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京都の祭り

 京都。


 久しぶりの京都。


 三郷ちゃんに聞いた祭りの話。

 老人ホームの場所からたぶんこの祭りだろうと予測できた。


 車を走らせやってきた京都は、既にその祭りの華やかさでいっぱいだった。

 街も人も祭り一色。

 俺と同じ観光客もたくさんいた。

 少し肌寒い日ではあったが、浴衣を着た人もたくさんいて、その肌寒さを感じさせないくらい祭りの熱気で溢れていた。


 県外、いや国外から来ているたくさんの人。

 京都にはいろんな人が集まる。

 その中で俺も紛れ、こんなたくさんの人の中で実咲に会えるとは思っていない。

 そもそも京都に来るなんてストーカーみたいだと自分でも思った。

 会えなくても近くにいたいと、同じものも見ていたいと思ってしまったのだ。

 それもあるが、最近いろんな方があって少し気分転換をしたかったのもある。


 三郷ちゃんに実咲が京都にいる話を聞いていなければ京都に来る事もなかった。

 もし、実咲に会う事ができて京都まで来た事を嫌がられたら……、京都に来なければ嫌われる事もなかったかもと後悔するかも知れない……。

 もし嫌われたりしたら、実咲を諦めるいいきっかけになるかも知れない。

 いろんな感情が自分の中で行き来する。

 実咲から避けられている感じが拭えなかったが、嫌われてそうな感じもしなかった。

 本当はどう思ってるんだろう……。

 そればかりが頭に浮かぶ。

 

 でももう、自分の気持ちには嘘はつかず自由にいたい。

 今は何も考えずせっかく来た祭りを楽しもうと思った。


 祭りなんてもうずいぶん来ていない。

 道沿いに色とりどりの提灯がずいぶん向こうの方までぶら下がり鮮やかに照らしていた。

 道脇には屋台がずらりと並びどこからともなくいい匂いがしてくる。

 屋台からは客を呼び込む声がして活気がいい。

 どの屋台にも列ができ、みんな楽しそうに自分の順番が来るのを待っている。

 友達同士、おばあちゃんと孫、カップル、小銭を握りしめて待つ小学生……。

 みんな楽しそうに待っている。


 大きな通りを笛や太鼓の音と共に神輿がやってくる。

 神輿を担ぐ人たちの掛け声は活気にあふれ見ているこっちも元気になる。

 今日、来てよかった……。

 祭りを心から楽しんでいる人を間近に見れてパワーを貰えた気がする。

 祭りがある生活から遠ざかっていた。

 自分もこんなところにきてもいいよと許された気がした。


 楽しんでいいのかな……。


 俺は道の端で次々とやって来る神輿を見ていた。




「……司?」



 そう呼ばれ振り向くと実咲がいた。

 まさか会うとは、しかも、実咲に見つけられるとは思ってもみなかった……。



「え……実咲……?」



「えーー? どうしたの!? 何でいるの? 一人?」


 浴衣を着た実咲が立っていた。



「あ、うん……一人……。 実咲に会うとは思わなくて声、出なかった……」


 俺は、三郷ちゃんから京都にいる事と今日祭りに行くと言っていた事を聞いて、京都にやってきたと話した。



「実咲に会えるとは思ってなかったけど、祭りに行ってみたくなって……。 俺がいてびっくりした?」



「そりゃあ、びっくりしたよーー。 似た人なのかな……?って思ったけど……ほんとに司だったから……」



「実咲、一人?」



「一人。 ちらっと来たかっただけだし、また帰ってレポート書かなきゃいけないから……。 司はこれからどうするの?」



「俺もしばらくして帰るよ」



「え! 帰るの!? 泊まらないの?」



「うん……。 日帰りする予定だったから。 実咲と会えてよかった。 仕事と勉強大変だけど頑張って。 また帰ったら会ってよ……」


 勇気を出して直談判した……。

 


「私、あと半年は帰れないけど……いい? 帰ったら連絡するのでもいい??」



「待ってるよ。 話したいし、実咲の話も聞きたい」


 久しぶりに心地いい時間が流れているのがわかった。



「まだ時間ある? ちょっと歩きながら御神輿、見ない?」


 実咲がそう言ってくれた事は嬉しかった。

 デートみたいな事をできる喜びを噛み締めていた。


 遠くまで続く色鮮やかな提灯が本当に綺麗だった。

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