塞いでいた連中が、手を離した。

「驚かせてすまない。ああでもしなければ我々も妖怪に見つかっていただろう」

誰かがローソクの炎をつけ、少しはまわりが明るくなった。

お喜乃とお藤は床下の中に、六人もの人間が隠れているを知った。

その内の一人は寺の坊さんだ。

「あんたたちも妖怪に追われて、ここに避難しにきたのね」

とお喜乃。

「そうじゃ、これで仲間が増えたようじゃな。

万一の有事に備え、当面の食料はこの地下豪に貯蔵してある。

もちろん、あんたたちの分もある」

袈裟を着ている坊さんが言った。

「それはどうも。恩にきます」とお藤。

「妖怪どもがどこかへ行ってくれるまでの辛抱じゃ」

「辛抱?妖怪がどこへも行かなかったら?食料だって底をつくし、こんな穴蔵にいつまでもいられる分けじゃない」

悪態をつくお喜乃は、薄汚い地面に腰を降ろした。

辺りは所々に、クモの巣がはってある。

「嫌なら今すぐ出ていってもいいんだぜ」

一人の体格のゴツい男が、お喜乃を脅した。

「こっちはお情けでいさせてやってるんだ。少しは感謝しろ」

お喜乃にすごむ男を、皆が制止した。

「仲たがいをしている場合ではない!助かりたければ、皆で助け合うんだ!」

ある職人風の男が、リーダーらしき言動を取った。

助け合わねば、ここで死ぬだけだ。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

柳生但馬守一行と合流した柳生茜を筆頭とする柳生勢二百は、江戸の町にゾロゾロと入ってきた。

江戸・柳生邸は増上寺付近にどっしりと構えている。

まだここら界隈はスモイダ星人が侵入してきていないので、柳生邸は無傷のままだ。

柳生邸までの道のりの間、茜や伝之助は異様なまでに道端に浪人と見られる輩が多いのに気づいた。

浪人と言っても、誰もが食いつめた風な身なりで、異様な雰囲気である。

道端で鍋料理を食べている浪人たちが、目をギラギラさせて柳生の軍勢が通りすぎるのを見た。

「随分とガラの悪い乞食のような浪人が多いですね」

茜が、兄の十兵衛に言う。

「もはや江戸が妖怪の手によって壊滅状態になっておるのは、全国に伝わっておる。家綱公が諸国の大名に妖怪退治のための浪人どもを募らせたのじゃ。

見事、妖怪撃滅させて功績をなした者には、一国一城の主にしてやるだけの褒美を出す、との事。それで全国から武功目当てに江戸に金のない浪人たちが集まっていると言う分けよ」

十兵衛が説明してやった。

「妖怪を退治するのは浪人どもではない。武勇の誉れ高き我ら柳生ですぞ」

伝之助がつぶやいた。

「なら、どっちか先に退治させるか、競争だな」

左門が言う。

「敵は我らの想像を越えるほど強い。くれぐれも油断めさるな」

と又十郎。

話しながら歩いているうちに、柳生邸に到着した。

ここが妖怪退治の前線基地となる場所だ。

「あれは誰じゃ?」

馬に乗っている柳生但馬守が、柳生邸の門の壁に何者かが寄りかかっているのを見た。

その侍は目深に編み笠をかぶっているので、ここから顔は判別不能だ。

顔は分からなくとも、十兵衛にはその侍が柳生兵庫ノ助だという事がすぐに分かった。

なぜなら、柳生兵庫ノ助のアゴは角張っており、顔は正に四角だからだ。

「兵庫ノ助!」

十兵衛は甥である、兵庫ノ助の名を呼んだ。

笑みを浮かべた兵庫ノ助は、編み笠を上げ、顔を見せた。

「久し振りじゃのう、十兵衛。それに茜や左門、又十郎。それに叔父御も」

皆がワッと兵庫ノ助のそばに寄った。

「兵庫ノ助様!」

茜は兵庫ノ助に抱きついた。

兵庫ノ助も茜を抱きしめた。

皆が兵庫ノ助との再会に、心湧き踊った。

「尾張から助立ちに参った。妖怪の首は残らず、このみどもが取り申す」

皆、兵庫ノ助が助っ人として参った事に、百人力の頼もしさを感じた。

   ― ― ― ― ― ― ― ― ―

お喜乃が寺にかくまわれてから、一日が経過した。

床下は不衛生極まりない。

何度か、ネズミが足元を通り抜けていった。

食料を備蓄してあると言っても、一週間で底をついてしまうだろう。

誰もが地面に横になり、動こうとしない。

ただじっと、妖怪が消えるまで、隠れていればいいと思っている。

絶望的状況下にあっても、お喜乃は眠れずに、真っ昼間から目を開けていた。

「眠れんのかね?」

お喜乃を心配している坊さんが訊ねた。

「私は疲れてもいないのに眠れません。皆さん、よく眠れること・・・」

お喜乃は坊さんに近づいた。

「なぜ妖怪がいるのですか?奴らを葬り去るには、どのような手段を使えばよいのですか?!」

「拙僧にも分からぬ」

「どうして?坊さんならば妖怪変化にも詳しいと存じますが?!」

「妖怪がどこから出没したのかも分からぬ。地獄からなのか、どこか遠い未開の土地からなのか・・・」

「何も存じ上げないのですか?!」

「そうじゃ」

「フン、頼りない坊主だこと」

お喜乃は解決策を見いだせない坊主に呆れ、ふて寝してしまった。

  ― ― ― ― ― ― ― ― ―







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